著者
木内 敦詞 中村 友浩 荒井 弘和 浦井 良太郎 橋本 公雄
出版者
公益社団法人 全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.69-76, 2010

生活習慣と学力が関連することはこれまで経験的に述べられてきた.しかしながら,それを十分に裏づける学術的データはわが国においてほとんど提出されていない.本研究は,大学初年次生の生活習慣と修学状況(取得単位数)との関係を明らかにすることを目的とした.近畿圏にある工科系大学男子1068名が本研究に参加した.彼らの初年次前期取得単位数は以下のとおりであった;25単位以上(52%,N=554:A群),20-24単位(30%,N=317:B群),15-19単位(12%,N=131:C群),15単位未満(6%,N=66:D群)。前期授業終了時における健康度・生活習慣診断検査(DIHAL.2,徳永2003)から,以下のことが明らかとなった.すなわち,「食事」「休養」尺度および「生活習慣の合計」において,D<C<B<A群の順位傾向とともに,D群に対するA群の有意な高値(P<.01)が示された.特に,「食事の規則性」「睡眠の規則性」スコアにおいては,明確なD<C<B<A群の順位性とともに,食事や睡眠を軸とした"規則的な生活リズム"の重要性が示された.これらの結果は,大学入学直後から教育の枠組みの中で,健康的なライフスタイル構築のための健康教育を実施することの必要性を支持している.
著者
徳永 幹雄 金崎 良三 多々納 秀雄 橋本 公雄 梅田 靖次郎
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.105-114, 1991-02-08

昭和61年度西日本年齢別水泳大会に出場し, 決勝に進出した選手を対象にして, 決勝レース直前の不安とそれに影響する要因を調査した。同時に, ベスト記録にどれくらい近いかを示す実力発揮度を算出した。そして, 試合前の状態不安と実力発揮度の関係, および状態不安および実力発揮度に影響する要因を分析した。その結果を次のように要約することができる。1) 決勝レースの実力発揮度はベスト記録に対して98.44%で, 男女差はみられなかった。実力発揮度の高いのは, 年齢別では小学生, 大会日別では第2目目, 競泳距離別では短距離, 泳法別では個人メドレー, 決勝順位別では上位入賞者であった。その他, 実力発揮度に影響する要因として, スポーツ観, 本大会の状況認知, 体調, 決勝レースの状況認知, 大きな大会の経験, 家庭環境などがあった。2) 決勝レース前の状態不安は36.5点(20〜80点)で, 男女差は認められなかった。状態不安が高いのは, 年齢別では中学生, 大会日別では第1日日, 競泳距離別では中距離, 泳法別では平泳ぎ, 決勝順位別では下位入賞者であった。その他, 状態不安に影響する要因として技能の評価, 性格, 大きな大会への経験, 本大会の状況認知, 決勝レースの状況認知, スポーツ観, 家庭環境などがあった。3) 状態不安と実力発揮度には顕著な関係がみられた。すなわち, 実力発揮度が低いのは, 不安得点が高い者と低い者であり, 実力発揮度の高いのは, 不安得点が中位のすこし不安がある者であった。また, 男女差, 年代差によって実力発揮のための不安の適性レベルは異なるのではないかと推測された。4) 状態不安と競技パフォーマンスの関係を実証した。そして, 状態不安や競技パフォーマンスに影響する要因を分析し, 競技不安モデルを再検討し, その有効性を推察した。
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.79-87, 1987-03-28
被引用文献数
1

