著者
河井 宏允 西村 宏昭
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会年次研究発表会・梗概集 平成15年度日本風工学会年次研究発表会
巻号頁・発行日
pp.19, 2003 (Released:2006-01-26)

強風による瓦の飛散原因を調べるため,自然風中において寄せ棟屋根上の瓦の表面と裏面に作用する風力を測定した。測定は,強風地帯で行われている軒先を完全にシールした場合と,軒先をシールしない場合の両方の状態で行った。軒先をシールすることによって,風上屋根面の野地裏の平均圧力が低下し,瓦に作用する正味の平均揚力も低下する。瞬間的に瓦に大きな揚力が働くのは,風が軒に対してほぼ正面から当たる場合の風上側の屋根面であり,この場合,瓦の表面に作用する風力が瞬間的に大きく低下する一方,野地裏の圧力即ち瓦の裏面の圧力はほぼ平均値を保つ。軒先をシールした場合には,瓦の表面の圧力が大きく低下する時,野地裏の圧力も追従して低下する結果,瓦に作用する正味の圧力がそれ程低下しない。したがって,軒先のシールは瓦の飛散防止にとって効果的な方法の一つと考えられ。