著者
堀尾 茂子
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島女子大学生活科学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.25-32, 2004-12-22

現在、高齢社会の中で、高齢者が自立しで快適な衣生活を送るためには、多くの問題を改善する必要がある。福祉用機器具やバリアフリー住宅などの研究開発はかなり進んでいるが、既製品の寝衣にはサイズが少なく、袖丈やズボン丈は長く、股上は短い、ポケットが付いていないなどの多くの苦情が寄せられている。そこで本研究では、寝衣についての市場調査や、アンケート調査を行い、高齢女性が望む3着のパジャマ製作を試みる。さらに、苦情の多い項目を配慮に入れた1着のパジャマを製作する。それらに、素材が異なり、留め具の違う既製のパジャマ2着を加え、計6着の視覚・着装評価を行った。その結果、次の事が明らかとなった。1.素材は綿で、色は淡く花柄が適する。2.上衣は、前明きのボタン付きで衿なし、身頃はゆったりで後丈を長くする。ラグランスリーブのゴム入りで袖丈は短めにする。ポケットは左右に付ける。3.下衣は、股下丈を短くし、裾口はゴム入りで、ポケット口などで前後の見分けが出来る工夫をすると良い。4.衿ぐりは、既製品は窮屈なため、くり落とす必要がある。以上のことから、僅かの長さや幅の違いが着心地を左右することが判明した。今後は、高齢者体型を特徴別に捉えたパターンをサイズ別に提供する必要があり、質の高い寝衣の開発が望まれる。本研究にご協力いただきました高齢者の皆様、ならびに吉田倫子さん、稲場亜希子さん、成光未知子さんに深謝申し上げます。
著者
福間 義子 川井 幸子 上村 芳枝 清水 満喜子 寺岡 千恵子 岸田 典子
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島女子大学生活科学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.59-72, 2004-12-22

栄養士養成課程での給食管理実習の動向を検証すべく、平成元年から15年間の昼食給食献立(67献立)を施設の更新を機に、平成6年以前(前期28献立)と平成7年以降(後期39献立)に2区分し、食品素材及び調理などの面から比較検討した結果は、次のようであった。1.前・後期を比較すると、後期の方に増加したのは、女子大学生や学内喫食者を対象とする献立、給食目標では、食物繊維・カルシウム・鉄など複合した設定や行事食であった。また、1回当たりの平均食品使用数は後期の方が多かった。2.食品群別食品出現頻度を見ると、前・後期とも最も高い食品群は野菜類、低い食品群は種実類で、後期の方に高い食品群は、野菜類、調味料及び香辛料類、きのこ類、し好飲料類であり、後期には、食品の多様化・少量料理により出現頻度が増す傾向があった。また、食品群別使用量は、前期では、藻類、牛乳、その他の乳類が、後期では、緑黄色野菜、きのこ類が有意に多かった。3.前・後期ともに、主食料理は、混ぜご飯が最も多く、主菜料理は、肉料理の出現率が最も高く、次いで魚介料理、豆腐料理、卵料理の順であり、副菜料理は、緑黄色野菜やいも類の水媒体の調理操作が多かった。食品別に見ると、肉料理は素材が鶏肉から豚肉に移行しており、魚介料理では白身魚より青身魚が増え、汁物に貝を使う料理が多くなっていた。4.実施献立表から作成した食品群別荷重平均成分表について、前・後期で比較すると、食品群で豆・大豆製品、漬物、藻類、水産練り製品、肉類加工品、し好飲料類に若干の違いが見られるが、全体的にはほとんど違いはなかった。終わりに、本研究を行うに当たり資料提供をご快諾くださいました、元本学非常勤講師松村恵美子先生、山本英子先生、元本学教員橘高博美先生に深謝いたします。