- 著者
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後藤 奈美
- 出版者
- 日本酒学研究会
- 雑誌
- 日本酒学ジャーナル (ISSN:2758142X)
- 巻号頁・発行日
- vol.2023, pp.32-37, 2023-11-07 (Released:2023-11-07)
コロナ禍が清酒の消費に与えた影響を分かりやすく示し、記録することを目的に、日本酒造組合中央会が記者発表する毎月の課税移出量を、コロナ禍前の2018年及び2019年の平均値に対する割合として示した。その結果、清酒の消費量を反映すると考えられる課税移出量は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、飲食店への休業や時短営業の要請などが出されると大きく減少し、新規感染者数が減少し、それらが解除されるとある程度回復するという増減を繰り返したこと、また一般酒よりも外食での消費が多いとされる特定名称酒の方が大きく影響を受けたことが示された。2022年下半期の第7波、第8波では、それまでとは比較にならないほど多くの新規感染者数となったが、緊急事態宣言等は発出されず、課税移出量の減少も以前よりは小さくなった。ただし、2018-2019年と比較して80~90%程度と厳しい値であることに変わりはなく、今後の動向が注視される。