著者
祐森 誠司 池田 周平
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 = Sustainable livestock production and human welfare (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.1034-1036, 2015-12

マウス,ラットならびにウサギは,ヒトや家畜などの代替え動物として様々な実験に供試されている。近年では,小型であることと鳴き声がうるさくない等の理由で愛玩動物としての飼育も増加している。飼育スペースは金属製の床面がメッシュタイプとなったケージあるいはプラスチック製の水槽型で木材チップや紙切れなどの敷料を用いて尿を吸水するものが汎用されており,尿や溢れ水で体躯が濡れないように配慮されている。飼育管理において排せつ物や汚損した敷料の交換は,毎日取り組まれるものの,その程度によって多数を同時に飼育する施設では,動物種固有の体臭や排せつ物に由来するアンモニアガスなどの悪臭が発生する。アンモニアガスは尿中の尿素がウレアーゼによってアンモニアに転換され,揮散することが知られており,揮散するアンモニアは悪臭としての問題だけでなく,眼鼻や呼吸器に炎症を起こし,哺乳動物の最小致死濃度は5000ppm/5minと毒性の高いものである。よって,アンモニアガスによるダメージを管理者や動物が被らないように飼育施設において一般的にアンモニア濃度は20ppm以下に規制されている。
著者
阿部 亮
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 = Sustainable livestock production and human welfare (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.995-998, 2015-12

今回の酪肉近において飼料に関しては,「国産飼料生産基盤の確立」という項目の中で,次の6課題を掲げている。(1) 国産粗飼料の生産・利用の拡大,(2) 放牧活用の推進,(3) 飼料用米等国産飼料穀物の生産・利用の拡大,(4) エコフイードの生産・利用の促進,(5) 飼料の流通基盤の強化,(6) 肉用牛生産における肥育期間の短縮,である。本稿では国産飼料用穀類の利用に関して,飼料用米とイアコーンサイレージについて,生産利用と研究・技術開発の現状を見,今後を考えたい。飼料として国内で使われている穀類は,トウモロコシ,こうりゃん(マイロ),小麦,大裸麦,米,ライ麦,エンバク等である。ほとんどが輸入であるといってよい,平成26年度の飼料穀類の輸入量は約1,205万トンでその83%がトウモロコシである。この年のトウモロコシの輸入量は約996万トンであるが,その82%は米国からのものである。次に乳牛と肉用牛の配合飼料の中の穀類の配合割合(2015年6月)を見ると,乳牛用では50.3%,肉用牛用では60.4%と共に過半を穀類が占めており,穀類の中ではトウモロコシが乳牛用では83.5%,肉用牛用では64.9%とデンプン給与の主体を担っている。