- 著者
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森永 康子
平川 真
福留 広大
- 出版者
- 公益社団法人 日本心理学会
- 雑誌
- 日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
- 巻号頁・発行日
- pp.PS-008, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)
システム正当化理論(Jost & Banaji, 1994)によると,人々は,たとえ格差がある社会でも,その現状を肯定するよう動機づけられており,そして,現状を正当化することで心理的安寧を得るという。また,こうした正当化は社会的地位の高い者だけなく低い者にも見られるという。本研究では,日本の既婚者(男性331人,女性339人)を対象に,ジェンダー格差の正当化(ジェンダー・システム正当化;GSJ; Jost & Kay, 2005; αs>.740)と人生満足度(LS; Diener, et al., 1985; αs>.925)の関連を検討した。LSを目的変数とし,性別,年齢,家庭全体の年収,GSJ,性別×年収,性別×GSJ,性別×GSJ×年収を説明変数とする重回帰分析を行ったところ,性別(女性の方がLS高),年齢(若いほどLS高),年収(年収高ほどLS高),性別×GSJの有意な効果が得られた(ps<.024)。下位検定の結果,女性はGSJが強いほどLSが高い(p<.001)が男性はGSJの効果は見られなかった(p=.172)。GSJ得点そのものは男性の方が高かった(p<.001)が,女性の中でジェンダー格差を正当化する者ほど,人生満足度が高いことが示され,システム正当化の緩和効果が確認された。