著者
杉山 寿美 岡松 久美 廣田 彩
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.83-93, 2007
被引用文献数
1

非体育学部系大学に在籍する男子大学生160人を対象として2002年10月に(1)サプリメントの利用状況、(2)食生活状況、(3)健康に関する行動についてアンケート調査を実施した。"スポーツサプリメント"を利用している者は47%、"スポーサツプリメント以外の一般的なサプリメント"を利用している者は18%であり、いずれのサプリメントも週2回以上利用している者が約50%であった。"スポーツサプリメント"は友人・コーチの勧めで、"一般サプリメント"は家族の勧めで利用されていた。また、"スポーツサプリメント"利用群は、非利用群と比較して食事を欠食しない傾向にあり(p<0.05)、体調がよいとした者が多く(p<0.05)、運動を実施している者も多かった(p<0.05)。しかしながら、運動の頻度・継続時間に有意な差は認められなかった。一方、"一般サプリメント"利用群は、非利用群と比較して夕食を一人で食べる傾向にあった(p<0.05)。なお、エステティックサロンの利用意欲、ファッション雑誌の購読状況には"スポーツサプリメント"でも"一般サプリメント"でも、それぞれのサプリメントの利用群と非利用群の間に有意な差は認められなかった。
著者
船津 誠也 今泉 敏 藤本 雅子 橋詰 顕 栗栖 薫
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.63-71, 2008
被引用文献数
2

本研究では日本語母語話者の子音クラスタ中への母音挿入について生成・知覚両面からの検討を行なった。アルファベット表記された英単語および無意味語のリストを読み上げる発話実験において日本語母語話者は、/t/、/d/の後には母音/o/を挿入し、それ以外の子音の後では/u/を挿入して発音する傾向があることを確認した。発話実験と同一の検査語を用いた復唱実験から、英語母語話者の発話を復唱した場合には、ほとんど母音挿入が生じず、生じた場合においても挿入母音長は発話実験時に比べて短いことが明らかになった。脳磁図を用いた脳機能計測において、子音クラスタ中の母音の有無を検出できるかどうか計測したところ、母音の有無によるミスマッチ反応が生じており母音の有無が検出されていた。以上の結果から、日本語母語話者における子音クラスタ中への母音挿入は、Dupouxらが言うような「幻の母音」を知覚して生じているのではなく、調音上の問題である可能性が示唆された。
著者
鄭 継華 森 朝美 樹山 敦子 加藤 秀夫
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.33-38, 2007

本研究では果糖について、摂取量と活動とのエネルギー収支による体重調節と生体への影響を検討した。果糖摂取は食事誘発性産熱の増大と血糖上昇の抑制およびインスリン分泌の低下などによって、体重増加や肥満の防止が認められた。一方、果糖の摂取は肝臓グリコーゲンおよび筋肉グリコーゲンの合成を高めることを明らかにした。従って、果糖は肝臓機能を高め、筋肉グリコーゲンを増大する栄養機能があると考えられる。今回の研究結果から、健康維持と生活習慣病予防には、果糖の摂取量を見直すことの大切さを浮き彫りにした。
著者
岸田 典子 小田 光子
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.31-45, 2006-03-03
被引用文献数
2

小児生活習慣病予備軍のスクリーニング手法を開発することを目的に、学童の保護者1,619人を対象とした生活習慣実態調査及び肥満児等107人を対象とした健康教室を行った。その結果、肥満度と動脈硬化初期病変の血液指標との関連が認められたことから、肥満度と関連があった好ましくない生活習慣等13項目(不健康、BMI、家族の肥満、睡眠時間、就寝時刻、戸外遊び、保護者の悩みの食べすぎ・早食べ・噛み方・間食夜食・テレビをみる時間、多脂肪食品や野菜の摂取)をスクリーニング項目とした。更に、先行研究における肥満度との関連が認められている3項目(ジュース、甘い及び塩辛いおやつの摂取)を追加し、計16項目について有意水準をもとに傾斜配点を行った。更に、生活リズム及び排便の2項目は、肥満度との関連に関する先行研究はなかったが生活指導上重要な項目であると考え、結果的には未配点として追加し、最終的なスクリーニング票は18項目とした。18項目を用い、スクリーニング得点と血液検査にもとづく異常者数が一致した得点によって、傾斜配点したスクリーニング票を完成した。今後、スクリーニング票の活用によって、検診や健康教育の必要な子ども達を選択するための負担の軽減や生活習慣病に関する経費を節減できることが示唆された。
著者
堀尾 茂子
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島女子大学生活科学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.25-32, 2004-12-22

