著者
矢崎 慶太郎
出版者
専修大学社会知性開発研究センター/ソーシャル・ウェルビーイング研究センター
雑誌
ソーシャル・ウェルビーイング研究論集
巻号頁・発行日
vol.3, pp.9-31, 2017-03

文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成26年度~平成30年度)本論では,信頼に関するアンケート調査の結果を社会学理論に基づいて解釈することを通じて,信頼という概念から社会全体のあり方を捉えることを目的としている.そこでまず,社会学がどのように信頼を捉えてきたのかについて,本論2節では信頼が発生する基本的な条件を論じながら考察する.次に第3節では,ルーマン,ギデンズ,パットナムの社会学理論を参考にしながら,信頼関係の社会的変容について,特に社会の近代化が信頼関係に与える影響を中心に分析する.第4節では,信頼についての量的調査の結果を参照し,これらの調査データを社会学的にどのように解釈できるのかを考察する.そのために,家族,友人,近隣住民,ほとんどの人,見知らぬ人,公務員に対する信頼度の各種平均値の比較,および収入・幸福度・市民活動参加頻度が信頼に与える影響を分析する.なお本論で使用する調査データは,2015年2月に専修大学ソーシャル・ウェルビーイング研究センターが実施した「ライフスタイルと価値観に関する国際比較調査」である.
著者
金井 雅之
出版者
専修大学社会知性開発研究センター/ソーシャル・ウェルビーイング研究センター
雑誌
ソーシャル・ウェルビーイング研究論集
巻号頁・発行日
vol.3, pp.53-67, 2017-03

文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成26年度~平成30年度)専修大学ソーシャル・ウェルビーイング研究センターが実施している「ライフスタイルと価値観に関する国際比較調査」のうち,日本・韓国・ベトナムのデータから得られた知見の一部を紹介する.各国の幸福度(ウェルビーイング)の分布と規定要因を比較する.幸福度を測るための3つの尺度,すなわち主観的幸福度,全般的生活満足度,カントリルの人生の階梯尺度ごとの,回答分布や諸属性との関連の仕方の異同にも留意する.主な知見は以下の3点である.(1) 幸福度の分布やその規定要因は,日本と韓国とは類似性が高いが,ベトナムはやや異質である.(2) すべての国において,幸福度の3つの尺度のうち,主観的幸福度,生活満足度,カントリル尺度の順で,平均幸福度が低くなる.(3) すべての国において,今回幸福度の規定要因として検討した性別,年齢,婚姻状態,学歴,従業上の地位,世帯所得のいずれにおいても,幸福度の尺度による関連性の違いは見られない.