著者
宮崎真奈実 荒川正幹
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.539-540, 2012-03-06

テトリスを自動でプレイする人工知能プログラム(テトリスコントローラ)の開発を行った。テトリスコントローラでは、まず現在の盤面とピースから考えられるすべての盤面を生成する。次に各盤面について特徴量を計算し、評価関数を用いて盤面の評価を行う。そして最も高い評価値を持つ盤面に基づいて現在のピースの置き方を決定する。本研究では、評価関数としてニューラルネットワークを用い、その重みを遺伝的アルゴリズムによって最適化した。中間層ニューロンの数を変更し、複数回の最適化計算を行った。その結果、平均6,020万ラインの性能を持つコントローラを開発することに成功した。これは従来の結果を大きく上回る性能である。
著者
宮尾 知幸 荒川 正幹 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第30回情報化学討論会 京都
巻号頁・発行日
pp.JP20, 2007 (Released:2007-11-08)
参考文献数
4

化学データは一般に多次元であるため、データを把握するためには次元削減による可視化が必要となる。代表的な手法としてPCAや自己組織化マップが知られているが、近年Bishopにより確率モデルを用いたgenerative topographic mapping (GTM)が提案された。そこで本研究では、写像の滑らかさの指標を導入し、SOMとGTMにおける写像の特徴を比較した。
著者
山城 直也 宮尾 知幸 荒川 正幹 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
Journal of Computer Aided Chemistry (ISSN:13458647)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.96-103, 2009 (Released:2009-08-20)
参考文献数
16
被引用文献数
5 1

大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑制するための手法として、二酸化炭素地中貯留技術が注目されている。しかし、その実用化のためにはコストの高さが大きな課題となっており、特に二酸化炭素を分離回収する過程におけるコストが全体の大部分を占めると試算されている。そこで本研究ではアルカノールアミン溶液を用いた化学吸収法による二酸化炭素の分離回収に着目し、より優れたアルカノールアミンの設計を目指した。アルカノールアミン溶液は低温下で二酸化炭素を吸収し、加熱により吸収した二酸化炭素を放散する性質があり、二酸化炭素の分離回収に利用することが可能である。吸収液に求められる性質として、二酸化炭素を放散させるために必要な熱量が少なく、吸収速度が速いことが挙げられる。そこで、これらの要求を満たすような吸収液の開発を目的とした。まず、反応熱、吸収速度の実験データを基に、アミンの構造情報からこれらを予測する回帰モデルをPLS (partial least squares)法、GAPLS (genetic algorithm based-PLS)法を用いて構築した。その結果、GAPLS法では反応熱に対してR2=0.999、Q2=0.990、吸収速度に対してR2=0.957、Q2=0.914となり、予測精度の高いモデルが構築された。このモデルを用いて、コンピュータ内で仮想的に発生させた新規構造の物性値を予測することで、有望な物性を持つと予想される吸収液の探索を行った。その結果、実験データよりも良好な物性を示すと考えられる候補構造が複数得られた。
著者
岡野 圭央 荒川 正幹 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第30回情報化学討論会 京都
巻号頁・発行日
pp.JP22, 2007 (Released:2007-11-08)
参考文献数
11

一般に不斉合成反応では反応中間体のエネルギー差は非常に小さく、理論計算による遷移状態探索から立体選択性を定量的に予測することは難しい。また、大きな分子構造では膨大な計算時間がかかるという問題点もある。そこで本研究では、オレフィンの不斉合成触媒であるサレンマンガン錯体について、量子計算による触媒の最安定構造を用いた構造活性相関モデルからの立体選択性の定量的な予測を行った。
著者
佐伯一成 芝田遥 荒川正幹
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.317-318, 2012-03-06

