著者
高木 秀雄 廣瀬 智美
出版者
埼玉県立自然の博物館
雑誌
埼玉県立自然の博物館研究報告 (ISSN:18818528)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-10, 2020 (Released:2020-06-07)

ジオパーク秩父が2018年7月に改定した新しいジオサイト34ヶ所および幾つかの重要なジオサイトについて,教育的価値,科学的価値,観光価値,安全性とアクセス,保護保全とサイトの持続可能性,情報の整備状況,の6つの主要な価値基準から18項目について4段階評価を実施した.本論ではその結果をもとに,各ジオサイトの重要性や位置付け,今後の課題をまとめて,今後のジオツーリズムの活用に結びつけることを目的としている.その結果,評価の低かったジオサイトの統廃合と,重要なジオサイトの追加を提案する.
著者
岩田 泰幸 岩田 朋文
出版者
埼玉県立自然の博物館
雑誌
埼玉県立自然の博物館研究報告 (ISSN:18818528)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.39-46, 2019 (Released:2019-06-14)

ヤマガタトビイロトビケラ幼虫について,埼玉県内の荒川水系(上流から中流)で調査を実施した.本種は本州中部の山地帯においては普通種であり,その幼虫は晩秋から初夏にかけて河川の淵で多数見つかることが知られる.本報告では,埼玉県内における本種の追加記録を公表し,県内の本種の生息環境を主に河川形態に基づいて記載した.本種の生息環境と多くの個体が見つかった場所の特徴は,次の4つとなる:1)河川形態は一蛇行区間に複数の瀬と淵をもつAa型である,2)階段状の淵(S型の淵)を有する,3)淵には落ち葉など枯死植物体が多く積もる,4)特に淵の縁部に多くの個体が見られる.その一方で,ヤマガタトビイロトビケラに近縁なNothopsyche sp. NAの幼虫は,前者とは異なり,中流域の主に河川形態がBb型のところにおいて,R型あるいはM型の淵に繁茂する抽水植物(ヨシなど)の流水で洗われた根際から多くの個体が得られた.