著者
土田 靖久 廣畑 佳和 榎本 雄司 下岡 三穂 廣畑 賢一
出版者
和歌山県農林水産部
雑誌
和歌山県農林水産試験研究機関研究報告 = Bulletin of the Wakayama Prefectural Experiment Stations of Agriculture, Forestry and Fisheries (ISSN:21875634)
巻号頁・発行日
no.4, pp.77-84, 2016

ウメ'南高'を段ボール,アルミ蒸着袋,発砲スチロール等の資材を用いた数種の梱包方法で3~5℃の温度条件で香港へ輸送し,品質変化を調査した。また,現地では設備の都合により測定できない果肉硬度およびエチレン生成量を,香港輸送と同じ条件下でうめ研究所において測定した。集荷日から香港での販売終了日までの15日間は,いずれの梱包方法でも果実の黄変,重量減少およびエチレン生成および低温障害果の発生が抑えられた。このことから,香港への果実輸送は,慣行の段ボール箱で対応可能と考えられた。しかし,それ以降は段ボールのみでの梱包では黄化,果実硬度の低下,エチレン生成量の増加および低温障害果の発生等が認められた。一方アルミ蒸着袋で段ボール箱あるいは果実を密封したものについては香港での販売終了日の1週間後でも品質が保持されていた。このことから,香港よりも輸送に時間がかかる地域への輸送には,アルミ蒸着袋の併用が有効と考えられた。
著者
宮前 治加 伊東 卓爾 小谷 真主 神藤 宏
出版者
和歌山県農林水産部
雑誌
和歌山県農林水産試験研究機関研究報告 = Bulletin of the Wakayama Prefectural Experiment Stations of Agriculture, Forestry and Fisheries (ISSN:21875634)
巻号頁・発行日
no.1, pp.39-48, 2013

1. ほ場で植栽された状態で開花したシュッコンカスミソウ小花は,半開時から満開時にブドウ糖と果糖が急激に増加し,満開小花の全糖含量は,'雪ん子'で54.5mg・g-1,'アルタイル'で53.5mg・g-1であった。2. 第2小花開花時に収穫したシュッコンカスミソウ切り花を0,2,4,6%のショ糖溶液で48時間処理した後,蒸留水に生け替え,部位別(1次茎,2次茎,小花)に糖含量の推移を調査した。この結果,ショ糖処理直後の茎中には処理濃度に応じてショ糖が蓄積されたが,その後は急激に減少した。このことから,吸収したショ糖は,茎から直接開花段階の小花に移行し,茎に蓄積されないことが推察された。一方,ショ糖処理直後の小花には,ブドウ糖と果糖が処理濃度の高い区ほど多く蓄積され,その後は徐々に減少したが,4%,6%区では,処理後6日目まで高い値で推移した。3. 室温20℃,光強度30μmol・m-2・S-1,24時間照明とした条件下で,ショ糖の処理期間を3水準(2日,4日,連続),ショ糖処理濃度を2水準(2%,4%)としてショ糖の処理期間と処理濃度が切り花品質に及ぼす影響を調査した。この結果,ショ糖濃度2%で4日,4%で2日の処理で12日後に90%の小花が開花し,小花中の糖含量も高い水準で推移した。