著者
中島 徹夫
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

放射線の血管系影響としてアテローム性動脈硬化症との関連が指摘されている。アテローム性動脈硬化症の修飾因子としては酸化ストレスなどアポトーシス(細胞死)誘導能を持つものが多いため、動脈硬化症の発症と進展における血管平滑筋細胞のアポトーシスの関与について放射線影響との関わりについて解析を行い酸化型LDL(低密度リポタンパク質)前処理で放射線誘導性アポトーシスが増強され、そこにプロテインキナーゼC(リン酸化酵素の1種)、酸化脂質が介在することを明らかにした。
著者
中島 徹也
出版者
公益財団法人 竹中大工道具館
雑誌
竹中大工道具館研究紀要 (ISSN:09153685)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.45-101, 2023-03-20 (Released:2023-03-20)
参考文献数
20

本稿は明治時代から大正、昭和にかけて活躍した大阪の大工道具鍛冶一門「善作」を調査したものである。主な内容は次の通り。 1. 「 善作」には言い伝えや伝説は多数あるが、正確な情報に基づく考察はこれまで無かった。そこで、竹中大工道具館が所蔵する善作の資料や一般書籍に掲載されている記事はもちろん、大工や木工家、道具商などがこれまで個人で調査された情報も加味し、現時点で善作について分かっていることをまとめた。 2. 初代から三代に至る善作の経歴を明らかにした。 3. 三代目善作の疎開先について関係者の証言を得ることができた。 4. 作品の判断基準を示し、現時点で把握している作品と刻印を一覧表にまとめた。
著者
中島 徹
出版者
日本・美術による学び学会
雑誌
美術による学び (ISSN:24356573)
巻号頁・発行日
vol.2, no.11, pp.202111, 2021 (Released:2021-05-11)

昨年から続くCOVID-19 の世界的な流行により、博物館の活動は大きく影響を受けることとなりました。本稿では、学び研メルマガ第330 号と362 号に寄稿した内容を再録し、この1年間でオンラインの取り組みがより工夫を凝らしたものに進化してきたことを振り返ってみたいと思います。
著者
津脇 晋嗣 中島 徹 龍原 哲 白石 則彦
巻号頁・発行日
no.133-134, pp.41-74, 2016 (Released:2016-09-14)

我が国の森林・林業政策において,森林の多面的機能がどのように重視され推移してきたかを調べるため,林野庁における森林・林業に関する事業に着目して,森林の多面的機能に関する用語・記述が使われている事業の内容や予算額の推移などからその変遷などを調べた。その結果,森林の多面的機能の発揮を期待した事業量は60%~80%で推移し,事業に用いられる森林の多面的機能の種類は時期が進むほど多様化する変化がみられた。その変化は平成4年の「地球サミット」などを契機に大きくなり,保健・レクリエーション機能,生物多様性保全機能や地球環境保全機能などに関する用語・記述が増え,時期を追うごとに,ほぼ全ての多面的機能がほぼ全ての事業区分にみられ,異なる事業区分が一体となって推進する可能性も考えられた。また,森林の多面的機能を重視する傾向は,森林整備などの公共事業から,計画の策定や制度の充実などのソフト対策を行う非公共事業に移行していると考えられた。森林の多面的機能の持続的な発揮を図るため,今後とも持続可能な森林経営を行うことが重要であり,木材を利活用していくことへの国民の理解や森林所有者が伐採後の再植林や保育活動などに利点を見出せる状況をつくることが重要と考えられた。
著者
胡 長洪 福地 信義 中島 徹
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
no.189, pp.127-135, 2001-06

In many compartment natural-convection problems associate with functional design of beat transfer for ships and ocean structures, large temperature difference occurs between the surrounding walls. Examples of such heat transfer problems include a cabin of a passenger ship when the neighboring cabin is on fire, and reefer holds of a refrigerating cargo ship. In these situations, heat radiation exchange among the wall surfaces cannot be neglected if the wall emissivities are not very small. In this paper, a numerical study is reported on combined turbulent convection, heat radiation and conduction in a rectangular enclosure with all six surrounding walls having finite emissivity and conductance. The turbulent convection is computed by a large eddy simulation (LES) method. The emphasis of the study is on the effects of wall radiation exchange on turbulent natural convection in a rectangular enclosure. For comparison with the computation, a laboratory experiment is also carried out on a rectangular enclosure with one sidewall heated by electric heaters. The effect of wall radiation on the natural convection is investigated by changing the wall emissivities. Excellent agreement of temperature between numerical predictions and the experimental measurements is obtained.
著者
川崎 昭如 服部 一樹 浦川 豪 中島 徹也 佐土原 聡
出版者
Geographic Information Systems Association
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.25-32, 2001-09-30 (Released:2009-05-29)
参考文献数
10
被引用文献数
3 1

