- 著者
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日原 誠介
高野 和夫
妹尾 知憲
- 出版者
- 岡山県農業総合センター農業試験場
- 雑誌
- 岡山県農業総合センター農業試験場研究報告 (ISSN:13466658)
- 巻号頁・発行日
- no.23, pp.1-8, 2005-07
'あかおにもち'は、岡山県農業総合センター農業試験場において育成された晩生の赤米儒品種で、その来歴及び特徴は次のとおりである。1.1987年に岡山県立農業試験場において、'総社赤米'を母とし、'サイワイモチ'を父として交配を行い、Fl世代からF3世代を集団採種した後、1991年F4世代で個体選抜し、以後系統育種法によって選抜、固定を行って1995年からは岡山赤儒61号の系統名で奨励品種決定予備調査に供試し、あわせて特性検定を実施して栽培特性や加工特性を検討した。その結果、赤米のもち種で、食味が良く、栽培特性も良好であったので、2003年9月に品種登録を申請した。2.出穂、成熟は'総社赤米'とほぼ同じで、育成地では晩生に属するもち種である。3.桿長は'総社赤米'より40cm以上短く、穂数は'サイワイモチ'と同程度で、草型は穂数型に属する。止葉は適度に直立し、籾には赤褐色の長い芒を付け、穂の着粒はやや疎で、脱粒性は中である。4.耐倒伏性は'総社赤米'や'ヤシロモチ'より強いが、穂発芽性は易で、'サイワイモチ'より穂発芽しやすい。5.いもち病真性抵抗性遺伝子型はPia-2を持つとみられ、圃場抵抗性は強い。また、白葉枯病にはやや弱く、縞葉枯病に対しては、抵抗性遺伝子を持たず弱い。6.収量性は、'総社赤米'より高く'ヤシロモチ'より劣る。7.玄米は'総社赤米'に似て、'サイワイモチ'より大きく、粒色は赤で、見かけの品質は'サイワイモチ'と同等である。8.食味は'サイワイモチ'より劣ったが、生もちはピンク色となり、硬化速度は遅い。9.適地は、岡山県南部の標高100m以下の地力中ようから肥沃地で、普通期栽培に適するが、移植期が遅れると減収し、着色も悪くなるので、できるだけ作期を早める。耐倒伏性は強いが、過度の施肥をすると品質が低下するので施肥量は'ヤシロモチ'並とする。また、花粉が飛散して雑種を生じる恐れがあるので、出穂期が近い品種を周辺で栽培しないよう注意する。10.用途としては、紅白もち、赤飯、菓子、観賞用、天然の色素原料などが考えられ、岡山県内の地域特産物として普及が期待される。