著者
秦 良平 飯島 正
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.99-106, 2015-08-31

業務プロセスから業務ルールを取り出し,管理する業務ルール管理 (BRM; Business Rule Management) は,業務プロセス管理 (BPM; Business Process Management) の効率化に有効である.業務ルールの中でも,「時間制約に関するルール」は重要な要素の一つであり,本研究では,業務プロセスにおいて「時間制約に関するルール」をモデル検査手法を用いて検証することを目指す.著者らが提案する業務プロセス表記法に対して,時間表現を導入し,時間制約を含めたモデル検査ツールUPPAALで検査可能なモデルである時間オートマトンに自動変換する仕組みを提供することで,それを可能にする.
著者
阿萬 裕久 天嵜 聡介 佐々木 隆志 川原 稔
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.69-76, 2015-08-31

ソフトウェア開発において,潜在フォールトの早期検出と除去は重要な課題であり,そのための支援技術の一つとしてプログラム中のコメントに着目する手法が研究されている.コメントはプログラムの理解容易性を高める上で有用な要素であるが,複雑で分かりにくい部分に対してその可読性の低さを補う目的で追記されることもある.これまでにJavaプログラムを対象とした調査がいくつか行われ,メソッドの中にコメントが書かれている場合にそのメソッドのフォールト潜在性は他のメソッドに比べて高いという傾向が確認されている.本論文では,コメントに着目したフォールト潜在予測の精度向上に向け,新たな視点としてメソッドにおけるローカル変数の名前とスコープの長さに着目した調査(データ収集と分析)を行っている.三つの著名なオープンソースソフトウェアを対象とした調査の結果,コメントのみならず変数の名前の長さとスコープの長さも考慮した分類を行うことの有効性が確認されている.
著者
伏田 享平 渡辺 絢子 今井 二郎 山中 啓之 藤貫 美佐 戸村 元久
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.57-62, 2015-08-31

ITシステム開発においてプロジェクトが失敗する原因の一つとして,計画時やプロジェクトの早期に開発対象システムの仕様を十分に把握できていなかったことが挙げられる.開発対象の規模に応じた十分なプロジェクト体制を構築できていない場合,開発要員がシステム全体の仕様を十分把握することができず,結果としてプロジェクトの問題化につながる可能性がある.本稿では開発計画時の規模とプロジェクト体制に着目する.開発要員1 人あたりが把握すべきシステムの規模を「仕様把握規模」と定義し,この規模とプロジェクトの成否との関係を定量的に分析した.分析にあたっては,要件定義工程での体制と開発規模との関係に着目した.分析の結果,仕様把握規模が50KS/人以上であったプロジェクトは失敗する可能性があることがわかった.仕様把握規模を導入することで,開発体制の観点からプロジェクト計画の妥当性をチェックできる可能性がある.