- 著者
-
心光 世津子
- 雑誌
- 武庫川女子大学看護学ジャーナル (ISSN:24240303)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, pp.63-68, 2016-03
本研究の目的は、地域に暮らす精神障害者の家族が、「回復」をどのようなものとして捉えているか、どのような要因がかかわり「回復」像が構築されているかを明らかにすることである。 精神疾患の診断を受け地域で暮らしている者と同一の世帯で暮らす家族3 名に、対象者の考える「回復」の定義、そう考えるに至った経緯等を尋ねる半構成的インタビューを行い、その逐語録を質的に分析した。 3 名は、精神障害者本人を長年みてきて生じた確信・思いをもとに「回復」の語りを構築していた。母親の語りからは、親子双方の発達課題が「回復」像の構築に関わっていると示唆された。「回復」が死ぬまでないとする語りは、幻聴に支配された長年の状況や治療への否定的な受け止めが関わっていた。「回復」への複雑な思いも見いだされ、家族に対して看護援助を行う際には、「回復」の受けとめにいたる心情を理解することが重要であると考えられた。