著者
岸田 典子 上村 芳枝
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.23-30, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
23
被引用文献数
9 8

学童376人に, 食事中の家族との会話の有無 (以下, “有り”を会話群, “無し”を非会話群とする) と健康・生活の規則性・食生活との関連について, 質問紙法により調査を行い, 次のような結果が得られた。1) 健康についてみると, 会話群は非会話群に比べ, 食欲がある, 朝の目覚め良好, だるいことはない, 夜よく眠れる, 風邪をひきにくい, イライラしない, 非常に健康なほう, 健康良好, 起立性調節障害症状無しなどの割合が高く, 食事中の家族との会話と健康との関連がみられた。2) 生活の規則性に関して, 起床・就寝・排便・間食時刻などが規則的で, 朝食を毎日食べる, 運動を毎日するなど, いずれも会話群のほうに割合が高かった。3) 食生活では, 料理や6つの基礎食品群の組み合わせがよい, 野菜をよく食べる, 給食外で牛乳を飲む, 食べ物の好き嫌いがない, 間食量を決めている, 清涼飲料水を飲まないなどについて, 会話群のほうに割合が高かった。
著者
岸田 典子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.27-36, 1980

こんにゃくの嗜好及び消費消況について, 世代及び居住地域の異なる女性を対象として調査し, つぎのような結果が得られた。<br>1) 板・糸こんにゃくに対する嗜好では, どの対象者でもともに少し好んでおり, 世代別間では有意差が認められ, 大学生に好まれていた。嗜好について, 好き, 普通, 嫌いのものの割合をみると, 板こんにゃくでは大学生を除き, 普通と答えたものがもっとも多く, 好きと答えたものがそれについでいた。糸こんにゃくでは好きと答えたものが多かったのは, 中学・高校生, 大学生, 広島市周辺及び仙台市における対象者であった。嫌いと答えたものは, 板・糸こんにゃくともに非常に少なかった。<br>2) 消費状況について, 1人1回当たりの消費量, 現在の消費頻度, 将来の消費希望頻度, 1人1日当たりの消費量及び充足率をみると, いずれの項目もどの対象者でも板こんにゃくの方が糸こんにゃくより多かった。そして, 各項目の対象者の相違による違いは, 概して, 世代別間において有意差が認められた。<br>3) 食べる理由の「有」ものの割合は, 対象者により異なり, 28.4~80.0%であった。それは, 世代別間で有意差が認められ, 高齢者ほど「有」のものが多かった。その内容をみると, 各対象者とも, 砂おろし, おいしいが上位をしめ, 栄養面と嗜好面の両面がみられた。<br>4) 6種の新しいこんにゃく料理について, 食用経験, 食用意欲及び作製意欲が「有」のものの割合をみると, 各対象者とも酢の物が一番多かった。そして, 食用意欲及び作製意欲は, 世代別及び地域別間で有意差が認められ, 若年層, 島しょ部に低かった。<br>5) 改良すべきと答えたものは, どの対象者においても, におい, 色, 味に多かった。そして, 色, 形, におい, かたさは世代別間で, 味は世代別及び地区別間でそれぞれ有意差が認められ, 若年層, 郡部に多かった。<br>6) 嗜好と消費状況との関係をみると, 好きなものは嫌いなものに比べ, 現在の消費頻度よりも将来の消費希望頻度の方が多く, こんにゃくを食べる理由の「有」もの多く, 理由の内容としては, 栄養面と答えたものが少なかった。
著者
岸田 典子 上村 芳枝
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.211-218, 1992
被引用文献数
1 2

近年, 日本家庭に伝承されている料理 (以下, 伝承料理とする) が健康面から見直され, その摂食回数も増加してきた。本研究は, 伝承料理 (さしみ・焼き魚・煮魚・高野豆腐の含め煮・煮豆・白和え・ごま和え・酢の物・煮しめ) の世代による意識の違いをアンケート調査により, 女子学生468人, 母親426人を対象として, 比較検討したものである。<br>1) 伝承料理に関する情報を母親から得る割合は, 学生約70%, 母親60%で, 世代間で有意差が認められ, 学生のほうが高かった。学校, テレビ, 本などから得る割合は, 両者とも約15%で, 同一であった。<br>2) 摂食回数の得点は, 酢の物・煮しめ・ごま和え・煮魚について世代間で有意差が認められ, 学生のほうが摂食回数は少なかった。嗜好の得点でみると, さしみを除いた8種の伝承料理は, 学生のほうには好まれていなかった。伝承料理をつくる際のイメージに関しては, 白和えを除く8種の料理について, 母親に比べて学生のほうが面倒であるととらえていた。<br>3) 伝承料理の手づくり割合では, 煮しめ・高野豆腐の含め煮・さしみについて世代間で有意差が認められ, 学生のほうが低かった。今後消費を増やしたい意向の強い料理は, 学生では焼き魚・煮しめ・煮魚, 母親では高野豆腐の含め煮・白和えであった。
著者
岸田 典子 佐久間 章子 上村 芳枝 竹田 範子 寺岡 千恵子 森脇 弘子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.187-196, 2005-03-15
被引用文献数
2

