著者
上馬塲 和夫 仲井 培雄 許 鳳浩 王 紅平 大野 智 林 浩孝 新井 隆成 鈴木 信孝
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.119-126, 2007 (Released:2007-10-19)
参考文献数
14
被引用文献数
1

西洋ではすでに広く家庭で活用され安全性と有効性がわかっている,特に不眠に用いられるバレリアンやレモンバームなどを含むハーブティーの睡眠への効果と安全性の検証を試みた.不眠で悩む病院職員志願者女性 14 名(年齢 21–62 歳:35±11 歳,BMI 21±3 kg/m2)を対象として,文書による同意を取得し,オープン試験によって 1 週間の対照観察期間の後 1 週間,ハーブティーを夕方 2 回摂取させた.睡眠の質の変化を,OSA 睡眠調査表とVAS (Visual Analogue Scale) で評価した結果,摂取開始の翌日の夜において,対照期間より入眠と睡眠維持について睡眠の質が向上する傾向を認めた.また睡眠の質の悪い群で効果が高く,眠気や胃腸症状を認める例も 19%程度は認めたが継続しても全例自然消失したことから,安全性には問題がないと思われた.
著者
川嶋 朗 班目 健夫
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.75-79, 2005 (Released:2005-03-11)

日本には,漢方医学という伝統的な医療がある.漢方薬は 1895 年に一度廃絶されたが,1965 年には復権し,保険医療で認められるに至っている.最近では,カイロプラクティックやアロマセラピーなどの他国から輸入された相補(補完)・代替医療 Complementary and Alternative Medicine (CAM) がわが国でも広がりつつある.漢方医学以外の CAM に関する学会の設立は目白押しで,遅ればせながら CAM に取り組む気運が盛り上がりつつある.教育面では漢方医学が広く普及してきたが,その他の CAM についても少数ではあるが,教育を行う施設も出てきている.しかしながら,CAM の実践となると家庭医くらいで病院は数えるほどしかない.さらに統合医療となると実践施設はほとんど存在しないのが現状である.2003 年 6 月,東京の青山にわが国の大学としては初の統合医療実践施設が誕生した.西洋医学の専門家が CAM を中心に診療を行っている.筆者はその責任者である.本稿では,統合医療を実践するための問題点や現在行っているプログラムなどについて報告する.