著者
松原 達哉
出版者
立正大学心理学部
雑誌
立正大学心理学部研究紀要 (ISSN:13482785)
巻号頁・発行日
no.2, pp.51-56, 2005-03-31
著者
若島 孔文
出版者
立正大学心理学部
雑誌
立正大学心理学部研究紀要 (ISSN:13482785)
巻号頁・発行日
no.1, pp.113-123, 2003-03-25

本論文ではBavelas et al. (2000) による聞き手反応についての実験研究を追試検討し、心理臨床場面での「共感」のあり方について考察をした。聞き手反応は語り手の話の内容にあまり影響を受けない一般的聞き手反応(GLR) と語り手の話の内容に強く影響を受ける特殊聞き手反応(SLR) の2つに区分された。実験では3つの仮説について検討した。1) SLR の出現する時間は、GLR の出現する時間と比べて、より遅くなるであろう。2) SLR はGLR に比べて、聞き手が話の内容から注意をそらされる条件でより出現することが少なくなるであろう。3) 聞き手が話の内容から注意をそらされる条件では、聞き手が適切に話を聞くことができる条件と比べて、話の質が低下するであろう。被験者は20組のペアであり、聞き手が注意深く話し手の話を聴くように教示された物語り群と聞き手が物語りから注意をそらされる言葉数え群のいずれかにランダムに割り当てられた。話し手は危機一髪の体験を話すように求められた。結果は3つの仮説を全て支持するものであった。以上の実験研究の結果から、心理療法場面で重視されてきた「共感」概念に対して考察し、いくつかの示唆を提示した。