著者
池田 緑
雑誌
大妻女子大学紀要. 社会情報系, 社会情報学研究 = Otsuma journal of social information studies
巻号頁・発行日
vol.15, pp.39-61, 2006

女子大学の教育目的には、「地位形成機能」と「地位表示機能」が存在するといわれてきた。しかし男女共同参画社会の趨勢のなかで、女子大学には改めて「地位形成機能」の充実が求められている。しかしながら目を転じれば、女子大学では古風な性別役割観が再生産され、家父長制的価値観に学生を回収しようとする企図も、いまだ根強く残っている。そのような企図は、女性へのセクシャルなまなざし、ミソジニー(女性嫌悪)と共に存在している。同様な視点は女子大学を取り巻く環境にも、また女子大に勤務する教員にも共有されている。家父長制的価値観は、女子学生の「成功不安」を喚起し、学生の自己評価を貶め、男性依存への道を準備する。その結果、女子大学においては「地位表示機能」が重視され、そのことが彼女らを学問から遠ざけてしまう。このように伝統的性別役割観が再生産され、学生たちの学問への動機が奪われてゆく過程は、一種の「温室効果」に似ている。そのような状況を打ち破るためには、「温室」を、ジェンダーの政治が露見する「戦場」に作り変える必要がある。そのためには、最初に男性教員を中心に、ジェンダーを克服することが、学生自身に学業の意義を理解させるための第一歩であり、そのような学問が社会的需要とも合致していることを理解することが必要である。そのような認識の共有のためには、男性教員をジェンダーに意識的にするための制度作りが必要である。そしてすべての授業において、ジェンダーの視点から男性中心の学問体系を再構築することが求められており、その結果として行われる教育は「女性支援教育」と呼ばれるにふさわしいものとなるだろう。
著者
野崎 昭弘
雑誌
大妻女子大学紀要. 社会情報系, 社会情報学研究 = Otsuma journal of social information studies
巻号頁・発行日
vol.15, pp.251-255, 2006

円周率πを表すいわゆるブランカーの公式の初等的な導き方を示し,その打切り誤差が,π/4の逆数をグレゴリー級数で表したときの打切り誤差と正確に一致することを示した。またその導き方を応用して,自然対数の底eの収束の速い連分数展開を与えた。さいごにそれらの無限連分数の数値計算法を検討して,これまでに知られている直接的な計算法をブランカーの公式に当てはめるとすぐ桁あふれが起こってしまう(最初の10項しか計算できない)こと,また本論文で提案される計算法によれば,桁あふれを大幅に抑えられる(4百万項計算できる)ことを示した。
著者
池田 緑
雑誌
大妻女子大学紀要. 社会情報系, 社会情報学研究 = Otsuma journal of social information studies
巻号頁・発行日
vol.13, pp.25-41, 2004

女子大学はその学生を女性に限定していることによって,すでにジェンダー・ポリティックスの実践の場となっている。とくに女子大学に勤務する男性教員は,この女子大学のもつ政治性ゆえに,政治的な存在であらざるをえない。男性教員による女子学生への監視の視線,男性教員による言説の女子大特有のジェンダー・ポリティックスに伴う政治的効果,女子大における男性性およびホモソーシャリティの再生産の政治的効果など,を考えることにより,良妻賢母思想と女性解放思想の間で揺れ動いてきた女子大の政治性と,そこに勤務する男性教員のポジショナリティを問う枠組みを示したい。そのうえで,男女共同参画時代に女子大において男性教員の存在が果たしうる政治的な効果と,社会への貢献の可能性について考える。