Two methods and a system for the measure against slope failure disaster using GIS are proposed in this paper. 1) Method of extracting cliff and potential area, suffered from slope failure, by DEM and Landuse data. 2) Method of extracting potential slope failure area by rainfall data, and a system of conveying this information to local residents. These methods can be applied to many places where these data are available. Moreover, dangerous cliffs and the areas are extracted at the same time even in wide city area. These methods will allow us to extract dangerous cliff and area without fieldwork, and this information will help local residents with proper actions. Minami ward, Yokohama city, was selected as a study area.
著者
広嶋 卓也 中島 徹 鹿又 秀聡 堀田 紀文
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.409-415, 2021-12-01 (Released:2022-04-08)
参考文献数
19

再生可能エネルギー固定価格買取(FIT)制度において,間伐材や林地残材からなる未利用木材による木質バイオマス発電に対して,調達価格が高値に設定されたことを受け,未利用木材の利用量は年々増加している。そして未利用木材の中で,間伐由来の原材料割合は約4割を占めることから,間伐材生産量の増減が未利用木材に与える影響は無視できない。以上を踏まえ,本研究では,既往モデルを利用して,FIT制度の電源調達期間である20年間にわたる,都道府県別・間伐材生産量のシミュレーションを行った。シミュレーションでは,47都道府県を,間伐量に応じて3グループに分類しグループごとに,モデルの主要パラメータである,間伐面積,間伐材搬出率について,2012年(実績値)から2032年にかけての変化の傾向を3通り作成した。一つは,2012年以降の時系列変化の傾向を延長した「すう勢シナリオ」で他は,パラメータの変化の増減傾向に仮定をおいた「間伐減退シナリオ」および「間伐増進シナリオ」である。これら三つのシナリオに従い,都道府県別の間伐材生産量がどのように変化するか調べた。各都道府県に共通して見られた傾向として,間伐材生産量は,間伐増進シナリオ>すう勢>間伐減退の順に大きく,2012年から2032年にかけて間伐増進シナリオは増加,すう勢は減少,間伐減退は大きく減少する結果となった。都道府県別に見ると,北海道,静岡,大分,鹿児島の4道県は,間伐材生産量が大きく,かつ今後さらに生産量を増やす余地があるという点で,今後の未利用木材の需要増に応える上で,重要度が高いと考えられた。
著者
中島 徹
出版者
東北大学法学会
雑誌
法学 = HŌGAKU (THE JOURNAL OF LAW AND POLITICAL SCIENCE) (ISSN:03855082)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.101-123, 2020-01-28
著者
牧野 耕輔 岡 勝 加治佐 剛 寺本 行芳 芝 正己 中島 徹 長濱 孝行
出版者
森林計画学会
雑誌
森林計画学会誌 (ISSN:09172017)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.53-62, 2020

<p>牧野耕輔・岡勝・加治佐剛・寺本行芳・芝正己・中島徹・長濱孝行:<b>鹿児島県大隅地域を対象にしたスギ材の幹曲線式の算定と素材品質の実態分析-鹿児島大学高隈演習林を事例にして-,森林計画誌53:53~62,2020</b> 素材生産現場では,収益性が高くなるよう施業が行われているが,品質等級や素材歩留りを決定する採材は,作業者の経験則に依るところが大きいのが実態である。本研究では,生産現場でリアルタイムに情報を収集し,得られた丸太情報の活用可能性について検討した。プロセッサ造材時に伐倒木の端材長,素材長,梢端部長および各末口の鋸断径の計測結果から幹曲線式を作成することで,伐倒木の形状を解析するとともに,素材歩留りと素材の品質等級を推定した。その結果,スギ材の素材歩留りが大隅地域における既往文献の値と矛盾しないことが判明した。また,形状比を指標に品質等級の出現頻度を分析したところ,BC 材は形状比との相関がみられたが,A 材は相関が無く有意差が認められなかった。</p>
著者
中島 徹
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稻田法學 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.379-416, 2019-09-23
著者
今岡 達彦 勝部 孝則 川口 勇生 臺野 和広 土居 主尚 中島 徹夫 森岡 孝満 山田 裕 王 冰 神田 玲子 西村 まゆみ 二宮 康晴 村上 正弘 吉永 信治 柿沼 志津子
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.68-76, 2017 (Released:2017-07-29)
参考文献数
3
被引用文献数
4