全国大会を控えた高校テニス選手を対象にして, 皮膚温バイオフィードバックによるリラクセーション・トレーニングとイメージ・トレーニングを組み合わせたメンタル・トレーニングを10日間実施した。その主な結果を要約すると, 次のとおりである。1. リラクセーション・トレーニングについて 1) 1日に2〜3回のセッションでは第1セッションで最も皮膚温の上昇が顕著であった。2) 10回のうち, 5回目から平均して1℃以上の皮膚温の上昇がみられた。3) 平均皮膚温は第3セッションで上昇していた。4) 個人別にみると各セッションで皮膚温が3℃以上を示す者が6名中5名みられた。残りの1名は2℃以上を示すことはなかった。また, 平均皮膚温が10回のトレーニングの中で半分以上32℃以上を示すものは, 6名中4名であった。5) リラクセーション・トレーニング中に皮膚温と筋電を測定した結果, 皮膚温が上昇し筋電が下降した。2. イメージ・トレーニングについて 1) 全国大会を前にして, 6日間のイメージ・トレーニングを実施することができた。 2) イメージ・トレーニング中に皮膚温の低下傾向がみられた。 3) イメージ・トレーニング中には皮膚温と筋電を測定した結果, 皮膚温が低下した時.筋電は向上した。3. 大会前の状態不安は試合が近づくにしたがって, 認知的不安や身体的不安が高まり, 自信が低下した。4. 試合はダブルスで2勝したが, シングルスで3敗して, 逆転負けであった。しかし.No.1ダブルスはその後の大会で優秀な成績をおさめるまでに成長した。
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄 千綿 俊機
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.109-114, 1971-10-01 (Released:2017-09-27)

この研究は大学生の体格(身長,体重,ローレル指数),体力(体力診断テスト),性格(Y-G性格検査)の相互関係を明らかにするために行ない,つぎの結果を得た.1. 体格と体力の関係:体型の中間型が体力にすくれ,細長型が劣っていた.身長,体重と体力の間に有意味の関係があることが明らかになつた. 2. 性格と体格の関係: E類型に細長型が多く, Y-G得点では細長型と肥満に近い型には差はなく,中間型に比較し細長型は神経質大で,肥満に近い型は劣等感大であつた.また,外向的な学生は平均型の学生より体重が重かつた.3. 性格と体力の関係:D類型が最も体力がすくれE類型が最も体力の低い学生が多かつた.また,体力の低い学生は体力の高い学生に比較し劣等感大,神経質大,主観的,非協調的,のんきでない,服従的,社会的内向であつた.積極型の学生は消極型の学生より筋力にすくれていた.
著者
金崎 良三 徳永 幹雄 藤島 和孝 岡部 弘道 橋本 公雄
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.71-85, 1989-03-31
被引用文献数
1

