著者
田澤 一二 阿部 利徳 笹原 健夫
出版者
日本植物細胞分子生物学会
雑誌
植物組織培養 = Plant tissue culture letters (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.7-14, 1996-04-01
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

本研究では, シオデの節間由来のプロトコーム様体 (PLB) を液体培養することによって大量に形成させ, シオデの大量増殖を可能にした. すなわち, NAAを含む液体培地でシオデのPLBを液体振盈培養することによって, 1個のPLBから大量のPLB (クラスター) を形成させ, これらが幼芽に生長したのち, 一定期間の前培養を行い, ホルモン・フリーの固体培地に移植して発根させ, 大量の植物体を順化させた.<br>さらに, 液体培養したPLB-クラスターから人為的に切り取ったPLBを再度液体培地に移植した. この二次増殖系では, ホルモン・フリーの固体培地に移植することによってより多くのPLB-クラスターおよび幼芽・幼根が形成された. この手法によって, 多循環的にPLB-クラスターおよび植物体の再生・増殖が可能となった.<br>なお, 固体培地と異なり, 液体培地は褐変し, PLBおよびクラスターも褐変し枯死する結果となった. また, 褐変とともに液体培地のpHが低下した. この褐変とpHの低下は, 液体培地を2ないし3日間隔で新鮮培地で交換することによって緩和することができた.