著者
上野 行一
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.1-20, 2022-12-03 (Released:2022-12-04)

中教審答申(2021)を受け、STEAM教育の政策立案や教育課程の策定、そして試行的な実践が各地で始まっている。しかし我が国においては、STEAM教育はもとよりその前身であるSTEM教育に関しても、国の教育政策上は十分に触れられてこなかったという経緯があり、STEAM教育の実施については混乱や理解の偏りが見られる。とりわけSTEAMのAの捉え方とSTEAM教育の教育課程上の位置付けについては様々な考え方があり、議論を呼んでいる。 本研究では、STEM及びSTEAM教育の発祥国である米国の教育省や全米教育委員会、全米教育庁芸術教育担当理事会等の公的機関におけるSTEAM教育の解釈を分析した。その結果、STEAMのAは芸術教科であり、教育課程上は芸術教科とSTEM教科が共通のテーマに沿い、教科のスタンダードに基づいた学習であることを明らかにした。その上で、今後の我が国におけるSTEAM教育の在り方について言及した。
著者
中島 徹
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.2, no.11, pp.202111, 2021 (Released:2021-05-11)

昨年から続くCOVID-19 の世界的な流行により、博物館の活動は大きく影響を受けることとなりました。本稿では、学び研メルマガ第330 号と362 号に寄稿した内容を再録し、この1年間でオンラインの取り組みがより工夫を凝らしたものに進化してきたことを振り返ってみたいと思います。
著者
冨田 晃
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.1-20, 2022-10-05 (Released:2022-10-07)

小学校における刃物の扱いに関するアンケート調査をおこない1,196人から回答を得た。集計、分析の結果、小学校における刃物の扱いの実態に特段の地域差は認められないこと。戦後時代とともに変化してきたこと。その変化は、社会の変化と強く関係している一方で、学習指導要領とはあまり関係していないこと。刃物によるケガの発生頻度は、児童の日常から刃物を遠ざけたことに伴って高くなったこと。刃物によるケガが図画工作嫌いの児童を生じさせる一因になっていること。刃物によるケガの一因に教科書が示す「おかしな教え」があることなどが明らかになった。今後の課題は、安全指導の適切化と、刃物への責任感を育む教育をいかにおこなうかである。
著者
上野 行一
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.1-15, 2023-09-25 (Released:2023-09-27)

2021年、中教審は「令和の日本型学校教育」の構築に関する答申において、STEAMのAを広い範囲(Liberal Arts)と定義した。筆者は「芸術統合学習としてのSTEAM教育の考察(1)」*において、この定義はSTEAMのAをArts(芸術)と捉え、芸術の創造性や身体性、楽しさ等を重視した欧米を中心とする21世紀型教育の新しい枠組み、芸術統合学習としての性格を併せ持つSTEAM教育の動向とは異なるものであること、およびその問題点を指摘した。 このような重大な決定はどのような議論を通してなされたのだろうか。本稿では答申までの中教審議事録におけるSTEAMのAに関する議論を精査し、その定義の成立過程を明らかにした。本稿はSTEAM教育の教育課程の編成に示唆を与えるものであり、「芸術統合学習としてのSTEAM教育の考察(1)」を補完する資料として位置付けられる。 *上野行一「芸術統合学習としてのSTEAM教育の考察(1)―米国におけるSTEAM教育政策の見地から―」、日本・美術による学び学会『美術による学び』3巻4号、2022
著者
増本 達彦 鏡原 崇史
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.1-19, 2022 (Released:2023-03-03)

