著者
玉瀬 耕治 富平 美智子 タマセ コウジ トミヒラ ミチコ Koji Tamase Michiko Tomihira
雑誌
帝塚山大学心理福祉学部紀要 = Tezukayama University bulletin of psychology and welfare
巻号頁・発行日
vol.3, pp.59-72, 2007

大学生を対象にして、「甘え」と「友人の役割行動遂行」「自己受容」「良好な友人関係」の関係が調べられた。測定尺度として、「甘え」については「希求」「受容」「歪曲」「拒絶」の4っの下位尺度が用いられた。この尺度では、前の2尺度を合わせた「相互依存的甘え」と後の2尺度を合わせた「屈折した甘え」について、主に他の尺度との関係が調べられた。「自己受容」尺度では「対人満足・生活の充実」「性格・能力の受容」の2つの下位尺度が用いられた。「良好な友人関係」尺度では「受動的友人関係」と「相互的友人関係」の2つの下位尺度が用いられた。相関係数を算出し、パス解析を行った結果、「相互依存的甘え」は「友人の役割行動遂行」を促し、その結果が直接的に「良好な友人関係」を促す場合と、「友人の役割行動遂行」が「自己受容」を促し、その結果が「良好な友人関係」を促す場合があることが分かった。これらの結果に基づいて、青年期の友人関係を理解する手がかりと「甘え」に関する臨床心理学的意義が論じられた。