著者
村澤 和多里
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学心理学紀要 = Sapporo Gakuin University Bulletin of Faculty of Psychology
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.19-33, 2018-10-31

近年,ひきこもりについて,背景にある精神保健的問題を重視した対応が求められるようになってきている。しかし,その背景にある精神保健的問題についての認識は多様であり,また短期間のうちに変化してきている。本稿では,ひきこもりの背景について指摘されてきた精神保健的問題について概観し,それらの相互関係を整理しつつ,ひきこもりについての心理学的理論を包括的に理解するための枠組みについて検討することを目的とした。 検討を通して,ひきこもりに陥る要因とそれが継続する要因を区別すること,ひきこもりを自尊心や安全感が脅かされるリスクに対する本人なりの対処戦略として理解すること,そのプロセスで二次的に生じる症状を区別して論じる必要性があることを提示した。
著者
斉藤 美香 齋藤 暢一朗
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学心理学紀要 = Sapporo Gakuin University Bulletin of Faculty of Psychology
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.1-12, 2019-02-15

本研究は援助要請行動を促進する目的で作成されたメンタルヘルス教育プログラム(講習)の受講後に援助要請行動が促進された学生と促進されない回避型の学生の個人要因の違いを検討した。調査方法は大学生250名に受講前後の援助要請行動と自己肯定感,自己隠蔽,レジリエンス,コーピング尺度からなる質問紙を実施した。分析の結果,従来の情報提供中心の心理教育プログラムでは,自己肯定感の高い人,社交性の高い人,意味づけや課題解決型ストレスコーピングスタイルを持っている人には一定の効果が得られた。しかし,自己肯定感および社交性の低い人,他者の目を気にする恥意識の強い人に対しては,これらの個人要因に影響を与えるような効果的なプログラム構成の検討が必要であると考えられた。
著者
斉藤 美香 齋藤 暢一朗
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学心理学紀要 = Sapporo Gakuin University Bulletin of Faculty of Psychology
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.1-12, 2019-02-15

本研究は援助要請行動を促進する目的で作成されたメンタルヘルス教育プログラム(講習)の受講後に援助要請行動が促進された学生と促進されない回避型の学生の個人要因の違いを検討した。調査方法は大学生250名に受講前後の援助要請行動と自己肯定感,自己隠蔽,レジリエンス,コーピング尺度からなる質問紙を実施した。分析の結果,従来の情報提供中心の心理教育プログラムでは,自己肯定感の高い人,社交性の高い人,意味づけや課題解決型ストレスコーピングスタイルを持っている人には一定の効果が得られた。しかし,自己肯定感および社交性の低い人,他者の目を気にする恥意識の強い人に対しては,これらの個人要因に影響を与えるような効果的なプログラム構成の検討が必要であると考えられた。This study examined the differences in individual factors of students whose Help− Seeking Behaviors were promoted and those who did not promote after mental health education program (lecture) created to promote Help− Seeking Behaviors. In the survey method, we conducted a questionnaire consisting of 250 university students' Help−Seeking Behaviors and self−positivity, self−concealment, resilience, coping scale before and after mental health education lecture. Results indicated that the conventional psychological education program focusing on information provision has certain effects for people with high self−efficacy, highly sociable persons, people with meaning and problem−solving stress coping style. However, for people with low self−efficacy and low sociability, those with strong embarrassment who care about the eyes of others, it is necessary to consider more effective program composition that will affect these individual factors.論文