本研究では、保育士・幼稚園教諭を目指す大学生における①造形表現活動の好き嫌いの割合、②造形表現活動を好きになる要因及び嫌いになる要因を明らかにすることを目的とした。保育学生83 名に対してアンケート調査を行った結果、「好き」49 名(59%)、「嫌い」18 名(22%)、「どちらでもない」16名(19%)と、保育学生の半数以上が造形表現活動に対して肯定的なイメージを有していることが示された。また、好き嫌いの理由について計量テキスト分析を行った結果、造形表現活動における正解のなさや「他者」の存在が「好き」の要因であると同時に、「嫌い」の要因でもあることが示された。「他者」の存在は、多様性に気づく要因の一つであり、同時に劣等感の原因や「自己」の努力の成果を脅かす存在とも捉えられていた。さらに、技術的な困難も「嫌い」の要因として影響していることが明らかとなった。以上をふまえ、保育学生が造形表現活動を好きになるような教授方法についての提案を行った。
著者
胡 熙
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-16, 2022-04-22 (Released:2022-04-23)

本論文は、60年代にイタリアで興ったアルテポーヴェラという美術運動を取り上げ、現代の美術教育が直面している経済化、形式化、権威化などの諸問題を乗り越えるため、アルテポーヴェラから現代の美術教育へどのような可能性を引き出せるのかを提言する論文である。まずアルテポーヴェラの起源及び理念を明確にし、60年代のイタリア及び世界の社会背景を明らかにした。最後は、アルテポーヴェラと共通点が伺える中国の「厦門達達(シャーメンダダ)」という美術運動を考察しながら、芸術の限界、反解釈的な美術教育観という二つの視点を中心に、美術教育への提言を示した。
著者
武居 利史
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.2, no.10, pp.202110, 2021 (Released:2021-05-11)

2020 年度は、新型コロナウイルス感染症により、どこの美術館の教育普及事業にも多大な影響が出たことだろう。展覧会事業を再開している美術館でも、ワークショップやギャラリートークのような多数の人が集まるイベントは、人数を制限して開催したり、休止したりしているところも少なくないようだ。東京の府中市美術館でも、ワークショップは夏休みを除いてほとんど休止し、オンラインプログラムの開発に力を入れている。しかし、年間を通して受け入れる学校の団体鑑賞は、ただちにオンライン化という選択は難しく、感染症対策を徹底した形での実施を模索してきた。学校鑑賞が全面中止になった美術館もあると聞いているが、コロナ禍だからといって子どもたちが美術館で学ぶ機会を奪いたくはない。府中市での学校鑑賞は、中止を避けるべく努力を重ねてきた。一年間の経過をふりかえるとともに、学校鑑賞における今後の課題について考えてみたい。
著者
亀井 愛
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.2, no.9, pp.202109, 2021 (Released:2021-05-11)

新型コロナウイルス感染症の収束の兆しがみえない現在、三井記念美術館では、年度内の教育普及活動のほとんどを次年度以降に見送ることになりました。そのような状況のなかで継続的に発行、配布している鑑賞ワークシートについてご紹介します。
著者
水谷 亜希
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.2, no.8, pp.202108, 2021 (Released:2021-05-11)

古美術を扱うミュージアムでは、作品を「見る」ことと、解説を「読む」ことが、来館者の体験のほとんどを占めます。京都国立博物館では、そこに「さわる」「話す」を加える活動を行ってきました。コロナの影響で現在は活動中止中ですが、これまでの経緯と、この状況下で見えたことについて述べます。
著者
今井 敬子
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.2, no.7, pp.202107, 2021 (Released:2021-05-11)

新型コロナウイルス感染症の拡大防止策のため、世界各国の地域において人々は自宅待機し、博物館・美術館は相次いで休館している。このような状況下で、閉館中の美術館はどのような役割を担えるのだろうか?国内外の美術館におけるHP 上での活動について紹介する。 (※原稿内容は、2020 年4 月初旬から19 日のまでの間に収集した情報を元にしている。)
著者
遊免 寛子
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.202106, 2021 (Released:2021-05-11)

新型コロナウィルスの感染拡大により、美術館の活動は大幅な見直しを迫られています。これまで、作品と人をつなげる、人と人をつなげることを目指し、コミュニケーションを重視してプログラムを組み立ててきた美術館の教育普及活動は、これからの時代に、どのような形でその目標を遂げることができるのでしょうか。当館の活動を例に考えてみようと思います。