著者
坪井順一
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.59-66, 1999-03-01
著者
八藤後 忠夫 斉藤 修平 佐藤 和平 岡本 紋弥
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.239-249, 2017-03-30

すでに廃止された学校宿直業務の体験者を対象とする聞き書きをもとに,現在の学校教育にかかわる示唆的部分を抽出し検討した.以下のような結果が得られた.1)宿直が副業的な業務でありながらも付加価値的に教員間や地域との豊かな交流を保障していたこと.2)宿直廃止後には地域性の変貌とともに教育改革や課外活動の業務が肥大し,教員の負担度や疲弊性を増しつつあること.その傾向は教員の疲弊性に加えメンタルヘルスの危機的情況にも繋がっていると推察されること.3)宿直業務当時における教員の“地域や学校全体を含む交流と憩いの場”の再構築が望まれるが,この課題克服に関しては教育労働の本質的検討と行政による学校教育実践上のシステム転換の検討が不可欠であると推察されること.
著者
小林 孝雄
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.89-98, 2016-03-30

セラピスト・フォーカシングは、セラピスト援助法としてその意義が検討されてきている。しかしながら、セラピスト・フォーカシングをロジャーズ理論の視点から検討されることは少なかった。本論では、ロジャーズ理論の「十分に機能する人間」ならびに「共感」「自己共感」の概念を主に用い、事例の提示も踏まえて、セラピスト・フォーカシングは、セラピストのありようの実現を通じて、クライアントに肯定的変化をもたらす意義があることを示すことを試みた。これまで、セラピスト・フォーカシングは、セラピーにおけるクライアントの変化に直接関連づけて論じられることが少なかった。セラピスト・フォーカシングのこれまで注目されてこなかった意義について議論した。
著者
大塚 明子 森 恭子 秋山 美栄子 星野 晴彦
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.41-52, 2015-03-01

本稿では「価値観 ・ 労働観 ・ ライフスタイル等に関する日本と北欧の比較調査研究」の第一次量的調査で取り上げた設問のうち、自尊感情 ・ 対人信頼感 ・ 文化的自己観の3つの心理尺度に焦点を当て、第二次質的調査のインタビューによってその解釈を深めることを試みた。共通して伺えたのは、スウェーデン人が自己及び周囲との相互作用というミクロな焦点化をおこなうのに対し、日本人は一般的な社会というマクロな視点から俯瞰する、という傾向であった。第一次量的調査ではスェーデン人の相互独立性と評価懸念の両立という、文化的自己観に関する先行研究と異なる結果が得られたが、それを整合的に解釈することができたのが最大の成果の1つと考える。なぜ社会人と比べて大学生の方がより「日本人らしさ」、つまり低い自尊感情 ・ 対人信頼感 ・ 相互独立性+高い相互協調性を示すのかについても、社会的に不利な立場が大きな要因であることが示唆された。
著者
中村修也
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.155-168, 2000-03-01
著者
斉藤 修平 佐藤 ひろみ 中林 みどり 岡本 紋弥
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.129-140, 2014-03-01

元荒川とその周辺の田圃、用水などはかつて川魚資源の宝庫であった。そこから捕獲された淡水魚介類は人々の食生活を彩る食材であった。その食材は伝承された加工・調理によって食卓を賑わしてきた。同時に元荒川沿いに点在する川魚料理店には、元荒川とその周辺で取られていた淡水魚介類が持ち込まれ、おなじく活用されてきた。 本稿では、元荒川沿いでいまも川魚料理店として営業をしている小島家 (岩槻区大戸) 、鮒又 (岩槻区本町) を採訪し、献立として提供している川魚料理を調理依頼し、一品ずつの味つけなどについて伺い、 「元荒川沿いの川魚料理店の現在」 を確認し、提供された川魚料理を賞味、併せて料理人から直接の解説をいただき、それを記録した。同時に淡水魚介類を県内、都内に卸している川魚卸問屋 「鯉平」 を訪ね、現在の川魚料理店への卸状況を紹介した。 川魚料理店では地元の川から種類によっては食材を得ていた時代はかつてあったが、現在は、きわめて限定されたものになっている。鰻はもとより、鯉、なまず、すっぽん、どじょうに至るまで養殖技術が進化したこと、輸入も可能になったこと、活魚の運搬範囲の拡大とスピード化が実現してきたことにより、食材が安定供給されていることがわかった。同時に、川魚料理店は、かつてのように鯉、鮒、鯰、どじょうといった川魚料理の調理機会が激減し、〈鰻一辺倒〉 に近いような献立に変更していったことが判明した。併せて、元荒川からの淡水魚供給はきわめて限定されていることが判明した。
著者
神田 信彦
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.1-8, 2019-03-30