現在、高齢社会の中で、高齢者が自立しで快適な衣生活を送るためには、多くの問題を改善する必要がある。福祉用機器具やバリアフリー住宅などの研究開発はかなり進んでいるが、既製品の寝衣にはサイズが少なく、袖丈やズボン丈は長く、股上は短い、ポケットが付いていないなどの多くの苦情が寄せられている。そこで本研究では、寝衣についての市場調査や、アンケート調査を行い、高齢女性が望む3着のパジャマ製作を試みる。さらに、苦情の多い項目を配慮に入れた1着のパジャマを製作する。それらに、素材が異なり、留め具の違う既製のパジャマ2着を加え、計6着の視覚・着装評価を行った。その結果、次の事が明らかとなった。1.素材は綿で、色は淡く花柄が適する。2.上衣は、前明きのボタン付きで衿なし、身頃はゆったりで後丈を長くする。ラグランスリーブのゴム入りで袖丈は短めにする。ポケットは左右に付ける。3.下衣は、股下丈を短くし、裾口はゴム入りで、ポケット口などで前後の見分けが出来る工夫をすると良い。4.衿ぐりは、既製品は窮屈なため、くり落とす必要がある。以上のことから、僅かの長さや幅の違いが着心地を左右することが判明した。今後は、高齢者体型を特徴別に捉えたパターンをサイズ別に提供する必要があり、質の高い寝衣の開発が望まれる。本研究にご協力いただきました高齢者の皆様、ならびに吉田倫子さん、稲場亜希子さん、成光未知子さんに深謝申し上げます。
著者
佐伯 惠子
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
no.6, pp.143-156[含 英語文要旨], 2011

Resurrection Blues is Arthur Miller's penultimate play. It is an extreme satirical farce about modern politics, faith and contemporary media-obsessed society. The story is set in an unnamed Latin American country that is a so-called banana republic. A Christ-like man was arrested. He is said to be able to perform miracles and has achieved popularity among the impoverished citizens. The military dictator of the country, Felix, has sentenced him to be crucified and comes up with an idea of selling the rights to broadcast the crucifixion to an American television production team, which would offer big money to him and his country to help the national economy. There are many conflicts among people who urge the crucifixion or try to prevent it. At the end of the play, the Christ-like man disappears without giving any message. Critics have criticized this playas feeble, week. lumbering, rambling or unfinished. Certainly we needn't compare this play with Death of the Salesman or The Crucible. But is this "the great man's Swan song"? Even if it is, this swan is angry against the commercialism of opportunistic media, the venality of politicians, a media-obsessed society, blood-thirsty common people, obsessive religion, and art which takes people's eyes away from the actual reality. This is an imaginary story of an imaginary country, but by writing this play Miller is directing his attention to actual societies, especially the U.S.A. In fact, his characters say, for example, "after they kicked Nixon out of the White House he had one of the biggest funerals since Abraham Lincoln. … nobody clearly remembers anything" or "it's now a quite certain the attack [by a Vietnamese gunboat in the Gulf of Tonkin] never happened. This was a fiction, a poem," or "people are shot on television every ten minutes; bang-bang, and they go down like dolls, it's meaningless." Resurrection Blues makes us recognize our actual worlds - for example, the American media that accompanied by bids to carry the execution of the Oklahoma bomber, Timothy James McVeigh live on the internet, or countries rushing to war under false pretenses after 9/11, or common people concerned about money more than a life or moral. It seems obvious that Miller was conscious of The Crucible when writing Resurrection Blues. Both plays center on religious folks and crushing governors, an injudicious witch-hunt and the planned execution of a seemingly God-like prisoner, as one critic writes. Furthermore, Miller is writing Resurrection Blues in the context of his contemporary worlds, as he was writing The Crucible in the face of McCarthyism. This play gives us a question, "what would happen if Christ were to appear in the world today?" After the Christ-like man disappeared without showing himself and giving any message, a character, who has professed to be his disciple, says, "the actual improvements would just have to be up to us." This satirical farce is Miller's rebuke to the contemporary society and a serious warning to us all. He wants all of us bear responsibility for our future.
著者
原 理
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.175-184, 2007
著者
森 朝美 岩本 珠美 鄭 継華 西田 由香 杉内 香予 加藤 秀夫
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.27-32, 2007

