著者
髙橋 珠州彦
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.41-51, 2017-03-30

昭和初期の吉祥寺地区で実施された府道拡幅事業を事例に、沿道住民の行動と商店街の形成過程について検討した。府道180号線は、吉祥寺駅に通じる唯一の府道であると同時に、井之頭恩賜公園への接続道路としての役割を担っていた。同道では、拡幅事業の前後で沿道商店街の姿が大きく変わった。事業前後で多くの商業経営者が入れ替わった理由は、家屋所有者か借家人かという属性の違いに関わっていた。また、移転や立退きに伴う補償料の支払い額は家屋所有者と借家人で大きく異なっており、彼らの判断材料になっていた。沿道で最多の家屋を所有していた春山庄右衛門は旧家出身であり、拡幅事業以前は多くの貸家経営を行なっていた。事業完了後も沿道に戻り商業を継続する一方、他所出身の商店主らによって結成された商店街組織の代表者として署名している。地域住民の紐帯としての役割を果たした春山氏の行動は、地域形成において重要なものであった。
著者
鈴木 国威 安藤 寿康
出版者
文教大学生活科学研究所
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.141-145, 2011-03-01

本研究では、双生児の生後38ヶ月と50ヶ月の箸の持ち方に着目し、一卵性と二卵性の双生児ペアー内の類似度を比較することで、その遺伝と環境の影響の有無を検討した。生後38ヶ月の一卵性ペアーと二卵性ペアー内の箸の持ち方の類似度はほぼ同程度であり、他方生後50ヶ月では、一卵性双生児の方が二卵性双生児よりも箸の持ち方の類似度が高かった。これらの結果は、生後38ヶ月では、箸の持ち方には環境の要因が強く影響を受けており、生後50ヶ月では遺伝の影響が大きいことを示している。箸の持ち方の環境要因として、家庭や保育園などの大人との共有する場が重要ではないかと推察した。また、箸の使用において、遺伝と環境の要因が発達と共に変化する可能性を示した。