著者
下村 賢人 高島 健太郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2P-73, pp.741-745, 2020-03-02

日常生活において,飲酒の際に思いついたアイデアを,翌朝の素面時に発展させることで,より良いアイデアの創出ができることがある.本研究では,飲酒者の出すアイデアを非飲酒者が活用することで,より良いアイデアを生み出せるのではないかと考え,それを検証するものである.近年,既存の概念にとらわれない発想を行う目的で,飲酒の機会を活用しようとする事例が見られる.しかし,飲酒時に創出されるアイデアをどのように活用すべきかについては,十分に検証されていない.そこで本研究では,一人飲みの前後で発散的思考に関する課題を行う実験を実施し,そこで創出されたアイデアの分析を行った.そのうえで,その結果の特徴からいくつかのアイデアを抽出し,非飲酒者に提示してアイデアを生成してもらい,生成されたアイデアの分析を行った.その結果,非飲酒者のアイデアを活用したときと比較して,飲酒者のアイデアを活用したときに実現可能性がやや低下するが,独自性を向上させる可能性があることが示唆された.