著者
眞下 俊一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学雑誌 (ISSN:18841074)
巻号頁・発行日
vol.K2, no.1, pp.76-95, 1920 (Released:2010-07-16)
参考文献数
43

著者は新研究方法によりて筋の中部を筋クレンメにて固定し、兩端を自由ならしめて、各收縮曲線を描かしめ、一端にウェラトリン、コフェイン、不等滲透性リンゲル溶液、鹽酸、フォルマリン、機械的損傷を用ひて、これによりて起る序期的興奮が兩端何れにも傳播し、且つ健全なる一端より刺戟する場合にありては、初め通常の如く、處置せる部位に刺戟が傳播されこゝに於て序期的興奮を起し、これが再び此點に逆行す。この現象は理論上序期的興奮に限り起り得る事にして逆に序期的興奮の證左となる。即ちウェラトリンの個有曲線がこの方法によりて兩端に全く同形に顯れ且逆行するが故に明かに序期的興奮によりて起さるゝもの也。