著者
後藤 奈美
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.390-396, 2013-11-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
4
被引用文献数
2

ワインには非常に多くの種類がある.多彩なワインの特徴を消費者に伝えたり,専門家が品質を評価したりするには,様々な評価用語が使用される.有名なワインのアロマホイールは,ワインの香りを認識し,表現するための標準的な用語を提供することを目的としている.一方,品質評価用語では,その原因を示す用語が多いことが特徴と言える.ワインの香りは,原料ブドウ,発酵,貯蔵・熟成など,種々の要因の影響を受ける.ワインの香りにはまだ解明されていない点が多くあるが,これまでに明らかにされている成分についても紹介する.
著者
後藤 奈美
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.116-120, 2011 (Released:2016-06-14)
参考文献数
21
被引用文献数
1

甲州は,日本を代表する伝来のブドウ品種であるが,これまで隠れていた香気特性が見出され新しいスタイルの甲州ワインが誕生し,また,欧州への甲州ワインの輸出が始まるなど,今注目のブドウ品種である。著者は,必ずしも明確ではなかった甲州の由来,分類の問題に一貫して最先端のDNA多型解析によって取り組み数多くの成果を上げてこられた。今回,その研究成果とともに甲州の分類にかかわる興味深い諸問題について解説していただいた。
著者
後藤 奈美
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.4, pp.210-216, 2012 (Released:2017-12-11)
参考文献数
36

国産ワインのレベル向上などからワインに関する研究が多く行われている。最近,赤ワインの渋みに関する研究も多く報告されている。ここでは,渋み成分の生合成から,渋みを感じる仕組み,ぶどう栽培やワイン醸造を含めて最近の知見や筆者の取り組みも交えて,詳細に解説いただいた。
著者
後藤 奈美 Sawler Jason Myles Sean
出版者
独立行政法人酒類総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本の在来ブドウ品種‘甲州’は、東洋系Vitis viniferaとされていたが、異なる意見もあった。そこで‘甲州’の分類的位置づけを明らかにすることを目的に、DNA多型解析を行った。核DNAの一塩基多形(SNPs)解析の結果、‘甲州’の祖先はV. viniferaが70%強、東洋系野生種が30%弱であることが示唆された。また、母方から遺伝する葉緑体DNAの部分シーケンスは野生型で、中国の野生ブドウV. davidiiに最も近かった。以上の結果から、‘甲州’はV. viniferaの割合が高いが、母方の祖先にV. davidiiまたは近縁の野生種を持つ交雑品種であることが明らかになった。
著者
奥田 将生 橋爪 克己 上用 みどり 沼田 美子代 後藤 奈美 三上 重明
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.2, pp.97-105, 2010 (Released:2012-02-13)
参考文献数
19
被引用文献数
3 11

登熟期の気温と原料米の溶解性に密接に関係するデンプン特性の年次·産地間変動との関係について解析し,以下の結果が得られた。1 同一品種でも産地間でデンプン特性や蒸米消化性が異なるのは,産地の登熟期気温が影響したことが主な原因であると示唆された。2 25品種27産地の生産年度の異なる試料について,出穂後気温とデンプン糊化温度の関係について解析したところ,登熟期気温と糊化温度は高い相関性を示し,登熟期気温が低い年は糊化温度が低く,一方気温が高いと糊化温度も高くなることを確認した。以上,デンプン糊化温度は蒸米消化性と高い相関性を示すので,これまでと今回の研究結果から,原料米ごとの出穂後の気温に注目すれば,かなりの精度で原料米の溶解性に関する酒造適性を予測できると考えられた。
著者
後藤 奈美
出版者
日本酒学研究会
雑誌
日本酒学ジャーナル (ISSN:2758142X)
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.32-37, 2023-11-07 (Released:2023-11-07)

コロナ禍が清酒の消費に与えた影響を分かりやすく示し、記録することを目的に、日本酒造組合中央会が記者発表する毎月の課税移出量を、コロナ禍前の2018年及び2019年の平均値に対する割合として示した。その結果、清酒の消費量を反映すると考えられる課税移出量は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、飲食店への休業や時短営業の要請などが出されると大きく減少し、新規感染者数が減少し、それらが解除されるとある程度回復するという増減を繰り返したこと、また一般酒よりも外食での消費が多いとされる特定名称酒の方が大きく影響を受けたことが示された。2022年下半期の第7波、第8波では、それまでとは比較にならないほど多くの新規感染者数となったが、緊急事態宣言等は発出されず、課税移出量の減少も以前よりは小さくなった。ただし、2018-2019年と比較して80~90%程度と厳しい値であることに変わりはなく、今後の動向が注視される。
著者
奥田 将生 磯谷 敦子 上用 みどり 後藤 奈美 三上 重明
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.2, pp.131-141, 2009 (Released:2016-01-18)
参考文献数
20
被引用文献数
7 6

鑑評会の出品酒を実験材料として,窒素(N)や硫黄(S)含量と50°C1ヶ月間貯蔵後のポリスルフィド生成量の関係を検討した。清酒中のNとS含量には強い正の相関関係がみられ,清酒中の硫黄化合物の多くは原料米のタンパク質に由来することが推察された。また,全硫黄化合物の2~5割がアミノ酸であることがわかった。50℃1ヶ月貯蔵により生成するポリスルフィドについて,DMDSは全試料で検知閾値以下であったが,DMTSは約半数の試料において検知閾値を上回った。貯蔵前清酒中の成分との関係において,DMTS,DMDS含量は,全N及びS含量,アミノ酸態のNやS含量に有意な正の相関関係がみられた。各成分間の偏相関分析の結果,着色度の増加には全Nとグルコース含量が深く関係するのに対し,ポリスルフィドの生成にはアミノ酸態のS含量が深く関係することが示唆された。以上から,硫黄化合物の多い清酒は老香が生じやすいというこれまでの推定を成分的に裏付ける結果が得られた。
著者
奥田 将生 橋爪 克己 沼田 美子代 上用 みどり 後藤 奈美 三上 重明
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.9, pp.699-711, 2009 (Released:2016-02-10)
参考文献数
24
被引用文献数
5 9

酒米研究会が収集した気象データの明らかな試料を用いて,気象データから米の溶解性に関する酒造適性を予測できるかどうかを検討する目的で,気象データとデンプン特性及び蒸米消化性の関係について解析した.出穂後1ヶ月の平均気温はアミロペクチン短鎖/長鎖比及びアミロース含量とは高い相関関係を示した。また,出穂後1ヶ月の平均気温は,DSCやRVAの測定値とも高い相関性を示した。酒米統一分析条件での蒸米消化性(デンプンの消化性)は出穂後1ヶ月の平均気温が23℃付近で消化性が高くなるような関係を示した。もろみに近いデンプンの老化を反映させた条件では,出穂後1ヶ月の平均気温と蒸米の酵素消化性(デンプンの消化性)は直線的な負の高い相関性を示した。それぞれの条件で出穂後1ヶ月の平均気温でデンプンの消化性を予測する式を構築し,この式より2008年度の試料について予測できるか検定したところ,予測値と実測値は出穂後1ヶ月の平均気温でどちらの条件でもデンプンの消化性を比較的精度良く予測できた。また,タンパク質含量は気温と強い相関がみられなかったものの,タンパク質の消化性はデンプンの消化性と同様な傾向を示し気温と有意な相関性を示すことがわかった。以上の結果から,出穂後の1ヶ月間平均気温によってかなり高い精度で米の溶解性に関する酒造適性を予測できる可能性が示された。
著者
後藤 奈美
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.116-120, 2011-03 (Released:2012-12-06)