著者
吉田 昭子
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学紀要 = Journal of Bunka Gakuen University (ISSN:21873372)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.141-152, 2016-01

日本人の読書離れが指摘され,特に大学生の読書離れが繰り返し論議されている。大学生の読書はどのような状況にあるのだろうか。大学生は実際にどのような作品や著者を好み,読んでいるのか。学生が読書好きや読書嫌いになるきっかけとは,果たしてどのようなものか。本研究では既存の読書調査類を比較して大学生の読書状況を概観するとともに,文化学園大学の授業の中で大学1 年生が執筆した読書体験記に基づいて,その読書傾向や状況に関する考察を行った。読書体験記から見ると,幼少期における読書環境の状況にかかわらず,受講者は成長につれて本と接する機会が減少している。しかし,読書離れや不読は,読書嫌いを意味するわけではなく,読書体験を振り返る中で多くの受講者がどちらかと言えば,読書好きであると述べている。受講生は一貫して読書好き,読書嫌いな場合と,中高校生の時期に読書好きから読書嫌いへ,読書嫌いから読書好きへと変化している場合がみられることが明らかになった。変化のきっかけや理由として,「本との出合い」,「読書環境の設定」,「人との出会い」の3 つの場合が見られることが確認された。
著者
佐藤 百合子 昼間 行雄 牧野 昇 岩塚 一恵 北岡 竜行 近藤 静香
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学紀要 = Journal of Bunka Gakuen University (ISSN:21873372)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.37-45, 2016-01

このインスタレーション作品は各専門分野の教員がそれぞれの素材を制作した共同制作による作品であり、音響を含めた空間を制作したインスタレーションである。 プロジェクション・マッピングでスクリーンとなりベースデザインとなる① . 着物の制作では日本文化を鑑賞できるよう、日本人に最も愛された桜の樹を①-1. デザインし、照明やプロジェクターの点灯していない暗転時間でも作品として鑑賞できるよう①-2. 蓄光顔料の使用を試みた。投影する② . 映像制作の②-1.3D グラフィックスでは桜の花びらが咲き散る様をダイナミックに演出し、着物のデザインと組み合わせ③ . アニメーションは学生の描いた女子高生のイラストを使用し、花札はコマ撮り方法でアナログ的な表現になるようまとめた。そして② -2. プロジェクション・マッピング技術により暗い空間に着物が光り浮かぶようセッティングした。④ . 音響制作は映像を鑑賞し映像に合わせたイメージと音調を考慮し④-1. 音源を制作し④-2. 正12 面体スピーカーにより効果的に演出した。 このインスタレーション作品はIFFTI2015 の公募企画で採択されサンタクローチェ聖堂で展示をした。
著者
角谷 彩子
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学紀要 = Journal of Bunka Gakuen University (ISSN:21873372)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.9-16, 2016-01

衣服において、スクリーンプリント技法はよく用いられるプリント技法の一つである。「スクリーンプリント」とは、インク(色料)を紗(スクリーン)の張った枠上に置き、スキージーという刷り道具でインクをスクリーンの表面に押し当てて一定方向へと動かすこと(Squeezing)でプリントする、孔版画の一種である。孔版とは、版となる膜(この場合はスクリーン)の表面にインクが通過する穴(孔)と通過出来ないよう塞いだ部分があり、この版上の穴だけを通過したインクが下の対象物に印刷される仕組みのことをいう。同様の仕組みのものとしては、ステンシルや紗張りをした型紙などが挙げられる。スクリーンプリントのインクは、液体(微粉体)の顔料(色素)と溶剤(塗膜形成要素)を混合したものが一般的である。顔料は化学的に合成されたものと、鉱物・動植物を加工した天然のものと2 種類あるが、スクリーンプリントでは前者の化学顔料のみ使用されている。本研究は「粗粉体」であり、天然顔料と化学顔料の両方ある「岩絵具」に着目し、スクリーンプリントで使用可能か、またどのような使用条件・方法があるか、プリントした布地で衣服制作が出来るかを検証した。