- 著者
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森 一幸
中尾 敬
- 出版者
- 長崎県農林技術開発センター
- 雑誌
- 長崎県農林技術開発センター研究報告 (ISSN:18848605)
- 巻号頁・発行日
- no.4, pp.51-72, 2013-03
1)赤肉バレイショ「西海31号」は,加工適性が高い品種である。春作マルチ栽培における慣行栽培(2月上旬植付け,5月中旬収穫)では,主要品種「デジマ」,「ニシユタカ」に比べて収量性が低いことから,多収かつ商品化率が高い安定生産を可能にする栽培条件(栽培期間,被覆資材,栽植密度)および芽出し作業の省力化について検討した。2)2月下旬植え付けでは,慣行栽培(2月上旬植付け,5月中旬収穫,透明マルチ)に比べ,被覆資材の種類に関わらず出芽期は遅れ,収穫時の茎葉の黄変も遅れた。3)2月下旬植え付け6月上旬収穫では,慣行栽培に比べ,上いも重は増加した。4)透明マルチを用いた栽培では,生育日数の延長により,慣行栽培に比べ,二次生長発生重量率が増加するが,黒マルチを用いた栽培では慣行栽培と同等な発生率で,透明マルチよりも商品重量が高かった。5)6月上旬収穫では黒マルチ,黒メデルシートとも,標準植に比べ,密植により平均1個重は小さくなるが増収し,さらに,二次生長重量率が低下するため,商品重量は高くなった。6)バレイショ「西海31号」の栽培の高収量を実現する栽培条件(栽培時期および被覆資材)は,植え付け時期を2月下旬,収穫時期を6月上旬とし,黒マルチあるいは黒メデルシートを使用し,慣行栽培よりやや密植することである。7)黒メデルシートの利用あるいは機械移植栽培により,芽出し作業時間を大幅に削減でき,慣行栽培と同等な収量が得られた。