テニス教室に参加した婦人36名を対象にして, 2年間にわたる追跡調査を実施することによって, テニスの継続化をめぐる問題にアプローチしてきた。研究結果は, 以下のように要約される。1. 対象者の基本的特性については, 全員が30代から40代の既婚者であり, 若干の者はパートタイマーとして職業に就いているが, 大部分は専業主婦である。また小学生の子供をもつ者が多いが, ほとんどの者が出産・育児から解放された時期にある。2. 学生時代からテニス教室に参加するまでの過去において, 大部分の老が何らかのスポーツの経験をしている。また, スポーツとかかわりをもつ夫や子供がいる者が極めて多い。3. テニスの継続状況については, (1)長期継続型(教室終了後引き続き継続), (2)中途継続型(教室終了後すぐには実施せず途中から開始して現在も継続), (3)中断継続型(途中で中断の時期があるが現在も継続), (4)中途非継続型(教室終了後引き続き実施していたが途中でドロップアウト)および(5)長期非継続型(教室終了後からずっと実施せず)の5つのパターンがみられた。全体的には(1)〜(3)の継続群が多く, 7割以上を占めている。特に長期継続群は, 練習コートが自宅から極めて近い所にあり,試合に出場した経験のある者が多い傾向がみられる。4. テニスヘの社会化パターンについては, 学校卒業後からテニス教室参加以前のスポーツ経験の違いから, (1)テニスを初めて開始した者, (2)スポーツ経験はあるがテニスは初めての者, (3)テニスの経験があり教室では再開または継続的に実施する者, という3つのパターンがあり, このうち(3)のパターンに属する者が多く半数を占めている。これらのパターンと教室終了後のテニスの継続パターンとの間には, 特徴的な関連性は認められなかった。5. テニス継続化の要因としては, (1)専業主婦がほとんどであり, 仕事をもっていてもパートタイマーであることから時間的余裕がある, (2)利用できるコートが極めて身近な所にある, (3)自主グループやクラブ, スクールなど練習仲間がいる, (4)テニス関連支出が大きな経済的負担となっていない, (5)テニスの技能の向上が認められる, (6)家族が重要な他者として機能している, (7)テニスの行動意図や重要な他者に対する規範信念が高い。(8)スポーツ意識に問題がない, などが指摘できる。6. テニス継続の目的に関しては, (1)友人との交流, (2)ストレス解消, (3)健康・体調の維持, (4)肥満防止・体重調整, (5)技能の向上・試合出場の5つがあげられるが, 特に「上手になりたい」, 「試合に出場したい, 勝ちたい」など(5)に関連する内容をあげた者が目立つ。7. テニス非継続の要因としては, (1)仕事の都合, (2)性的役割の問題(出産・育児), (3)社会的役割の問題(地域の役員就任), (4)転居による地理的・社会的環境条件の変化, (5)病気・怪我など健康上の理由, (6)指導者・リーダーがいなくなることによるグループの消滅, (7)グループ内の人間関係の問題, (8)テニスの技能が向上しないことによる意欲の低下, などがあげられる。本研究は, その目的がある程度達成されたとはいえ婦人のテニスについての1つの事例研究に過ぎず, したがって以上の結論を一般化することは困難である。今後は.今回の結果を踏まえてさらに対象を拡大するなどして, 数量的, 実証的研究へ発展させたいと思う。(本研究の要旨は, 1988年の第37回九州体育学会にて発表した。)
著者
橋本 公雄 丸野 俊一 徳永 幹雄 西村 秀樹 山本 教人 中島 俊介 杉山 佳生 藤永 博
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、運動・スポーツで経験されるドラマチックな体験が、青少年の生きる力にどのような影響を及ぼしているのかについて、質的および量的側面から検討することを目的とした。ここでは、ドラマチック体験を「練習や試合を通して体験した心に残るよい出来事や悪い出来事を含むエピソード」と定義し、試合場面における、たとえば逆転勝利などの劇的な瞬間だけでなく、普段の練習の過程でもみられる様々なエピソードも含めて捉えることとした。また、生きる力は、ライフスキルの概念と類似しているため、量的側面の分析では、スポーツドラマチック体験の学校生活におけるライフスキルに及ぼす影響を分析した。質的研究は、大学生(一般学生と体育部学生)を対象に、自由記述およびインタビューによって、どのような場面でドラマチックな体験が生じているのか、またその体験が心理、社会、身体、および生活上にどのような影響をもたらしたかを分析した。その結果、ドラマチック体験として、成功体験、失敗体験、試合体験、出会い体験、克服体験、課題遂行体験、役割遂行体験などが抽出され、心理的(自信や意欲)、身体的(技能向上)、社会的(協力や他者への思い)、人生・生活観(将来の見通しや人生観)にポジティブな影響を及ぼし、ドラマチック体験が生きる力に寄与していることが明らかにされた。また、ドラマチック体験尺度(Inventory of Dramatic Experience for Sport : IDES)の開発を試み、「努力の積み重ねへの気づき」「技術向上への気づき」「対人トラブルによる自己反省」の3因子、13項目からなる尺度を作成した。ドラマチック体験(独立変数)と学校生活スキル(従属変数)との関連では、時間的展望、QOL,自己効力感を媒介変数とする共分散構造分析を行い、モデルの検証をした。さらに、本研究では運動・スポーツ活動ばかりではなく、自然体験なども生きる力には関連するものと思われ、グリーンツーリズムや野外キャンプにおけるコミュニケーションに関しての考察を行った。
著者
木内 敦詞 中村 友浩 荒井 弘和 浦井 良太郎 橋本 公雄
出版者
公益社団法人 全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 7.1 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
pp.69-76, 2010-03-15 (Released:2018-01-09)