本研究は私的自己意識特性と公的自己意識特性との関係を対人的自己嫌悪感と関連付けることによって検討した。133名の大学生を対象に自己意識特性尺度と自己嫌悪感を測定するための項目群からなる質問紙調査を実施した。その結果、私的自己意識特性と公的自己意識特性との間に.3台の有意な相関を、対人的自己嫌悪感は両自己意識特性と.4~.5台の有意な相関を得た。さらに対人的自己嫌悪感を統制し、私的自己意識特性と公的自己意識との返送関係数を算出したところ無相関となった。この結果について自己注目の過程の観点から考察を行った。
著者
浅野 正
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
no.36, pp.195-206, 2014-03-01

犯罪被害者を保護する法制度の整備が着実に進む中、被害者の精神的健康や望ましい被害者支援の在り方に関心が向けられている。犯罪被害者は自然災害や交通事故などと同様に、外傷後ストレス障害を引き起こしやすいことが知られている。外傷後ストレス障害と関連する危険因子のなかでも、犯罪被害支援の実践に役立つと思われる。被害経験を周囲に伝えようとする被害者の態度と、周囲の否定的・肯定的反応を取り上げた実証的な研究を本稿では詳しく紹介する。犯罪被害支援の実践現場、その中でも特に本稿では、被害者参加制度や証人の保護制度などが導入されている裁判所を取り上げる。被害者の精神的健康に関する調査や研究から引き出される知見を踏まえながら、裁判所で生じやすい二次被害を克服し、被害者の精神的健康の促進を図る被害者支援の在り方を検討する。
著者
土屋 久
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.281-285, 2017-03-30

本稿は、柳田國男「青ヶ島還住記」を読み込むことで、この作品に込められた、柳田の主たる想いを検討したものである。それと同時に、その想いは青ヶ島の今日的な課題に届くのか、こうした問いにも一定の考察を試みた。その結果、先の作品の主たる想いは、島の少年達に誇りをもたせたいとのことであり、彼のこの想いは、今日、地域おこしに、ますます重要な意味をもってきている点を指摘した。
著者
米津 光治
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.173-182, 2017-03-30

日本の学校教育における体育は、学制発布以降、その時代の目指す社会的要請を踏まえて、果たすべき役割を担ってきた。日本の学校体育を歴史的に見てみれば、明治以降長い間「体操」を中心に考えられ、人間の身体と運動との関係が重要な問題であった。戦後は、身体の教育から全人教育へとねらいが拡大され、身体の問題だけでなく、人間の教育のために体育が文化としての機能を果たす重要性が議論されてきた。学習指導要領では、生涯にわたって運動を実践する態度や能力の育成が期待されているが、子どもを取り巻く社会環境は複雑化し、健康増進・体力の向上、運動需要などの問題を生涯の生活との関連で考えることが求められている。本稿では、これからの学校体育のあり方や課題について、日本における学校体育の歴史的経緯と現行学習指導要領の検討経過及び体育指導の現状を「運動の教育」を基本的な考え方にしながら検討した。
著者
森 恭子
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.151-161, 2013-03-01

