著者
山元 一晃 浅川 翔子 加藤 林太郎 Kazuaki YAMAMOTO Shoko ASAKAWA Rintaro KATO
出版者
金城学院大学
雑誌
金城学院大学論集. 人文科学編 = Treatises and Studies by the Facalty of Kinjo Gakuin University. Studies in Humanities (ISSN:18800351)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.138-147, 2022-09-30

筆者らが作成した看護留学生向けのライティング教材について,実際に使用した学生にインタビューを実施し,その難易度,使いやすさ,有用性などについて検証を行った。その結果,一定程度留学生が役に立ったと感じていることが分かった。「患者情報の記録」「先生とのメール」は有用性が高かったと感じている一方で,「私の理想の看護師」「施設情報」については,既習だったこと,特に難しくなかったことから,役立ったとは感じていなかったようである。また,「看護展開」などは,実際の実習などで課されたものよりも易しく,難易度を上げてもよいのではないかという指摘があった。さらに,領域別に書くことや,実際の患者は合併症を抱えていることなどの相違点があったようである。テキストで扱われていなかった内容として,変更が生じた場合の修正の仕方,指導者への説明やカンファレンスなど口頭でのやりとり,専門用語などについても含めて欲しいとの要望があった。自習で使えるかについては,意見が分かれ,解説があるため自習も可能という指摘があった一方で,最初は自力ではできなかったなどの指摘もあった。
著者
王(木下) 榮(貴雄) Rong(Takao) Wang(KINOSHITA)
出版者
金城学院大学
雑誌
金城学院大学論集. 人文科学編 = Treatises and Studies by the Facalty of Kinjo Gakuin University. Studies in Humanities (ISSN:18800351)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.187-206, 2022-03-31

中国残留孤児をはじめとする中国帰国者が高齢期を迎えた今,差し迫って最大の課題は介護であり,死後の安住地である墓地も大きな問題となっている。また,在住外国人の永住化・定住化に伴って,外国人高齢者は年々増加している。この現状から考えると,この墓地の問題は,異文化の介護問題と同様に,中国帰国高齢者だけの問題に留まらず,日本に暮らすすべての外国人高齢者が共通する問題でもある。さらに,終末期ケアや看取り,弔いについては,信仰や宗教,文化などの違いから考えると,民族や国籍によっては問題の複雑さが窺える。本稿では,中国帰国者の“終の棲家”である墓地から,多文化共生社会の先にある現実問題の一つとして,今後,日本で最期を迎え逝っていく外国人高齢者における異文化としての“終活”問題をどう支えていくのか,その必要性について概観する。