生活習慣と学力が関連することはこれまで経験的に述べられてきた.しかしながら,それを十分に裏づける学術的データはわが国においてほとんど提出されていない.本研究は,大学初年次生の生活習慣と修学状況(取得単位数)との関係を明らかにすることを目的とした.近畿圏にある工科系大学男子1068名が本研究に参加した.彼らの初年次前期取得単位数は以下のとおりであった;25単位以上(52%,N=554:A群),20-24単位(30%,N=317:B群),15-19単位(12%,N=131:C群),15単位未満(6%,N=66:D群)。前期授業終了時における健康度・生活習慣診断検査(DIHAL.2,徳永2003)から,以下のことが明らかとなった.すなわち,「食事」「休養」尺度および「生活習慣の合計」において,D<C<B<A群の順位傾向とともに,D群に対するA群の有意な高値(P<.01)が示された.特に,「食事の規則性」「睡眠の規則性」スコアにおいては,明確なD<C<B<A群の順位性とともに,食事や睡眠を軸とした"規則的な生活リズム"の重要性が示された.これらの結果は,大学入学直後から教育の枠組みの中で,健康的なライフスタイル構築のための健康教育を実施することの必要性を支持している.
著者
木内 敦詞 橋本 公雄
出版者
社団法人全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.3-22, 2012-03-15

この総説の目的は,大学体育授業による健康づくり介入研究の意義と必要性を述べ,日本の大学体育教員の授業研究への動機づけを高めることであった.第1に,大学体育授業による健康づくり介入研究の教育的意義を指摘した.すなわち,健康づくりと友達づくりの場としての体育授業は,今日の大学における初年次教育の重要な要素である「学問的適応」と「社会的適応」の双方への貢献が期待されるものの,このような期待される教育効果の検証はこれまで十分になされていないことを述べた.第2に,大学体育授業による健康づくり介入研究の持つ公衆衛生的意義を指摘した.すなわち,座位行動蔓延と大学大衆化進行により,大学体育の公衆衛生的役割がいっそう高まっていることを述べた.第3に,大学体育授業による健康づくり介入研究の学術的意義を指摘した.すなわち,「大学生」の健康づくり介入研究,とりわけ,「身体活動」増強のための介入研究は国内外を含めてもまだ初期段階にあり,これまで大きな成果はあがっていないことを述べた.その後,以下のことについて討論した;大学生の生活習慣・健康度に関するこれまでの知見,わが国の健康づくり対策と学校体育の関係,わが国の大学体育の歴史と新たな動き,米国学校体育の転換,行動科学を活かした健康づくりの動向.最後に,大学生の健康づくり研究の今後の課題として,以下の4点を挙げた;1)大学体育のラーニング・アウトカムを提示すること,2)理論およびエビデンスに基づく介入研究を行うこと,3)介入効果の科学的評価が可能な研究をデザインすること,4)大学生対象の健康づくり(とりわけ,身体活動)介入研究を行うこと.
著者
木内 敦詞 荒井 弘和 中村 友浩 浦井 良太郎 橋本 公雄
出版者
社団法人全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.3-11, 2009-03-15

運動の意思決定バランス(運動実践の恩恵-負担)は,身体活動・運動の採択や継続に重要な役割を果たすとされている.本研究の目的は,体育実技終了時のセルフ・モニタリングが,運動の意思決定バランスと日常の身体活動量に及ぼす影響を検討することであった.対象者は日本の大学新入生男子(N=869)であった.介入群(N=398)は週1回の体育授業におけるスポーツ活動実施後にセルフ・モニタリングを行い,非介入群(N=471)はそれを行わなかった.セルフ・モニタリング・シートは,心理学的・社会学的・生理学的な側面からみたスポーツ活動中の自己評価項目から構成されていた.全授業の共通プログラムは以下のとおりであった(数字はプログラムの順序に対応する);1:ガイダンス,2:講義,3-5:実技,6:講義,7-9:実技,10:講義,11-13:実技,14:まとめ.3回の講義は,生活習慣と健康の関わりに関する内容であった.介入プログラムは,運動の意志決定バランスにおける統計的に有意ではない改善傾向と,運動実践の恩恵における有意な増加をもたらした.運動実践の負担および身体活動量においては,いずれの効果も認められなかった.本研究で示された介入効果は,体育実技の果たす健康教育としての役割を具体的に提案している.
著者
橋本 公雄 徳永 幹雄
出版者
九州大学健康科学センター
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
no.21, pp.53-62, 1999
被引用文献数
1

