著者
吉村 幸雄 井藤 英喜 吉村 英悟 鎌田 智英実 奥村 亮太 秦野 佑紀 鈴木 太朗 堀江 寿美 高谷 浩司 大見 英明
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.51-64, 2018-01-25 (Released:2018-03-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1

目的:移動販売車利用者の栄養素摂取量および食品摂取量を,店舗利用者のそれらと比較した.さらに,移動販売車利用者の中で買い物回数の違いおよび買い物手段が移動販売車以外にもある場合と無い場合の栄養素摂取量および食品摂取量についても比較した.これらの検討から,移動販売車利用者の栄養摂取状況の問題点を明らかにする.方法:買い物に移動販売車または店舗を利用した65歳以上の女性高齢者257名を対象に24時間思い出し法による食事調査および食料品アクセスに関するアンケート調査を実施した.栄養素摂取量および食品摂取量の比較は,年齢を共変量とした共分散分析により行った.結果:移動販売車利用者の栄養素および食品摂取量は,店舗利用者と比較して,エネルギー摂取量が168 kcal有意に低く,また3大栄養素および種々のビタミン,ミネラル類が有意に低値であった.食品摂取量では,移動販売車利用者は緑黄色野菜,その他の野菜,肉類等が有意に低値であった.次に移動販売車利用者について解析を行った.移動販売車のみを買い物手段とする者は,移動販売車以外に買い物手段を持つ者より,エネルギー,3大栄養素およびその他の栄養素が有意に低値であった.さらに,移動販売車のみの利用者で買い物回数と栄養素摂取量および食品摂取量を比較したところ,1週間の買い物回数が1回の者は,2回の者よりもエネルギー,たんぱく質等の摂取量が有意に少なかった.結論:移動販売車利用者では,3大栄養素や種々のミネラル,ビタミン摂取量が低値であり,食品としては野菜,肉類,乳類等の摂取量が少なかった.これらの事実は,移動販売車利用者では,食事量そのものが不足気味であることを示唆している.その一因として,移動販売車以外の他の買い物手段がないことや買い物回数が週に1回であることが考えられ,これらの改善が望まれる.
著者
榮 昭博 吉村 英悟
出版者
桐丘学園 桐生大学・桐生大学短期大学部
雑誌
桐生大学紀要 (ISSN:21864748)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.53-58, 2019 (Released:2020-06-11)
参考文献数
18

コーヒーに尿酸生成抑制作用をもつ成分を有するのかを確かめるため,3種類の市販粉末コーヒーを熱湯で抽出し, その希釈液についてキサンチンオキシダーゼ(以下,XOD)活性の阻害率を調べた.次に,コーヒーに含まれてい るいくつかの成分について,どの成分が尿酸生成抑制に関与するのかを調べるため,カフェ酸,フルフリルアルコー ル,キナ酸,カフェインについてXOD活性の阻害率を調べた. その結果,次のことがわかった. 1 .コーヒー希釈液については,濃度依存性のあるXOD 活性の阻害が示された.また,コーヒーの種類によっ て,その阻害の程度に違いが見られた. 2 .200μmol/L 濃度の各成分のXOD 活性の阻害率は,カルノシン酸75.8%,カフェ酸72.3%,カフェイン20.2%で あった.フルフリルアルコール,キナ酸の阻害率は極めて低かった. 3 .カフェインにおけるXOD活性阻害には濃度依存性が示されなかった. 4 .カフェ酸のXOD活性阻害には濃度依存性が示された. 5 .コーヒーにおけるXOD活性阻害は,コーヒーに含まれているカフェ酸の関与が示唆された.