The responses to a questionnaire survey on the patterns of eating activity of 1,160 female university students were used to conduct of cluster analysis on 8 parameters, including the frequency of buying from convenience stores, eating out, and purchasing prepared meals and box lunches. The relationships among the eating activity patterns obtained, daily living habits and health condition were then analyzed. The eating activity patterns were classified into four clusters : cluster 1, mainly utilizing convenience stores; cluster 2, eating in; cluster 3, eating out; and cluster 4, mainly utilizing stores other than convenience ones. The ratios of cluster 2 on daily living habits such as the regular life pattern and on health habits such as eating breakfast nearly every day were significantly higher than the ratios of cluster 3 : contrarily, the ratios of cluster 3 with regard to self-assessed subjective symptoms such as loss of vitality and increased drowsiness were higher than those in cluster 2. Significant differences were also observed in the health habit scores (clusters 2>4>1>3) and in the score for subjective symptoms (clusters 2<4<1<3). The relationship between daily living habits and health condition showed cluster 2 to be the best, followed by cluster 4, cluster 1, and cluster 3 as the worst.
著者
岸田 典子 小田 光子
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学人間文化学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.31-45, 2006-03-03
被引用文献数
2

小児生活習慣病予備軍のスクリーニング手法を開発することを目的に、学童の保護者1,619人を対象とした生活習慣実態調査及び肥満児等107人を対象とした健康教室を行った。その結果、肥満度と動脈硬化初期病変の血液指標との関連が認められたことから、肥満度と関連があった好ましくない生活習慣等13項目(不健康、BMI、家族の肥満、睡眠時間、就寝時刻、戸外遊び、保護者の悩みの食べすぎ・早食べ・噛み方・間食夜食・テレビをみる時間、多脂肪食品や野菜の摂取)をスクリーニング項目とした。更に、先行研究における肥満度との関連が認められている3項目(ジュース、甘い及び塩辛いおやつの摂取)を追加し、計16項目について有意水準をもとに傾斜配点を行った。更に、生活リズム及び排便の2項目は、肥満度との関連に関する先行研究はなかったが生活指導上重要な項目であると考え、結果的には未配点として追加し、最終的なスクリーニング票は18項目とした。18項目を用い、スクリーニング得点と血液検査にもとづく異常者数が一致した得点によって、傾斜配点したスクリーニング票を完成した。今後、スクリーニング票の活用によって、検診や健康教育の必要な子ども達を選択するための負担の軽減や生活習慣病に関する経費を節減できることが示唆された。
著者
岸田 典子 Kishida Noriko キシダ ノリコ
出版者
大阪大学大学院国際公共政策研究科
雑誌
国際公共政策研究 (ISSN:13428101)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.265-278, 2011-09

This essay having explained the characteristics of Complex Emergency, studies civil military cooperation in interventions, and the humanitarian activities implemented by multinational forces deployed in accordance with the UN Security Council's resolutions in 1990s. In doing so, it addresses the issues related to humanitarian activities by militaries, especially concerning the distinction between combatants and civilians, as well as neutrality and impartiality, the principles of humanitarian activities. It goes on to explore the issues concerning increasing direct involvement by militaries in humanitarian activities such as constructions of schools and food distributions.
著者
石永 正隆 望月 てる代 上田 愛子 市 育代 七枝 美香 小田 光子 岸田 典子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.291-296, 2001-10-10
被引用文献数
2 3

小学生100人の1日の飲食物から脂質摂取量を陰膳方式で実測した。その結果, 平均39.7g/dayの脂肪酸を摂取していたが, 男女とも肥満児と非肥満児間で有意差はみられなかった。成人の場合に比べて, 飽和脂肪酸が4-6%多く, 多価不飽和脂肪酸特にn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量や割合がともに成人の半分ほどで3.3%であった。魚介類由来の脂肪酸の平均摂取量は297mg/dayで, 100mg/day以下の児童が50%を占めていた。コレステロールおよび植物ステロールの摂取量は, それぞれ平均255mg/dayおよび137mg/dayで, 肥満群と非肥満群間で, 男女ともに有意差はみられなかった。以上の結果から, 小学生の肥満群と非肥満群で脂質成分の1日摂取量に差はみられなかったが, 子どもたち全体としては, 魚介類や野菜類の摂取量を増大させることが重要であることがわかった。
著者
岸田 典子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.17-25, 1980-01-25 (Released:2010-10-29)
参考文献数
29

