著者
戸塚 唯氏 深田 博己 木村 堅一
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.83-90, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
11

本研究の目的は, 脅威アピールを用いた説得メッセージにおいて, 脅威に晒されていることを強調する脅威ターゲットとして受け手自身と受け手にとって重要な他者である家族を用いた場合の説得効果を比較検討することであった。独立変数は, (1) 脅威ターゲッ (受け手, 家族), (2) 脅威度 (高, 低), (3) 対処効率 (高, 低) であった。249人の女子大学生を8条件のうちの1つに無作為に配置した後, 被験者に説得メッセージを呈示し, 最後に質問紙に回答させた。質問紙では, 勧告した2つの対処行動に対する実行意図と肯定的態度を測定した。その結果, 脅威度や対処効率が大きいほど, 実行意図と肯定的態度の得点が大きくなることが明らかとなった。また実行意図の得点は, 受け手ターゲット条件よりも家族ターゲット条件の方で大きいことが明らかとなった。本研究で得られた知見によって, 重要な他者を脅威ターゲットとする説得技法が, 説得効果を高めるために有用であることが示唆された。
著者
木村 堅一 深田 博己
出版者
対人コミュニケーション研究会
雑誌
対人コミュニケーション研究 = The Japanese journal of interpersonal communication (ISSN:21874433)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-16, 2013-03

本研究の目的は、エイズキャンペーンへの参加が、参加者のエイズに関する意識改善にどのような効果を生じさせたかを検討することであった。大学生92名をエイズキャンペーン参加群65名と不参加群27名に配置し、キャンペーンの前後でエイズに関する意識を同じ質問紙によって測定した。その結果、36変数中5変数で変化が認められた。キャンペーン参加群は不参加群よりも、コンドーム使用の規範認知が増加し、HIV感染者・エイズ患者(PWH/A)との共生行動のコスト認知が減少した。また、PWH/Aとの共生行動の報酬認知が増加し、PWH/Aとの共生行動意思が強まった。本研究で取り上げたエイズキャンペーンは、HIV感染予防に対しては目立った効果を生じさせないが、PWH/Aとの共生に対しては特定の効果を持つことが証明された。
著者
宮城 圭介 木村 堅一 中里 収
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.525-526, 2016-03-10

将来、ヒューマンインターフェイスが進化し、音声言語での人と機械がコミュニケーションを行うことが一般的になると考えられる。その際に問題となるのは、相手に合わせて変化させる話し方である。本研究では音声インターフェイスとして話し手が発する音声の印象が聞き手への需要に影響を与えると位置付ける。本研究では、男女、モノローグ(1人発話)、ダイアローグ(2人対話)の要素を盛り込んだ12音声を17名の評価者へランダムで聞かせ、話し方の印象を23の形容詞対を用いて評価する実験を行った。形容詞対と評価者、音声のタイプを条件として、因子分析による比較を行った。この結果から音声インターフェイスの話し方を考察する。