著者
渡辺 朝一
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.A11-A18, 2012 (Released:2012-03-14)
参考文献数
6
被引用文献数
1

レンコン栽培が盛んな茨城県下のハス田で,レンコン食害を防ぐための防鳥ネットに,コガモ Anas crecca,ヒドリガモ A. Penelope,オオバン Fulica atar など,多くの野鳥が羅網して落鳥する事態が続いている.防鳥ネットが多く敷設されている霞ヶ浦湖岸のハス田で,2010 年から2011 年にかけての冬期に5回の調査を行なった.その結果,羅網鳥は15種が記録され,種の識別ができなかったものも含め,のべ185羽の落鳥が記録された.防鳥ネットの天井面積を1haに換算すると,1日の調査では7.5 ± 1.8 羽が記録された.マガモ属は主に翼を引っかけて羅網し,オオバンは主に足を引っかけて羅網していた.コガモの羅網はレンコン収穫前のハス田でより多く記録されたが,オオバンの羅網はレンコン収穫後のハス田で多かった.種の識別ができたのべ145羽の羅網落鳥個体のうち,98羽は同じネットで連続的に記録されず,確実に 1 か月以内にネットから消失していた.生息している鳥類は25種が記録された.サギ類,シギ・チドリ類は防鳥ネットの敷設されたハス田にはわずかな出現かあるいは全く出現せず,防鳥ネット敷設により生息にマイナスの影響を受けていた.スズメ目のハクセキレイ,セグロセキレイ,タヒバリ,ツグミは防鳥ネットの有無に関わりなく記録され,防鳥ネットは生息の障害となっていないと考えられた.
著者
渡辺 朝一
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.S5-S11, 2014 (Released:2014-05-01)
参考文献数
26

ハゴロモモ(フサジュンサイ) Cabomba caroliniana は,北米大陸南東部と南米原産の沈水植物である.水槽植物として世界各地に持ち込まれ,日本列島でも,本州,九州,四国,北海道に定着している.しかし,被害に係る知見が不足しているために,特定外来生物種ではなく要注意外来生物種となっている.そこでハゴロモモと水鳥類の関係を明らかにするために茨城県清水沼で2011年4月から2012年3月にかけて調査を行なった.その結果,コハクチョウ,オオハクチョウ,オカヨシガモ,ヨシガモ,ヒドリガモ,マガモ,オオバンがハゴロモモの水中茎および沈水葉を採食していることを確認した.今後は水鳥がハゴロモモの分布拡大にどのようにかかわっているか,水鳥による摂食がハゴロモモにどのような影響を与えるのかについての調査が必要である.
著者
渡辺 朝一
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.59-65, 1998 (Released:2015-08-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

ムナグロの冬羽タイプにおいて,成鳥冬羽,幼羽,第一回冬羽の3タイプを背面の羽毛に着目して区別できることを示した.幼羽では,前頸と胸に縦斑が著しく,背面の羽毛は大部分が黒色で,羽縁に半円状の淡色斑がある.成鳥冬羽では,前頸と胸の縦斑は見られず,背面の羽毛は黒色と黄金色が段階的に模様を形成している.第一回冬羽では,やはり前頸と胸の縦斑は見られず,背面の羽毛は大部分が黒色で羽縁が淡色である. ムナグロは,冬羽タイプにおいても,換羽直後は黄金色が著しいが,次第に退色して褐色味を欠くようになることがある.
著者
渡辺 朝一 鈴木 康
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.155-160, 2011-03-20 (Released:2013-03-20)
参考文献数
14

We observed Bewick's Swans Cygnus columbianus foraging upon rhizomes of Sparganium japonicum at narrow waterway in rice fields in Shibata City, Niigata Prefecture, in November, 2007.
著者
渡辺 朝一 田尻 浩伸
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.53-62, 2018-02-28 (Released:2019-02-28)
参考文献数
24
被引用文献数
1

We investigated conditions of stubble used by Bewick's Swans Cygnus columbianus for foraging at a rice Oryza sativa field zone of Nishikanbara area near Lake Sakata in Echigo Plain in Niigata Prefecture, where many Bewick's Swans winter. Field observations were conducted on 23th November and 21th December 2003, and 12th January and 15th February 2004. Swans seemed to select stubble on unplowed land where the degree of vegetation cover was low and the cover degree of scattered rice straw was high.
著者
渡辺 朝一 鈴木 康
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.67-73, 2019-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
20

2005 年12 月11 日,越後平野の水田地帯の一角にある休耕田において,コハクチョウ137 羽がケイヌビエの種子を採食していた.コハクチョウによる休耕田の利用は希である.
著者
渡辺 朝一
出版者
Japan Bird Research Association
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.A11-A18, 2012

レンコン栽培が盛んな茨城県下のハス田で,レンコン食害を防ぐための防鳥ネットに,コガモ <i>Anas crecca</i>,ヒドリガモ<i> A. Penelope</i>,オオバン <i>Fulica atar</i> など,多くの野鳥が羅網して落鳥する事態が続いている.防鳥ネットが多く敷設されている霞ヶ浦湖岸のハス田で,2010 年から2011 年にかけての冬期に5回の調査を行なった.その結果,羅網鳥は15種が記録され,種の識別ができなかったものも含め,のべ185羽の落鳥が記録された.防鳥ネットの天井面積を1haに換算すると,1日の調査では7.5 ± 1.8 羽が記録された.マガモ属は主に翼を引っかけて羅網し,オオバンは主に足を引っかけて羅網していた.コガモの羅網はレンコン収穫前のハス田でより多く記録されたが,オオバンの羅網はレンコン収穫後のハス田で多かった.種の識別ができたのべ145羽の羅網落鳥個体のうち,98羽は同じネットで連続的に記録されず,確実に 1 か月以内にネットから消失していた.生息している鳥類は25種が記録された.サギ類,シギ・チドリ類は防鳥ネットの敷設されたハス田にはわずかな出現かあるいは全く出現せず,防鳥ネット敷設により生息にマイナスの影響を受けていた.スズメ目のハクセキレイ,セグロセキレイ,タヒバリ,ツグミは防鳥ネットの有無に関わりなく記録され,防鳥ネットは生息の障害となっていないと考えられた.
著者
渡辺 朝一
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research
巻号頁・発行日
vol.5, pp.S11-S15, 2009

越冬期前半の2004年12月11日と,越冬期の後半の2005年 2月26日に,越後平野水田において,コハクチョウが水田面と畦畔をどのように利用しているかを調査した.その結果,コハクチョウは採食地として,越冬期の前半も後半も水田面を選好している可能性が示された.