Strategic research will be needed to unveil the uncertainty regarding the health effect of radiation at low dose and low dose rate. Recently, the National Council on Radiation Protection and Measurements (NCRP) published Commentary No. 24 dealing with the perspective of integrating radiation biology and epidemiology to address this issue. Results of radiation biology have not been effectively used for radiation risk assessment because 1) available epidemiological studies based on direct observation of human population have been considered to be the most relevant despite their uncertainties and 2) biological studies have not been conducted with their use in risk assessment in mind. The present paper summarizes the Commentary to present perspectives on integrating biology and epidemiology for radiation risk assessment.
著者
柿本 彩七 瀧 景子 中島 徹夫 王 冰 田中 薫 VARES Guillaume 呉 健羽 酒井 一夫 齋藤 俊行 小島 周二 月本 光俊 根井 充
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.99-110, 2008 (Released:2008-03-06)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

放射線適応応答は,予め低線量放射線(priming dose)を照射しておくことで,その後の中・高線量放射線に対する抵抗性を獲得する生体の防御的反応である。放射線適応応答は,低線量放射線が中高線量放射線とは質的に異なる影響を生体に及ぼすことを意味しており,低線量放射線のリスクを評価する上で重要な生命現象である。本研究では,ヒトリンパ芽球由来細胞AHH-1におけるHPRT遺伝子座突然変異を指標とした放射線適応応答の分子機構を解析した。まず,3GyのX線照射後のHPRT遺伝子座における突然変異頻度が0.02Gyから0.2Gyのpriming dose照射によって有意に低下することを観察した。一方,0.005Gyの事前照射では有意な適応応答が観察されなかったことから,priming doseの下限が0.005Gyと0.02Gyの間にあることが示唆された。次に,poly(ADP-ribose)polymerase 1の阻害剤である3-aminobenzamide(3AB)は染色体異常を指標とした放射線適応応答を阻害することが報告されているが,本研究では3AB存在下でも突然変異を指標とした場合に有意な適応応答が観察された。このことから,細胞の違いに原因がある可能性は排除できないものの,指標によって異なるメカニズムが機能していることが示唆された。更に,HiCEP(high coverage expression profilling)法を用いて遺伝子発現変化の網羅的解析を行った。その結果,0.02Gy照射6時間後に有意に発現変動する遺伝子17個が検出された。また,priming doseがchallenge doseに対する応答に影響している可能性を考えて,3Gy照射後3時間及び18時間における遺伝子発現を0.02Gyの事前照射をした場合と照射しない場合で比較した。その結果,3Gy照射後3時間では17個,18時間では20個の遺伝子の発現変動が観察された。遺伝子の機能検索を行った結果,MAPキナーゼを介する細胞内情報伝達関連遺伝子や酸化還元関連遺伝子等が放射線適応応答に相関して発現変動していることがわかり,放射線適応応答の一因を担う可能性が考えられた。
著者
石原 陽子 中島 徹 富田 幸子 荻原 啓実
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.気管内投与したナノ粒子の体内動態について検討したところ、投与3日目では肺胞腔沈着と肺胞マクロファージによる貪食が、7日目ではI型肺胞上皮細胞や基底膜への沈着や血管腔への移行が認められた。10日目では、I型肺胞上皮細胞、血管腔、肝臓クッパー細胞、嗅球で検出され、沈着部位が広範であることが示唆された。2.ナノ粒子としてディーゼル排ガス暴露実験を行ない、生体影響評価の際の指標を検討した。生理的指標として心拍数、不整脈数、HRV,体温等が、分子生物学的指標としては炎症関連サイトカイン類、ANP,BNP等が選択された。しかしながら、これらの指標と心不全との関連性は、明確ではなかった。3.ディーゼル粒子とその表面を有機溶剤で処理した粒子の炎症性サイトカイン遺伝子発現を指標とした検討では、単位重量当たりの効果は無洗浄粒子に比較して洗浄粒子の影響が強かった。洗浄粒子は無洗浄粒子と比較して単位重量当たりの粒子数が多いことから、この結果には粒子の物理的特性が関与していることが考えられた。4.ディーゼル粒子表面の有機成分の心肺機能と炎症作用について検討したが、心拍数、自律神経、血圧、体温には著しい影響は認めず、気管内投与直後に炎症細胞の軽度な浸潤を認めたが、その影響は速やかに回復した。5.ナノ粒子のリスク評価では、最初の吸入・沈着部位としての肺局所のみならず心臓、神経、脳等への全身影響について、粒子の化学的・物理的特性も充分に考慮して評価する必要があることが示唆された。