著者
柚木 恵太 安井 美裕 大西 正男
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.274-278, 2004

ワイン中の機能性物質のひとつであるリスベラトロールとその関連物質について,ワインの発酵過程での含量変化を分析した.(1) アルコール発酵3日目からのアルコール濃度の上昇とともにリスベラトロールは果皮から抽出され,発酵6日目でほぼ平衡に達した.その過程で,シス異性体の割合が増加し,発酵後半ではトランス体のみが減少していたことから,酵母由来のイソメラーゼ活性により発酵中にリスベラトロールの異性化が起きていることが示唆された.(2) 乳酸発酵過程において,リスベラトロールの増加とパイシードの減少が観察され,果皮から移行したパイシードが乳酸菌由来のβ-グルコシダーゼ活性によって加水分解されてリスベラトロールに変換されるものと推測された.