著者
濱田 美和
出版者
富山大学国際機構
雑誌
富山大学国際機構紀要 = Journal of the Organization for International Education and Exchange, University of Toyama (ISSN:2434642X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.19-33, 2018-12

中・上級レベルの日本語学習者を対象とした漢字クラスにおいて,使用教材および指導内容見直しのための基礎資料として,読みの難易度により漢字語を整理したリスト作成を試みた。まず,授業後に実施した漢字語の読みテストの結果をもとに,282語の漢字語について正答率を求め,正答率をもとに難易度順に配列した。次に,各語の誤答を整理し,学習者3人以上に見られた読み誤りを高頻度の誤りとして抽出した。282 語の正答率別分布は,正答率60%未満の語が2割,60%以上80%未満が3割,80%以上の語が5割で,全体的に正答率の高い語が多かった。また,正答率の低い語を中心に抽出された高頻度の誤りには,当該漢字の有する他の読みを書いた誤りが特に多い,長音・短音,清音・濁音といった類似の他の音を書いた誤りが多い,和語動詞と和語形容詞については無解答,あるいは他の和語動詞や和語形容詞の読みを書いた誤りが多いといった特徴が見られた。
著者
小木曽 左枝子 大西 吉之
出版者
富山大学国際機構
雑誌
富山大学国際機構紀要 = Journal of the Organization for International Education and Exchange, University of Toyama (ISSN:2434642X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.34-43, 2018-12

本稿は,中級レベルのオランダ人留学生と日本人学生による合同授業の実践報告を目的とする。同性婚をテーマとしたテレビ番組のビデオを見た後,グループディスカッションで自由に話す形式で合同授業を試行し,そのディスカッション授業についての質問紙調査を行った。そのアンケート結果をもとに,参加学生のディスカッションに対する満足度,ディスカッションを通しての学びや発見,ディスカッション授業の評価できる点や問題点をまとめ,今後の課題について考える。
著者
田中 信之
出版者
富山大学国際機構
雑誌
富山大学国際機構紀要 = Journal of the Organization for International Education and Exchange, University of Toyama (ISSN:2434642X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-11, 2018-12

本研究では初級文法クラスにおける授業引継ぎの授業記録の分析により,教師が共有しようとする中身を明らかにした。テキストマイニングにより授業記録を分析した結果,「授業の様子」では日本語学習や体調や態度について,どのような学生が多かったかを記述していた。また,文型や会話の練習に関する記述があり,そこには教師の振り返りも見られた。「学生の様子」では,理解と形の頻度が高かった。理解は文法や文型と共起し,形は活用形として使用される場合や,変換や間違えるなどの語と共起していた。これには文法積み上げ型の授業の実施が背景にあると考えられる。授業記録と講師ミーティング議事録と比較した結果,語の一致率が低く,両者は異なる役割があることが確認された。その一方で,どちらにも教師の内省があまり見られなかった。今後,授業引継ぎや講師ミーティングは教師が振り返り,それを教師間で共有していく場としていく必要がある。
著者
濱田 美和
出版者
富山大学国際機構
雑誌
富山大学国際機構紀要 = Journal of the Organization for International Education and Exchange, University of Toyama (ISSN:2434642X)
巻号頁・発行日
no.3, pp.20-30, 2021-02

本稿は,中・上級「漢字」および上級「文法」の授業において実施したMoodleを用いたオンライン定期試験についての報告である。文法,語彙,漢字といった知識を問う試験は,教科書や辞書で調べるとすぐに答えを探すことができることから,遠隔での試験実施の場合,試験の公平性を保つにはさまざまな工夫が必要となる。そこで,Moodleの解答時間の制限機能やランダム問題表示を活用したり,文字データを用いずに画像で表示したり,出題内容を辞書等で調べるだけでは答えにくいものに変更したりするなどの対応を取って実施したところ,従来の教室での用紙配布による定期試験と受験者の得点分布について明らかな差は見られなかった。受験者からは試験時間が短かったという声やインターネットの接続状況があまりよくなかったという声も聞かれたが,全体的には支障なく実施できた。
著者
田中 信之
出版者
富山大学国際機構
雑誌
富山大学国際機構紀要 = Journal of the Organization for International Education and Exchange, University of Toyama (ISSN:2434642X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-11, 2018-12

本研究では初級文法クラスにおける授業引継ぎの授業記録の分析により,教師が共有しようとする中身を明らかにした。テキストマイニングにより授業記録を分析した結果,「授業の様子」では日本語学習や体調や態度について,どのような学生が多かったかを記述していた。また,文型や会話の練習に関する記述があり,そこには教師の振り返りも見られた。「学生の様子」では,理解と形の頻度が高かった。理解は文法や文型と共起し,形は活用形として使用される場合や,変換や間違えるなどの語と共起していた。これには文法積み上げ型の授業の実施が背景にあると考えられる。授業記録と講師ミーティング議事録と比較した結果,語の一致率が低く,両者は異なる役割があることが確認された。その一方で,どちらにも教師の内省があまり見られなかった。今後,授業引継ぎや講師ミーティングは教師が振り返り,それを教師間で共有していく場としていく必要がある。