著者
中川 茂子
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 = Journal of tree health (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.13-20, 2001-03-31
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
モンスリムアンディ ブーンティダ 大原 直也 田中 美菜子 山本 福壽 Boontida Moungsrimuangdee Naoya O-hara Minako Tanaka Fukuju Yamamoto 鳥取大学大学院連合農学研究科 鳥取大学農学部 鳥取大学農学部 鳥取大学農学部 The United Graduate School of Agricultural Sciences Tottori University Faculty of Agriculture Tottori University Faculty of Agriculture Tottori University Faculty of Agriculture Tottori University
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 = Journal of tree health (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.89-96, 2011-07-31
参考文献数
25
被引用文献数
1

カシノナガキクイムシ(Platypus quercivorus)の加害を受けたコナラ(Quercus serrata)成木,および健全な個体の木部におけるエチレン生成と道管内のチロース形成を比較した.カシノナガキクイムシの加害にはナラ菌(Raffaelea quercivora)の感染がともなっていた.加害を受けた後も生存していた個体では,当年生の木部からの多量のエチレン放出が確認された.これに対し健全な個体,および加害後に枯死した個体からのエチレン生成量は少なかった.昆虫の加害は,多くが樹幹の基部に集中していた.加害後に生存していた個体の道管の多くはチロースによって閉塞されていた.エチレン生成は当年生の木部で顕著であったが,内部の辺材部位,あるいは心材外周の移行材の部位では少なかった.エチレン生成の多かった生存個体では,道管内にナラ菌の菌糸の蔓延も確認した.当年生木部における活発なエチレンの生成は,コナラのナラ菌感染に対する防御反応に関係しているものと予想された.
著者
楠本 大 Dai Kusumoto 東京大学大学院農学生命科学研究科:(現)宇都宮大学野生植物科学研究センター Graduate School of Agricultural and Life Sciences The University of Tokyo:(Present office)Center for Research on Wild Plants Utsunomiya University
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 = Journal of tree health (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.65-74, 2004-09-30
参考文献数
71
被引用文献数
4

針葉樹の多くは傷害樹脂道を形成し,樹脂を分泌する.傷害樹脂道とは,傷などの刺激によって形成される樹脂道のことで,菌や昆虫の侵入を妨げるのに重要な役割を果たしていると考えられている.傷害樹脂道は木部あるいは師部の形成層付近に形成され,形成が完了するには1〜2カ月間を要する.傷害樹脂道はエチレンを人為的に処理することでも誘導され,処理により樹脂生産は促進される.このことから,樹木がストレスを受けたときに生成するストレスエチレンの関与が示唆されている・菌や昆虫の加害のような継続的刺激は,物理的傷害のような一時的な刺激よりもエチレン生成を促進し,傷害樹脂道の形成範囲や樹脂の分泌量を増加させると考えられる.また,エチレンは環境ストレスによっても生成され,病虫害と複合して作用することによって,著しいエチレン生成を誘導する可能性が推察される.
著者
村木 尚子 柳川 久
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 = Journal of Tree Health (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.69-71, 2006

北海道帯広市において森林性鳥獣類による樹洞の利用実態を明らかにするために,利用種および利用数の季節変化を,一年を通して日中と夜間に調査した.樹洞の一次生産者であるキツツキ類3種と,二次利用者である鳥類および哺乳類12種が確認された.樹洞は,日中,夜間ともほぼ一年を通して利用され,利用率が最も高い時期は日中で6月,夜間で7月であったが,利用率の季節変化は日中と夜間で同調していた.二次利用者鳥類による利用は繁殖期(夏)に多く,アカゲラ,コアカゲラ,ゴジュウカラおよびエゾモモンガによる利用は一年を通してみられた.繁殖のためだけでなく,ねぐらや休息のために樹洞を利用する種もみられ,樹洞は多様な鳥獣類によってさまざまな用途で利用されていた.