著者
松岡 麻男 塩田 教子
出版者
活水女子大学
雑誌
活水論文集. 家政科・一般教育・音楽科編 (ISSN:02888645)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.19-27, 1985-03

グラジエントゲルを使用してのSDS-PAGEによるブタ皮可溶性タンパクおよび加熱処理での可溶性タンパク質の分離を検討し、さらに主なタンパク質の分子量を求めた。1.HMWカリブレーションタンパク質を1%メルカプトエタノールを含む試料バッファー中で、60℃15分間処理し、グラジエントゲル(PAA4/30)SDS-PAGEを行った結果、300V10分間、150V2.5時間の泳動で分離し、分子量2万から40万の間で良好な結果を示した。2.上記の泳動条件で、タンパク質の移動比率(Rf)のプロットはその分子量の対数に対して直線関係を示した。3.ブタ皮の加熱よる可溶化タンパク質は、グラジエントゲルSDS-PAGEの結果において、SDS処理時にメルカプトエタノールがあっても無くても、同じような泳動パターンを示すことが判明した。4.生のブタ皮の可溶性タンパク質は、大部分、分子量6万のもので占められていた。5.ブタ皮を加熱すると、分子量6万以上の高分子量の可溶性タンパク質が生じることをグラジエントゲルSDS-PAGEにより明らかにした。その中で単一と思われ、かつ量的にも多いタンパク質の分子量は約15万であった。6.加熱により高分子量のタンパク質が量的にも、また質的にも多くなるのは、ブタ皮の不溶性コラーゲンの加熱による可溶化が原因であり、またその可溶化に伴うペプチド分子間の部分的加水分解に基づくと考えた。
著者
中里 富美子 長谷川 幸雄 左 篤子 赤司 一武
出版者
活水女子大学
雑誌
活水論文集. 家政科・一般教育・音楽科編 (ISSN:02888645)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.33-46, 1986-03

1.4地区世帯の平均的栄養摂取状況は、全国平均パターンとほぼ同様で、ビタミンA、B_2などの微量栄養素の摂取が若干低い結果であったが、大旨良好な摂取であった。2.食品群別摂取状況をみると動物性食品(魚介類、獣鳥肉類)に偏っているので、穀類、油脂、豆類、緑黄色野菜などの摂取増をはかり、動物性食品の過剰摂取を適正にする必要がある。3.また栄養摂取量の分布をみると、世帯間の格差が著しく、過剰摂取群および、不足摂取群に対する何らかの改善が必要である。4.そこで、エネルギー脂肪摂取を過剰摂取群、適正摂取群、不足群に、その他の栄養素の摂取を充足群、不足群に群別し、各栄養摂取のレベルの違いによる摂取食品の差異について検討した結果、(1)エネルギー摂取の違いは、全般的な食品摂取量の差異に起因する。(2)脂肪摂取の違いは、主に油脂類、獣鳥肉類の摂取量に起因する。(3)蛋白質摂取の違いは、動物性食品とくに、魚介類の摂取量差に起因する。(4)カルシウムは乳類、また鉄は魚介類の摂取量に最も差異が著しかった。(5)ビタミンAは、量的な差異によるものであり、主摂取源である緑黄色野菜、獣鳥肉類、卵類の摂取量に差異が著しかった。(6)ビタミンB_1、B_2は、乳類および獣鳥肉類に差異が著しかった。(7)ビタミンCについては、摂取源が野菜と果実および、果汁飲料などに限定され、摂取量の差異が著しかった。以上のように、その摂取の差異は多く魚介類および獣鳥肉類の摂取の差異に起因していることから、業態の違い、即ち漁業世帯とその他の世帯との差異によるものではないかと推察されるので、その点に関する検討結果について次回に報告する。この研究の一部は、第29回日本栄養改善学会において発表した。終りに本調査実施にあたりご協力いただきました野母崎町役場職員の方々、調査世帯の各位、非常勤講師関タマノ氏、本学家政科補助員の方々、学生一同に深く感謝する。本研究のまとめに際し、終始ご協力くださいました本学補助員、森部みゆきさんに心より御礼を申し上げます。