本研究は,社会人と学生を対象にメンタルヘルスパターン診断検査(Mental health Pattern: MHP)を 作成し,尺度の信頼性と妥当性を検討するため行われた。結果を要約すると,下記に示すとおりである。 1.SCL-4尺度に生活の満足感(QOL項目)などを追加した調査票から,13因子(全分散寄与率:61.3%)を抽出した。 2.心理的ストレス(こだわり,注意散漫),社会的ストレス(対人緊張,対人回避),身体的ストレス(疲労,睡眠・起床障害)からなるSCL尺度と,生 活の満足感からなるQOL尺度の7つの下位尺度(各5項目づつ)でMHP尺度を作成した。 3.MHP尺度の高い信頼性と妥当性が検証された。しかし,生活の満足感の妥当性の検証は本研究では行われなかった。 4.SCL尺度得点とQOL尺度得点のそれぞれのM+0.5SDを基準値とし,「はつらつ型」「ゆうゆう(だ らだら)型」「ふうふう型」「へとへと型」と命名される4つのメンタルヘルスパターンに分類した。 5.メンタルヘルスパターンの出現率は,性差,年代差はなく,「ゆうゆう(だらだら)型」が60%を占め,その他のパターンはそれぞれ10%強を占めた。
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄 瀧 豊樹
出版者
九州大学健康科学センター
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
no.21, pp.41-51, 1999

各種スポーツ大会に参加した高校生,大学生,社会 人選手及び国民体育大会に参加した選手を対象にして,試合中の心理状態の診断法とその有効性について考察した。 そのおもな結果は次のとおりである。1.10項目から構成される試合中の心理状態診断法の質問項目の妥当性,診断検査としての信頼性及び因子について証明することができた。 2.作成された本検査と精神力の自己評価,実力発揮度,競技成績の関係について項目別及び合計得点の比較を行った結果,すべて有意な関係が認められ本検査の有効性を証明することができた。 3.本検査法と心理的競技能力(DIPCA.2)を比較すると国体選手では有意な関係がみられた。しかし,大学サッカー選手では有意な関係は認められず,本検査と試合前の心理状態(DIPS-B.1)の関係では有意な関係が認められ,心理的競技能力は試合前の心理状態と有意な関係が認められた。 4.関連する3つの診断検査と実力発揮度及び競技成績との関係を考察することができた。 5.以上の結果より,「試合中の心理状態診断検査(Diagnostic Inventory of Psychological State During Competition,略してDIPS-D.2)」を作成した。
著者
西田 順一 橋本 公雄 山本 勝昭
出版者
公益社団法人 全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 6.1 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
pp.43-54, 2009-03-15 (Released:2018-01-09)

本研究では,対人コミュニケーションスキル支援を意図した大学体育実技を大学新入生26名に実施し,その心理的有効性を大学への適応感の観点から評価した。大学体育実技は,計6回のセッションから構成され,キンボール,ユニホック,伝承あそびなどが主なアクティビティとして採択された。また,本授業においては大福帳が活用され,教員と学生間で往復の意見交換が行われた。大学体育授業前後における新入生の適応感を比較した結果,「被信頼感・受容感」の有意な向上が示された。また,大福帳の利用に関しては,「相互コミュニケーション機会」「返信の嬉しさ・楽しさ」「講義内容のふりかえり機会」といった利点があることが質的に明らかとなった。これらの結果から,大福帳を用いて対人コミュニケーションスキル支援を意図した大学体育実技が大学新入生の適応感の向上に貢献できる可能性が示唆された。最後に,本プログラムの制限と有用性を高めるための今後の課題について議論された。
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.73-84, 1988-02-20
被引用文献数
1

