著者
緒方 昭子 奥 祥子 竹山 ゆみ子 矢野 朋実
出版者
宮崎大学医学部看護学科
雑誌
南九州看護研究誌 = The South Kyusyu Journal of Nursing (ISSN:13481894)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.47-53, 2013-03

ソフトマッサージであるタクティールケアが日本に紹介され, 簡便なケアとして「認知症緩和」に用いられている。そこでタクティールケアの研究の状況を明らかにすることを目的に,医学中央誌で検索語を「タクティールケア」とし, 2006年から2012年3月までの検索を行った。得られた原著論文12件について検討した結果, 対象は認知症の患者に限らず, 寝たきり患者や急性期の患者など多くの対象に活用されており, 認知症患者のBPSDの軽減, せん妄予防, 拘縮の軽減などオキシトシン効果と思われる報告がなされていた。しかしほとんどが看護師の主観による観察評価であり, 客観的データを同時に測定・評価したものはなく, 今後リラックス効果などについて, 測定機器を用いて科学的に検証を行っていくことが必要であることが明らかとなった。(タクティールケアは株式会社日本スェーデン福祉研究所の登録商標である)
著者
久保 江里 大川 百合子
出版者
宮崎大学医学部看護学科
雑誌
南九州看護研究誌 = The South Kyusyu Journal of Nursing (ISSN:21898995)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.27-35, 2020-03

本研究の目的は、治療を継続する血液がん患者が入院中から退院後の生活の中でセルフケア能力を発揮するための情報ニーズを明らかにすることであった。血液がんに対する2 クール以上の化学療法を終了し、一時退院し自宅での生活経験のある患者10 名を対象に半構造化面接を行った。面接で得られたデータを内容分析した結果、患者は治療過程において病気とともに「生きる」ニーズをもち、『「生きる」を実感したい』『「生きる」ための方略を探求する』の2つに分類された。 治療を継続しながら生活する血液がんの患者は、これらのニーズに対応するために【どうにかして食べるための情報】【可能な限り体を動かすための情報】【ピアサポートについての情報】【自分の治療についてのタイムリーな情報】【病気と付き合いながらの生活に関する情報】【自分のデータを理解するための情報】【自分の状況を見極めた服薬についての情報】【病気・治療そのものについての情報】を求めていることが明らかになった。
著者
坂下 恵美子
出版者
宮崎大学医学部看護学科
雑誌
南九州看護研究誌 = The South Kyusyu journal of nursing (ISSN:13481894)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.31-38, 2017

本研究の目的は,終末期がん患者の看取りにかかわる若手看護師が直面する困難を明確にすることである。研究対象者は一般病棟に勤務する臨床経験2年以上,5年未満の若手看護師16名。看取りにかかわる若手看護師が直面する困難は,(未熟なケアを提供する中の困難)と(患者の心や家族の動揺を感じる困難)に集約された。(未熟なケアを提供する中の困難)では,≪業務に追われて余裕がない辛さ≫【苦しむ状況に感じる重圧】【踏み込むことへの尻込み】【技術や知識の無さを痛感する】【何もできない無力感】≪心身の疲労≫があり,(患者の心や家族の動揺を感じる困難)では,【終末期にある命への憂い】【終末期に起きている状況への困惑】があった。###困難を抱える若手看護師支援は,若手看護師の抱えた悩みや不安を表出できるよう支援することや,若手看護師が,看取りの経験をしっかりと振り返り,患者や家族の思いを考え,死にゆく人の理解を深めていくことが必要であると示唆された。