小・中学生の心身は年毎に著しく発達する。心身の健全な発達において、睡眠、食事、排便などの基本的な生活習慣が重要な役割を果たしている。生活習慣と身体状況の相互関係を検討するために、広島県北の小・中学生を対象に実態調査研究を行った。また、同じ調査を気候条件の異なる時期に実施し、生活習慣と身体状況の相互作用と季節的な変化についても検討した。就寝時刻は学年とともに遅くなる傾向がみられた。夜更かしは朝食の欠食の原因となり、排便習慣へ影響を与えた。体脂肪率や血中ヘモグロビン、排便習慣には季節的な変化がみられた。また、朝食の欠食や睡眠不足は体脂肪率を増加させやすく、肥満のリスクを高めることが示唆された。
著者
岩本 珠美 平原 文子 金山 功 板倉 弘重
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-25, 2007

本研究では、キュウリエソを原料として麹菌で発酵させて作成した魚醤がラットの脂質代謝に及ぼす効果を検討した。Fisher-344系雄ラット7週齢、1群6匹ずつ4群を設けた。AIN-93G飼料組成を基本とした飼料を与えた群を対照(Cont)群とし、基本飼料+コレステロールを飼料とした群をChol-Cont群、基本飼料+コレステロール+粉末化した魚醤(FSPF)1%を飼料とした群をChol-F1群、基本飼料+コレステロール+FSPF3%を飼料とした群をChol-F3群とした。これらの飼料でラットを4週間飼育し、血清成分、肝臓中の脂質、トコフェロールについて検討した。その結果、体重増加量は、4群間で有意な差はみられなかった。血清脂質についてChol-Cont群とChol-F1群およびChol-F3群を比較検討したところ、血清総コレステロール(TC)値はChol-F1群、Chol-F3群で有意に高値を示し、魚醤の添加効果は認められなかった。血清トリグリセリド(TG)値はChol-F1群では、Chol-Cont群に比べ、有意の低い値であった。また、血清α-Toc値は、Chol-Cont群よりもChol-F1群、Chol-F3群で高い値を示した。さらに、肝臓中の脂質では、TG値はChol-Cont群、Chol-F1群、Chol-F3群の3群間で有意な差は認められなかった。今回の検討では、粉末化した魚醤の摂取により血清TG値の低下が認められたことから、キュウリエソを有効活用できる可能性のあることが示唆された。
著者
福間 義子 川井 幸子 上村 芳枝 清水 満喜子 寺岡 千恵子 岸田 典子
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島女子大学生活科学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.59-72, 2004-12-22

栄養士養成課程での給食管理実習の動向を検証すべく、平成元年から15年間の昼食給食献立(67献立)を施設の更新を機に、平成6年以前(前期28献立)と平成7年以降(後期39献立)に2区分し、食品素材及び調理などの面から比較検討した結果は、次のようであった。1.前・後期を比較すると、後期の方に増加したのは、女子大学生や学内喫食者を対象とする献立、給食目標では、食物繊維・カルシウム・鉄など複合した設定や行事食であった。また、1回当たりの平均食品使用数は後期の方が多かった。2.食品群別食品出現頻度を見ると、前・後期とも最も高い食品群は野菜類、低い食品群は種実類で、後期の方に高い食品群は、野菜類、調味料及び香辛料類、きのこ類、し好飲料類であり、後期には、食品の多様化・少量料理により出現頻度が増す傾向があった。また、食品群別使用量は、前期では、藻類、牛乳、その他の乳類が、後期では、緑黄色野菜、きのこ類が有意に多かった。3.前・後期ともに、主食料理は、混ぜご飯が最も多く、主菜料理は、肉料理の出現率が最も高く、次いで魚介料理、豆腐料理、卵料理の順であり、副菜料理は、緑黄色野菜やいも類の水媒体の調理操作が多かった。食品別に見ると、肉料理は素材が鶏肉から豚肉に移行しており、魚介料理では白身魚より青身魚が増え、汁物に貝を使う料理が多くなっていた。4.実施献立表から作成した食品群別荷重平均成分表について、前・後期で比較すると、食品群で豆・大豆製品、漬物、藻類、水産練り製品、肉類加工品、し好飲料類に若干の違いが見られるが、全体的にはほとんど違いはなかった。終わりに、本研究を行うに当たり資料提供をご快諾くださいました、元本学非常勤講師松村恵美子先生、山本英子先生、元本学教員橘高博美先生に深謝いたします。