昭和61年度国民体育大会福岡県選手男子168名, 女子68名を対象にして, スポーツ選手の心理的競技能力の診断法の開発を試みた。おもな結果は, つぎのとおりである。1) 心理的競技能力を表現すると思われる68項目からなる調査票を作成し, 調査を実施した。信頼性係数, 項目分析の結果から3項目を削除し, 65項目について因子分析を行った。その結果, 5因子と6つの下位因子を抽出した。2) 心理的競技能力の因子は, 競技意欲を高める能力(忍耐力, 闘争心, チャレンジ精神, 勝利志向性の下位因子), 精神を安定・集中させる能力(集中力, リラクセーションの下位因子), 自信をもつ能力, 作戦を予測・判断する能力, 協調件の能力と命名された。3) 抽出された各因子は国体選手の講特性と顕著な関係がみられ, 心理的競技能力テストとしての妥当性が推測された。4) 抽出された各因子を代表する簡単な質問又から, 試合中の心理可犬態を評価する方法を作成した。5) 今後, 適切な項目や因子の追加・修正を行い, 中学生から一般社会人に使用できる誇断法を作成しなければならない。
著者
柳 敏晴 西田 順一 橋本 公雄 藤永 博 堤 俊彦 松本 裕史 榮樂 洋光 手島 史子 中島 俊介
出版者
名桜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

平成 22 年度は、効果測定尺度作成を、対象者別項目収集及び整理検討と予備調査、プログラム別仮プログラム作成・実施と要因探索から、プログラム開発・モデル構築を試みた。平成 23 年度は、効果測定尺度作成を、対象者別本調査実施と尺度の信頼性・妥当性の検討から進め、プログラム別修正プログラムの実施し、因果モデル作成を試み、プログラム開発とモデル構築を進めた。平成 24 年度は、対象者別プログラム評価への使用と妥当性検討から、効果測定尺度作成を試み、プログラム開発とモデル構築に挑戦した。
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄 高柳 茂美
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.65-73, 1994

第44回全日本大学準硬式野球大会の予選を兼ねたの九州選手権大会に参加した25チーム, 511名を対象にして, 特性としての心理的競技能力と状態としての心理的競技能力を調査した。その結果を要約すると次のとおりである。1.特性としての心理的競技能力は, 学年, 年令, 経験年数, 県や全国レベルの大会への参加回数, 競技成績, ポジションなどによって異なった。2.試合中の心理状態を大戦チームと比較すると, 勝ちチームほど高得点を示す場合が多かった。しかし, 負けチームが高得点を示す場合もみられた。また, 1回戦から決勝戦までの全選手の平均得点は, 1・2回戦では低く, 決勝戦になるほど高得点を示した。さらに, チームごとの平均値をみると, 1・2回戦での負けチームの得点は低く, 上位チームの得点は次第に高得点になることが示された。3.特性と状態の相関は, 1〜3回戦までは有意であった。しかし, 5〜8位決定戦と決勝戦での相関は低くなった。3回戦での試合中の心理状態に関与する特性としての心理的競技能力をみたが, 有意性のある尺度はみられなかった。
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄 磯貝 浩久 高柳 茂美
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.9-17, 1992-02-08
被引用文献数
2