日本は2010年より第三国定住を試験的に開始した。しかし、すでにインドシナ難民以外の新たな難民/申請者が長期間滞在しており、その社会的支援は制限されている。彼らは政府の十分な支援がなく、日本の地域社会とどのように関わりながら、「サバイバル」しているのだろうか。 本小論では、難民/申請者の日本の地域社会との関係について焦点を絞り、近年の難民に関する調査報告、定期刊行物、報道、筆者の経験等の断片的な情報や知識をつなぎ合わせ、そこから垣間見る様相を描くことを目的とし、今後のフィールド調査への足掛かりとするものである。同時に、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)を重視することを踏まえ、社会統合を意図した支援に向けて若干の示唆を与えた。難民/申請者は地域社会の中で孤立しており、社会資源からも排除されていること、しかし一方で、地域住民からの支援を得たり、東日本大震災を通して日本の一員として貢献したい意欲などもみられる。政府が現在進めている生活支援戦略における中間的就労や社会的孤立の予防を視野にいれた地域福祉施策の中で、その対象範囲を難民/申請者にも広げ、メインの支援体制の中に組み入れていくことが必要である。そこでは地域福祉推進の主たる担い手である社会福祉協議会や民生委員等の積極的な介入が期待される。 \n The Japanese government introduced its third-country resettlement pilot project in 2010 in trial basis. New types of refugees and asylum seekers except Indo-Chinese refugees, however, have lived in Japan for long time and there has been a limitation of social support. How they have survived in local Japanese community without sufficient supports by the government? This short paper focused on the relationship between refugee/asylum seekers and local Japanese community and aimed to draw a sketch of life situation through fragmental information of research reports, periodical documents, the press regarding refugees/asylum seekers and author's experiences in order to gain a footing a field research of them in future. Also, the paper made some suggestion for support intended to promote social integration, based on the importance of social capital. Their social isolation in local community and social exclusion from social resources were brought out and it was founded that some of them were supported by local Japanese residents and had feelings of contribution to Japanese society as one of members composed in this society through the experiences of the Great East Japan Earthquake. It could be necessary to incorporate refugees/asylum seekers' support into the mainstream welfare support system including the internship program for finding employment under the strategies of life support which the government just started currently, and the prevention of social isolation under the community care system. The intervention in refugee/asylum seekers' support by the Councils of Social Welfare and Welfare volunteers , who are main leaders to promote community care, would be expected strongly.
著者
八藤後 忠夫 斎藤 修平 青木 純一 岡本 紋弥 佐藤 和平
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.189-194, 2016-03-30

聞き書きによる学校宿直廃止直前時の情況把握の結果,以下のことが推察された.1)この時期は,地域がそれ以前以上に学校・教師に接近し,その一体化が行われた.2)学校の地域からの信頼感は残存しており,それゆえ教師間の繋がりも公的・私的に混在し相補的な関係を継続していた.3)その傾向がこの時期の宿直という時空間に投影されている.
著者
青木 純一
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.227-237, 2017-03-30

本稿は学校で宿日直が始まる明治中期と、廃止へと向かう終戦後の一時期を中心に、その目的や背景を明らかにした。学校に宿日直制度が成立するきっかけは天皇の写真、御真影の「奉護」が目的である。1890(明治23)年頃になって国家主義的な風潮が強まる中、学校に御真影が「下賜」されその「奉護」を目的に各地の学校で宿日直が始まった。宿日直が定着すると、学校は夜間や休日でも比較的訪れやすい場所となる。宿日直を通して教員同士や児童生徒、地域住民との交流もしだいに増える。戦後になって御真影や教育勅語がなくなると、学校施設の管理のみが宿日直の目的となる。時代の変化もあって、しだいに廃止を要望する声が高まり、宿日直教員に対する殺人事件や暴行事件をきっかけに宿日直廃止の動きは大きく広がる。宿日直問題は国会でも取り上げられ、警備員配置のための国の予算が付く1960年代後半になると、宿日直の実施率は急速に低下し、1980年代の初頭にはほぼ全国の学校で廃止された。
著者
神田 信彦
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.61-72, 2013-03-01

本研究は、「生きがい」という語が江戸時代以前にどのような意味を持つものとして使われていたのかを検討した。まず、梅棹(1980)の解釈をもとに「生きがい」の語の成り立ちを検討し、さらに古典、古文書及び古記録に表れる「生きがい(ひ)」、その前駆語と考えられる「生けるかひ」及び類語の検討を行った。その結果、「生きがい」の意味は限定されたものではなかった可能性が高いこと、「生きがい」はその類語の中の一つに過ぎなかった可能性が高いことが明らかとなった。