著者
大西 文子
出版者
日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 = Journal of Japanese Society of Child Health Nursing (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.30-38, 2006-09-20

本研究の目的は、点頭てんかんを持つ子どもの母親11名を対象に、日常生活における療育体験とその思いを明らかにすることであった。母親の療育体験とその思いは、点頭てんかんの早期確定診断・早期ACTH治療の開始の希望とそれができなかったことへの後悔、病気に対する不十分な告知のために発作が止まって訓練をしたら発達するという思いで必死になって訓練に通った、日常生活における具体的な過ごし方が分からない、などがあり、医師・看護師の不適切な対処への不満があった。母親の希望として、重積発作に対する救急体制整備、入院中の付き添う母親の人権尊重や生活条件の確保、療育体制の改善や情報提供、きょうだいや学校および社会の偏見への改善があった。その他では、母親は24時間ケアが集中する母親のストレスに対するコーピング行動を持っていること、母親の癒しは家庭とこの子の笑顔、この子のおかげで価値観が変わった、があった。