著者
黒田 敏夫
出版者
梅光学院大学子ども学部
雑誌
子ども未来学研究 (ISSN:18817424)
巻号頁・発行日
no.6, pp.5-12, 2011

22年前に小学校のPTA会長を2年間務めたときの記録である。PTAは保護者と教員が構成員の教育関係団体である。しかし、実際は保護者が中心になって、子どもたちの教育や教育環境の充実のために活動している。このPTAが小学校の前に計画された十階建てマンション建設の反対を決議して、反対運動を展開した。この計画が駆け込み申請であることがわかり、業者と行政の姿勢を問う運動となった。法的に問題のある事柄に対し、PTAはどこまで働きかけることができるのか、学校や教師集団はどこまで働きかけることができるのか、その困難さと矛盾を経験した。教育環境を守るための戦いの可能性と限界を政治と業者、行政・学校のシステムと人、PTAの組織と会員、地域の組織と住民の姿を通して考える。
著者
田中 俊明
出版者
梅光学院大学子ども未来会議
雑誌
子ども未来学研究 (ISSN:18817424)
巻号頁・発行日
no.13, pp.3-11, 2018-12-28

本論文では、子どもの心の安らぎや喜びという視点から野外の自然に触れること、及び、野外に出かけて自然の世界を美しく楽しいものとして感じる心を幼児期から育み強めていくことについて進化心理学的に考察した。子どもたちが野外の自然に触れて、自然の世界を美しく楽しいものとして感じることは、不安やストレスから解放されて、心の底から安らぎと喜びを感じて生きることに直結すること。それが進化的過去に形成された人間の本性にマッチした、子どもが人間らしく成長していくために適した生き方なのだという視点を、今後の保育や教育の中に取り入れることの必要性について論述した。
著者
渡邉 尚孝 久保田 眞吾 倉増 泰弘
出版者
梅光学院大学子ども未来会議
雑誌
子ども未来学研究 (ISSN:18817424)
巻号頁・発行日
no.12, pp.39-51, 2018-02-28

本研究は,海外留学の効果に関する先行研究を踏まえ,1ヶ月間のフィリピン短期海外留学を経験した学生の体験レポート(149名分)の中から,異文化体験の学習過程を示す記述を中心にテキスト分析を行うものである。特に短期留学プログラムの意義や効果を把握し,今後のプログラム更新に向けた示唆を得ることを目的とする。方法としては, KHcoderによる計量テキスト分析を用いた。現地における語学研修以外の活動に関する記述内容を検討し, 1"生活環境に関することJ1"対人関係に関することJ1"文化に関することJ1"自分自身に関することJ1"ボランティアに関すること」の5つのコードに分類して解析した。その結果,90%以上の学生が現地の生活環境や対人接触の中で自国あるいは自分自身を振り返り,帰国後の生活に対する意識の変化を感じるなど,貴重な体験をしていることが確認できた。特にサブプログラムにおけるボランティア体験はそのきっかけとなっていることが認められ,生活環境の違いや子どもたちとの関わりは強いインパクトを持つと考えられた。