著者
三島 美佐子
出版者
九州大学総合研究博物館
雑誌
九州大学総合研究博物館研究報告 (ISSN:13483080)
巻号頁・発行日
no.15, pp.65-68, 2018-03

本報は、この約10年にわたり当館で取り組んできた、本学の歴史的什器の救済、保存、および活用に関する取り組みについて俯瞰し、救済した什器の今後の保存活用方策の可能性について述べるものである。まず、新たな保存のあり方として、個人や事業所等に什器を貸し出し、そこで使いながら保管してもらう「在野保存」を提案し、その実装にむけて必要と思われる要素を述べる。次に、什器を展示や研究利用することに加え、重複品等については資金化に供することの可能性について述べる。いずれにおいても、大学ならびに大学博物館がこのような取り組みをすすめるには、単に実務・実利を目的とするのではなく、対象とした什器をとおして、利用者(借用者・購入者)の学びや延長された博物館体験につなげることを主眼とすべきである。
著者
岩永 省三
出版者
九州大学
雑誌
Bulletin of the Kyushu University Museum (ISSN:13483080)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-22, 2005-03
被引用文献数
1

国立歴史民俗博物館が、弥生土器付着炭化物のAMS法による年代測定を用いた弥生時代開始年代論を発表した。それを支持する中国考古学者による遼寧地域・朝鮮半島における青銅器文化の年代論を検討した。磨製石剣の編年と年代、遼寧式銅剣1式の年代幅、「遼寧式銅剣I式」と「V式」の関係、遼寧式銅剣と細形銅剣の関係-細形銅剣の出現年代、細形銅剣・鋼矛・銅戈のセットの上限年代、の諸点について再検討した結果、対象とした中国考古学者の年代論は、いずれも未検証仮説を積み重ねたきわめて無理が多い議論であり、従来の年代観で大枠では問題が無いことが判明した。この観点から、出土人骨を用いたAMS法による年代測定結果(田中・溝口・岩永・Higham2004)を検討すると、歴博年代論に比してはるかに妥当であるものの、なお50〜200年は古く出ており、依然として海洋リザーヴァー効果による年代の遡上を十分に補正できていないと判定できることから、さらに内陸部出土の人骨やシカなどの草食動物骨を用いたAMS法の実施と、より有効な海洋リザーヴァー効果補正法の開発が急務となる。
著者
九州大学大学院統合新領域学府ユーザー感性学専攻修士課程大学院演習・平成26年度開講感性コミュニケーションPTL Ⅲ チーム
出版者
九州大学総合研究博物館
雑誌
九州大学総合研究博物館研究報告 (ISSN:13483080)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.51-64, 2015-03

平成26年度の九州大学大学院統合新領域学府ユーザー感性学専攻感性コミュニケーションコース修士課程における大学院演習科目「プロジェクト・チーム・ラーニング(PTL)」において、九州大学総合研究博物館を活用した教育普及プログラムを開発し、実施した。このワークショップには、参加者の主体的な学びを促すために、「鑑賞」「創作」「表現」の3つの活動ステージを組み込んだ。「鑑賞」では、博物館の研究者の解説を伴うバックヤードツアーによる標本資料を閲覧し、「創作」では、鑑賞に基づくものがたり制作、「表現」では、創作物の発表と共有を行った。本報では、本ワークショップの概要とワークショップの効果などについて報告する。An educational program utilizing the Kyushu University Museum was developed and practiced by students of Kansei Communication PTLIII, a practice of Department of Kansei Science at Graduate School of Integrated Frontier Sciences. Three stages of activities, i.e., "appreciation", "creation" and "expression", were put in the group-work-program to progress participants' autonomous learning. At the first "appreciation" stage, participants observed the specimens at museum-backyard. The museum's researchers explained the specimens and answered questions from participants. Second, "creation" stage, participants share their own finds and impressions of observed specimens and made a story based on their observation. In the final "expression" stage, each group presented and performed their own story. We report the process of the program development, the outline of the workshop and several notes from the observation of participants.

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著者
岩永 省三
出版者
九州大学
雑誌
Bulletin of the Kyushu University Museum (ISSN:13483080)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.81-105, 2008-01
著者
三島 美佐子 岩永 省三
出版者
九州大学総合研究博物館
雑誌
九州大学総合研究博物館研究報告 (ISSN:13483080)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.57-66, 2014-03

本稿では、2010 年度からはじまった九州大学総合研究博物館における第一分館の刷新的利活用の取り組みについて、それに至るまでの背景および経緯を概説する。