著者
西田 順一 橋本 公雄 山本 勝昭
出版者
公益社団法人 全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 6.1 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
pp.43-54, 2009-03-15 (Released:2018-01-09)

本研究では,対人コミュニケーションスキル支援を意図した大学体育実技を大学新入生26名に実施し,その心理的有効性を大学への適応感の観点から評価した。大学体育実技は,計6回のセッションから構成され,キンボール,ユニホック,伝承あそびなどが主なアクティビティとして採択された。また,本授業においては大福帳が活用され,教員と学生間で往復の意見交換が行われた。大学体育授業前後における新入生の適応感を比較した結果,「被信頼感・受容感」の有意な向上が示された。また,大福帳の利用に関しては,「相互コミュニケーション機会」「返信の嬉しさ・楽しさ」「講義内容のふりかえり機会」といった利点があることが質的に明らかとなった。これらの結果から,大福帳を用いて対人コミュニケーションスキル支援を意図した大学体育実技が大学新入生の適応感の向上に貢献できる可能性が示唆された。最後に,本プログラムの制限と有用性を高めるための今後の課題について議論された。