本研究では、日本のキャリーオーバー制くじを対象として、主催者収益を最大化するための理論を構築することを目指した。ロト6、totoBIG、チャリロトの三種類のくじについて、過去のデータに基づいた分析を行い、キャリーオーバー額から売上高を推測する式を求めた。対象とするくじによって人気や知名度が異なるため、売上高に大きな差が存在する。そこで本研究では人気度という概念を提案し、この問題の解決を図った。人気度によって調整された売上高とキャリーオーバー額との間で近似式を求めた結果、決定係数が0.616である三次式を得た。この関数を用いたシミュレーションによって主催者収益の最大化を行った結果について報告する。
著者
荒川 正幹 長谷川 清 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
Journal of Computer Aided Chemistry (ISSN:13458647)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-7, 2000 (Released:2000-08-03)
参考文献数
6
被引用文献数
5 2 6

3次元構造活性相関において活性コンフォメーションと重ね合わせルールを決定することは、モデルの適用能力を左右する重要な因子である。これら因子は互いに密接な関連があり、X線結晶解析などの構造情報がない場合には、容易には推定できない。本論文では、4way PLS法による合理的な活性コンフォメーションと重ね合わせルール推定法を提案する。4way PLS法はPLS法の変数を2次元の行列から4次元配列へと拡張した手法であり、PLS法と比較しノイズに強い安定なモデルを得ることが可能である。本論文では、Glycogen phosphorylase b(GPb)の阻害剤であるGlucose誘導体47サンプルを用いたCoMFA解析に本手法を適用した例を示す。サンプル、フィールド変数、コンフォメーション、重ね合わせルールからなる4次元配列を説明変数とし4way PLS法で阻害活性との関係を検討した。そしてモデル係数値を用い阻害活性に大きく寄与する活性コンフォメーションと重ね合わせルールの推定を行い良好な結果が得られた。またX線結晶解析によるGPbの3次元構造との関係について考察を行った。
著者
荒川 正幹 長谷川 清 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
Journal of Computer Aided Chemistry (ISSN:13458647)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.99-106, 2002 (Released:2002-08-23)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

CoMFA法をはじめとする多くの3D-QSAR手法において、対象とする分子構造を適切に重ね合わせることは、解析を成功させるための重要な因子であるため、種々の重ね合わせ手法が提案されている。著者らもHopfield Neural Network(HNN)を用いた新しい分子構造重ね合わせ手法を提案しており、COX-2阻害剤のCoMFA解析に適用し良好な結果を得ている[M. Arakawa, K. Hasegawa, K. Funatsu, Journal of Computer Aided Chemistry, 3, 63-72 (2002)]。本研究ではこの重ね合わせ手法のさらなる有用性を検証するため、human epidermal growth factor receptor-2 (HER2)阻害剤の3D-QSAR解析を行った。HER2阻害剤27化合物について、HNNによる重ね合わせを行い活性配座を推定した後、CoMFA法による3D-QSAR解析を行った結果、R²=0.805、Q²=0.701の良好なPLSモデルが得られた。また、その回帰係数の等高線図についての考察を行い、このモデルが妥当であるとの結論を得た。
著者
荒川 正幹 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
Journal of Computer Aided Chemistry (ISSN:13458647)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.20-28, 2012 (Released:2012-05-19)
参考文献数
16

我々は、有機化合物の変異原性を予測するためのクラス分類モデルの構築を進めている。複数のSupport Vector Machine(SVM)モデルをサブモデルとして構築し、それらを組み合わせることで予測を行うアンサンブル手法を提案することで、これまでに予測正解率79.6%のモデルを構築することに成功している。しかし一方で、データベースに登録されているデータの一部に誤りが存在することを示唆する結果が得られた。そこで本研究では、誤りが疑われる化合物についてAmes試験を実施することでデータの検証を行った。Hansenらが収集・整理した、6,512化合物からなる復帰突然変異試験のデータセットを用い、アンサンブル手法によって変異原性予測モデルを構築した。そして、データベースに陰性として登録されているにも関わらず、多くのサブモデルによって陽性と判定される化合物を選択し、Ames試験を実施した。その結果、5化合物中の3化合物が陽性であることが判明した。