運動やスポーツを行うことによって生ずる心理的効果として爽快感の体験とその観定要因を分析するために3つの実験を行った。実験1は炎天下に行われた大学におけるテニスの授業, 実験2は継続的授業の初期(2回目)と後期(12回目)の大学のサッカーの授業, 実験3は習慣的に実施されている高齢者のテニスの練習を対象とした。それぞれの主な結果は, 次のとおりである。1. 炎天下のテニスの授業では80.4%の多数の学生が「爽快」と答えた。爽快感の規定要因では気分のすっきり度, 運動欲求の強さ, 暑さに対する評価の3要因が最も関係していた。その他, 身体的状態, 心理的状態, 個人的特性, 環境的条件が輻輳して関与していることが推測された。2. サッカーの授業の進行と共に「爽快」と答えた学生は増加し, 後期では84.7%の多数となった。爽快感の評価の変化をみると上昇型は56.5%, 無変化型は25.9%, 下降型は17.7%であった。とくに上昇型では体力, 技術, 性格の自己評価の高まり, 熱中度, 達成感, 運動欲求といった心理的状態の変化, 発汗, 苦しさ, 疲労度の減少といった身体面の適応,向上が関係していることが明らかにされた。3. 高齢者のテニス前後の爽快感,感情得点,乳酸, ACTH, ベータ・エンドルフィンの平均値にはいずれも有意な変化は認められなかった。しかし,テニス後の相互関係をみると, 爽快感や感情得点と乳酸値にはマイナスの相関がみられ, ACTHやベータ・エンドルフィンの分泌にはプラスの相関がみられるという興味ある傾向が認められた。ただ, 高齢者の運動の爽快感をホルモン分泌からのみ考察するのは困難ではないかと思われた。
著者
橋本 公雄 徳永 幹雄
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.121-128, 2000-02-10

本研究はスポーツ競技のパフォーマンスを予測するための分析的枠組みを検討するため,筆者ら(1988a)のスポーツ競技不安モデルに準拠し,競技特性不安,競技状態不安,心理的競技能力,認知的評定,不安対応策などの主要な変数を用い,重回帰分析法によって検証したものである。調査対象は平成2年度第72回高校野球選手権地方大会決勝戦に出場した優秀な高校野球選手284名であった。主な結果を要約すると,つぎに示すとおりである。1) 10項目からなる心理的パフォーマンス尺度得点は実力発揮度と有意な関係がみられたことから,実力発揮度を測定していることが示唆された。2) 心理的パフォーマンスを予測するとき,競技状態不安独自に有意な説明力を持っていたが,これに不安対応策の実施数を加味すると,さらに説明力が高くなり12.2%を説明した。また,心理的パフォーマンスを心理的特性変数から予測するとき,競技特性不安の有効性は認められず,心理的競技能力のほうが高い説明力(24.9%)を持っていることが明らかにされた。3) 競技状態不安尺度得点はあがりの自己評価と有意な関係がみられ,いわゆる「あがり」の状態を測定していることが示唆された。また,その競技状態不安を予測するのに競技特性不安が極めて高い説明力(43.5%)を持っていることが分かった。しかし,認知的評価は期待に反してその有効性は確認されなかった。
著者
徳永 幹雄 高柳 茂美 磯貝 浩久 橋本 公雄 多々納 秀雄 金崎 良三 菊 幸一
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

本研究は、スポ-ツ選手に必要な「精神力」の内容を明らかにし、その診断法とトレ-ニング法を明らかにすることであった。3年間の研究成果は、次のとおりである。1「心理的競技能力診断検査」および「心理的パフォ-マンス診断検査」の作成スポ-ツ選手に必要な精神力の内容は、競技意欲を高める能力(忍耐力,闘争心,自己実現,勝利志向性),精神を安定・集中させる能力(自己コントロ-ル,リラックス,集中力),自信をもつ能力(自信,決断力),作戦能力(予測力,判断力)および協調性の5因子(12尺度)であることが明らかにされた。これらの結果、52の質問項目から構成される心理的競技能力診断検査と10項目から構成され、試合中の心理状態をみる心理的パフォ-マンス診断検査を作成した。いずれの調査も精神力の自己評価、実力発揮度の自己評価、競技成積などと高い相関が認められ、その有効性が証明された。また、2つの検査法には高い相関が認められ、心理的競技能力診断検査で高い得点を示す者ほど試合中に望ましい心理状態が作れることが予測された。今後、スポ-ツ選手の心理面のトレ-ニングに活用されるであろう。2心理的競技能力のトレ-ニング心理的競技能力診断検査の結果にもとづいて、それぞれの内容をトレ-ニングする方法をカセット・テ-プにまとめた。その一部は平成2年度国民体育大会福岡県選手に適用した。また、一般のスポ-ツ選手を対象としたメンタル・トレ-ニングの「手引き書」も作成した。3報告書の作成過去3年間の研究成果を報告書としてまとめた。