著者
心光 世津子
雑誌
武庫川女子大学看護学ジャーナル (ISSN:24240303)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.63-68, 2016-03

本研究の目的は、地域に暮らす精神障害者の家族が、「回復」をどのようなものとして捉えているか、どのような要因がかかわり「回復」像が構築されているかを明らかにすることである。 精神疾患の診断を受け地域で暮らしている者と同一の世帯で暮らす家族3 名に、対象者の考える「回復」の定義、そう考えるに至った経緯等を尋ねる半構成的インタビューを行い、その逐語録を質的に分析した。 3 名は、精神障害者本人を長年みてきて生じた確信・思いをもとに「回復」の語りを構築していた。母親の語りからは、親子双方の発達課題が「回復」像の構築に関わっていると示唆された。「回復」が死ぬまでないとする語りは、幻聴に支配された長年の状況や治療への否定的な受け止めが関わっていた。「回復」への複雑な思いも見いだされ、家族に対して看護援助を行う際には、「回復」の受けとめにいたる心情を理解することが重要であると考えられた。
著者
山口 晴美 阿曽 洋子 田丸 朋子 片山 恵 清水 佐知子 岩﨑 幸恵 上田 記子 Harumi Yamaguchi Yoko Aso Tomoko Tamaru Megumi Katayama Sachiko Shimizu Yukie Iwasaki Noriko Ueda
雑誌
武庫川女子大学看護学ジャーナル (ISSN:24240303)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.13-23, 2019-03-20

温熱作用に関して手浴が全身浴の代用が可能かについて、健康な女子大生18 名を対象に比較検証した。方法は、全身浴と手浴を別日に実施し、湯温約40℃の全身浴及び手浴を10 分間行いその後60 分安静とした。左右の手背・前腕・下腿・足背の8 箇所の皮膚温を連続測定し、温度感覚と快適感覚も調べた。全身浴と手浴は、どちらも左右の手背・前腕・下腿の皮膚温を上昇させ実施後60 分までその影響が続き、実施後60 分値に差がなく、基準値より有意に高く同様の温熱作用を及ぼした。温度感覚は、手浴と全身浴とも浸水していた手は実施後に高まり両者で差がなかった。手浴中湯外の部分は、実施後は全身浴より低いが、終了時には全身浴と差がなくなっていた。快適感覚は、手浴も全身浴も実施後の快適感は高まるが、終了時は手浴の方が高かった。以上より、手浴は全身浴の代用として有効であり、手浴の温熱作用は全身浴と比べて快適感が高い可能性が示唆された。
著者
心光 世津子 Setsuko Shimmitsu
雑誌
武庫川女子大学看護学ジャーナル (ISSN:24240303)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.63-68, 2016-03-01

本研究の目的は、地域に暮らす精神障害者の家族が、「回復」をどのようなものとして捉えているか、どのような要因 がかかわり「回復」像が構築されているかを明らかにすることである。精神疾患の診断を受け地域で暮らしている者と同一の世帯で暮らす家族3名に、対象者の考える「回復」の定義、そう考えるに至った経緯等を尋ねる半構成的インタビューを行い、その逐語録を質的に分析した。3名は、精神障害者本人を長年みてきて生じた確信・思いをもとに「回復」の語りを構築していた。母親の語りからは、親子双方の発達課題が「回復」像の構築に関わっていると示唆された。「回復」が死ぬまでないとする語りは、幻聴に支 配された長年の状況や治療への否定的な受け止めが関わっていた。「回復」への複雑な思いも見いだされ、家族に対して 看護援助を行う際には、「回復」の受けとめにいたる心情を理解することが重要であると考えられた。