著者
劉 筱丹 阿曽 洋子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.2_75-2_84, 2011-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
24

本研究は,看護の専門職的自律性測定尺度の中国語版を作成し,中国H省H市医科大学付属病院の臨床看護師450名を調査対象者として,信頼性と妥当性の検証を行なった。また,中国における職位および経験年数と自律性の関係を明らかにした。尺度の中国語版と日本語版では因子構造に違いがみられた。専門職的自律性の平均得点は,職位の高いものは専門職的自律性も高い傾向がみられた。また,経験年数が増えるにつれて,専門職的自律性の平均得点が上昇する傾向もみられた。 中国においては,看護師の免許は2年毎の更新制であることに加え,高い業務上職位を得るためには,継続教育を受ける必要がある。このようなシステムが自律性の形成に寄与している可能性がある。経験年数増加に伴う自律性平均得点の上昇傾向は,仕事を続けやすい社会的背景が一因と考えられた。
著者
和泉 京子 阿曽 洋子 山本 美輪
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.538-554, 2012-01-20 (Released:2020-02-10)
参考文献数
52
被引用文献数
1

本研究の目的は,在宅の軽度要介護認定高齢者の要介護度の推移の状況とその要因を明らかにし,介護予防対策の示唆を得ることである.2004年度に要支援と認定された939人と要介護1と認定された659人の計1,598人について分析を行った.基本属性,身体・心理・社会的項目について単変量の解析より,5年後の要介護度と有意であった項目について,多重ロジスティック回帰分析を行った.要支援者および要介護1者共に,悪化の抑制には老研式活動能力指標得点の1点あがる毎が関連し,悪化の促進には後期高齢者,排泄の失敗ありが共通して関連していた.要支援者では,主観的健康感の非健康,趣味なし,要介護1者では,過去1年間の転倒経験ありも悪化の促進に関連していた. 軽度要介護認定高齢者に対しては,排泄の失敗の予防・支援,要支援者へは,趣味をもち活動することへの支援,要介護1者へは転倒予防の支援が介護予防につながると考えられる.
著者
山口 晴美 阿曽 洋子 田丸 朋子 片山 恵 清水 佐知子 岩﨑 幸恵 上田 記子 Harumi Yamaguchi Yoko Aso Tomoko Tamaru Megumi Katayama Sachiko Shimizu Yukie Iwasaki Noriko Ueda
雑誌
武庫川女子大学看護学ジャーナル (ISSN:24240303)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.13-23, 2019-03-20

温熱作用に関して手浴が全身浴の代用が可能かについて、健康な女子大生18 名を対象に比較検証した。方法は、全身浴と手浴を別日に実施し、湯温約40℃の全身浴及び手浴を10 分間行いその後60 分安静とした。左右の手背・前腕・下腿・足背の8 箇所の皮膚温を連続測定し、温度感覚と快適感覚も調べた。全身浴と手浴は、どちらも左右の手背・前腕・下腿の皮膚温を上昇させ実施後60 分までその影響が続き、実施後60 分値に差がなく、基準値より有意に高く同様の温熱作用を及ぼした。温度感覚は、手浴と全身浴とも浸水していた手は実施後に高まり両者で差がなかった。手浴中湯外の部分は、実施後は全身浴より低いが、終了時には全身浴と差がなくなっていた。快適感覚は、手浴も全身浴も実施後の快適感は高まるが、終了時は手浴の方が高かった。以上より、手浴は全身浴の代用として有効であり、手浴の温熱作用は全身浴と比べて快適感が高い可能性が示唆された。
著者
徳重 あつ子 阿曽 洋子 伊部 亜希 岡 みゆき 片山 恵
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.15-27, 2009-02-10 (Released:2009-08-13)
参考文献数
43

This study examined the effect of sitting positions on cerebral activation for people in bed and analyzed postural significance. The subjects were 30 healthy adults. We recorded their EEGs in α and β band and performed a subjective test in supine and sitting positions with the head of the bed elevated at 30° and 80°. First, measurements were made in the supine position for 5 minutes, and the head of the bed was then elevated. Measurement continued in the sitting position for 15 minutes at 3 stages: Stages 1, 2, and 3. Using the supine position as a baseline, we compared the supine and sitting positions. We also compared the two angles, 30° and 80°. The EEG showed a significant increase at the 80° for all measured regions and intervals, and a partially significant increase was noted at 30°. Comparing the effect of different angles confirmed the significance of 80° at Stages 1 and 2. Moreover retention time of cerebral activation at 80° is longer than that at 30°. The subjective test also confirmed a higher degree of awakening in the sitting position and in a bed at 80°. Consequently, the effect of the sitting position verified cerebral activation.
著者
木村 静 阿曽 洋子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.531-539, 2009-01
参考文献数
26
被引用文献数
1

女性への足裏マッサージによる排便促進効果を明らかにすることを目的とし,実験研究を行った。被験者は,9名の女性(平均年齢31.3±8.29歳,平均BMI22.7±2.94)であった。すべての被験者が2日間同一条件にて実験を行った。マッサージの内容は,研究者が施行した15分間の足裏マッサージであった。測定項目は,自律神経としてHF(副交感神経成分)とLF/(HF+LF)(交感神経成分),腸音,皮膚温であった。分析方法は各測定区間間と2群間でフリードマン検定とウィルコクスン符号付順位和検定を行った。結果,HFではマッサージ後3区間目に介入群が対照群より高く(p=0.051),LF/(HF+LF)では両群で差は認めなかった。腸音では介入群においてマッサージ前と比べマッサージ後に有意な増加があり(p<0.0125),2群の比較ではマッサージ後1〜3区間において介入群が対照群よりも高く有意差があった(p<0.05)。皮膚温では,介入群においてマッサージ中に低下し,マッサージ後上昇した。以上より,足裏マッサージには,リラックス効果,腸音の増加に伴う排便促進効果があることが考えられた。