著者
野中 博雄
出版者
桐丘学園 桐生大学・桐生大学短期大学部
雑誌
桐生大学紀要 (ISSN:21864748)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.33-41, 2014 (Released:2020-08-14)
参考文献数
9

本論文は、英語借用のカタカナ語について、英語の品詞概念が借入後の日本語での品詞概念に影響するとの仮定 に基づき、「する」を付加されて日本語に借用される英語の日本語での語彙範疇を考察したものである。 筆者は、「コンサイスカタカナ語辞典」(第2版、三省堂、2004)より、「する」を付加されて英語から借用した 402語を抽出し、英語の品詞を、『プログレッシブ英和中辞典』(第4版、小学館、2006)で確認し、「動詞」、「名 詞」、「動名詞」、「名詞と動詞」、「動詞と名詞」と分類した。サンプル語抽出の恣意性を排除するためにrand 関数 を使った。それらの日本語での統語的特徴を観察し、英語借入語が日本語のどの品詞として扱われるべきかの考察 を試みた。 結論として、『英語借用語のカタカナ語の「形容詞+ X 構造」、「X をする構造」、「X する構造」における「X」 の日本語語彙範疇については、英語品詞の動詞性、名詞性の影響を受け、動詞性、名詞性を持った日本語動名詞と しての統語的特徴を持つカタカナ語となる』とした。
著者
樋口 福也 島田 美樹子
出版者
桐丘学園 桐生大学・桐生大学短期大学部
雑誌
桐生大学紀要 (ISSN:21864748)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.49-54, 2021 (Released:2022-04-02)
参考文献数
8

慢性腎臓病は,腎機能が徐々に低下し末期腎不全に進行するため,食事療法は一生涯を通じて行う必要があり, たんぱく質や塩分,カリウム,リンの制限など多くの配慮を伴う. 慢性腎臓病患者のハレの食事に焦点を当て,療養食の可能性を模索し,患者のQOL向上を目的として行った. 食事は,慢性腎臓病食との互換性が見込まれ,ハレの日の食事に適した非日常を演出するために「イタリアコー ス料理」とした. 献立はエネルギーとたんぱく質,塩分を調整した3種類とし,試作および試食後のアンケートを実施した. 試作したコース料理は,献立全体の味付け,量,料理の組み合わせ,演出性のそれぞれの観点から高い評価を得 られた.また,栄養価に関しては予定通りのエネルギー量とたんぱく質量を達成できた. 慢性腎臓病食とイタリアコース料理との互換性を示すことができ,また,コース料理の形式を採用することで, 制限による量の少なさを感じにくくすることが満足感に寄与していると考えられる. 今回の結果をもとに,今後はより種類豊富な献立の開発を行い,より多くの疾患を持つ人に適応するコース料理 として開発を進めていきたい.
著者
橋本 まさ子
出版者
桐丘学園 桐生大学・桐生大学短期大学部
雑誌
桐生大学紀要 (ISSN:21864748)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.55-61, 2017 (Released:2020-06-18)
参考文献数
22

おはぎ・ぼたもちには,行事食としての地域差は残っていたが,今後は,食したいときに購入する日常食および 和菓子として,手軽に入手できる米の加工品の1つになっていくものと推測される.地域・家庭での行事食としては, わずかな伝承にとどまるようにうかがえる. 日本人が作り上げてきた,穀類(米)の消費のためにも今後このような食品の加工方法を検討する必要性があると 思われる.
著者
榮 昭博 吉村 英悟
出版者
桐丘学園 桐生大学・桐生大学短期大学部
雑誌
桐生大学紀要 (ISSN:21864748)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.53-58, 2019 (Released:2020-06-11)
参考文献数
18

コーヒーに尿酸生成抑制作用をもつ成分を有するのかを確かめるため,3種類の市販粉末コーヒーを熱湯で抽出し, その希釈液についてキサンチンオキシダーゼ(以下,XOD)活性の阻害率を調べた.次に,コーヒーに含まれてい るいくつかの成分について,どの成分が尿酸生成抑制に関与するのかを調べるため,カフェ酸,フルフリルアルコー ル,キナ酸,カフェインについてXOD活性の阻害率を調べた. その結果,次のことがわかった. 1 .コーヒー希釈液については,濃度依存性のあるXOD 活性の阻害が示された.また,コーヒーの種類によっ て,その阻害の程度に違いが見られた. 2 .200μmol/L 濃度の各成分のXOD 活性の阻害率は,カルノシン酸75.8%,カフェ酸72.3%,カフェイン20.2%で あった.フルフリルアルコール,キナ酸の阻害率は極めて低かった. 3 .カフェインにおけるXOD活性阻害には濃度依存性が示されなかった. 4 .カフェ酸のXOD活性阻害には濃度依存性が示された. 5 .コーヒーにおけるXOD活性阻害は,コーヒーに含まれているカフェ酸の関与が示唆された.