こんにゃくに対するイメージを10尺度, 5段階評価によるS. D法で, 連想を自由連想法で, 世代及び居住地域の異なる女性を対象として調査し, つぎのような結果が得られた。1) こんにゃくは, 日本的・質素・家庭的・エネルギーがない・身体によい・嗜好的な食品であるというイメージがもたれていた。つまり, こんにゃくは, 日本的であるという社会的価値観が非常に強く, いわゆる伝統的な食品であるというイメージがもたれ, また家庭的であるというように, 親近感の強い食品であった。2) こんにゃくに対するイメージは, 世代などの生理的要因の影響が大きく, どの尺度においても, 世代間で有意差がみられた。概して, 高齢者ほど日本的・家庭的・身体によい食品であるというイメージをもっていた。3) 環境要因としての居住地域の違いは, こんにゃくに対するイメージに大きな影響を及ぼさなかった。4) こんにゃくに対する連想として, 世代・地区・地域の相違に関係なく, 第1位は調理・献立上の用途, 第2位は栄養・保健・衛生に関するものであったが, 中学・高校生のみ, 第2位は食品の属性・分類・部位に関するものであった。
著者
君羅 満 赤羽 正之 岸田 典子 沖増 哲
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.295-312, 1983

我々と生活環境を著しく異にする海外移住者の食生活を調査することによって, 食生活の変容プロセスを明らかにしようとする目的で, ブラジルに居住する日系人についての調査を計画し, 第1回目を1978年に南部の Rio Grande de Soul 州で実施した。<br>今回は, 1981年 São Paulo 州ジャカレイ地域の日系移住地である, サクラタカモリ, イタペチ, パラティ・ド・メイオに居住する167世帯を対象として実施した。<br>生活環境, 身体状況および食生活状況調査のうち, 使用食品数および, 入手方法などに視点をあて, 主として世代別・地区別の立場から分析, 検討し, その実態について考察した結果を要約すると次のとおりである。<br>1) 各世帯における1日の使用食品数は, 30~39が最も高い比率を示した。<br>2) 世代間による使用食品数の有意差はみられなかった。<br>3) 各地区間の朝・昼・夕食相互の使用食品数には有意差は認められなかった。<br>4) 昼・夕食の食品数は朝食に比べて, 著しく多く, 食事のウェートが昼・夕食におかれていることを示した。<br>5) 朝食で使用率の高い食品は, 砂糖・コーヒー・パンで, これはブラジルでの朝食の特徴を示す。<br>6) 昼・夕食で使用率の高い食品, また, 低い食品には, ほぼ類似の食品が出現している。このことは, 各世帯間に共通の食パターンの存在しているものと思われた。<br>7) 地区別・朝昼夕食別の食品使用率からみた出現順位間には, いずれも高い正相関関係が認められた。<br>8)"毎日消費する"食品で, I世では主として日本的食品に, II世ではブラジル的食品において有意に高かった。<br>9) 食品の入手状況については, 農業地域でありながら, 一般に購入食品が多く, しかも, 一部の食品を除いて購入率の高い傾向がみられた。これは, 各移住地がジャカレイ市に隣接し, 大市場をもつサンパウロ市の衛星都市圏内に位置していること, 換金作物を中心とした経営, そして, 農業経営がある程度安定し, 経済的にゆとりのある世帯が多いためと思われた。<br>10) 日本の農業地域に比べて, パン・砂糖・油脂・その他の野菜・肉類において摂取量が高く, 味噌・豆類・魚介類において低かった。
著者
福間 義子 川井 幸子 上村 芳枝 清水 満喜子 寺岡 千恵子 岸田 典子
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島女子大学生活科学部紀要 (ISSN:13467816)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.59-72, 2004-12-22

栄養士養成課程での給食管理実習の動向を検証すべく、平成元年から15年間の昼食給食献立(67献立)を施設の更新を機に、平成6年以前(前期28献立)と平成7年以降(後期39献立)に2区分し、食品素材及び調理などの面から比較検討した結果は、次のようであった。1.前・後期を比較すると、後期の方に増加したのは、女子大学生や学内喫食者を対象とする献立、給食目標では、食物繊維・カルシウム・鉄など複合した設定や行事食であった。また、1回当たりの平均食品使用数は後期の方が多かった。2.食品群別食品出現頻度を見ると、前・後期とも最も高い食品群は野菜類、低い食品群は種実類で、後期の方に高い食品群は、野菜類、調味料及び香辛料類、きのこ類、し好飲料類であり、後期には、食品の多様化・少量料理により出現頻度が増す傾向があった。また、食品群別使用量は、前期では、藻類、牛乳、その他の乳類が、後期では、緑黄色野菜、きのこ類が有意に多かった。3.前・後期ともに、主食料理は、混ぜご飯が最も多く、主菜料理は、肉料理の出現率が最も高く、次いで魚介料理、豆腐料理、卵料理の順であり、副菜料理は、緑黄色野菜やいも類の水媒体の調理操作が多かった。食品別に見ると、肉料理は素材が鶏肉から豚肉に移行しており、魚介料理では白身魚より青身魚が増え、汁物に貝を使う料理が多くなっていた。4.実施献立表から作成した食品群別荷重平均成分表について、前・後期で比較すると、食品群で豆・大豆製品、漬物、藻類、水産練り製品、肉類加工品、し好飲料類に若干の違いが見られるが、全体的にはほとんど違いはなかった。終わりに、本研究を行うに当たり資料提供をご快諾くださいました、元本学非常勤講師松村恵美子先生、山本英子先生、元本学教員橘高博美先生に深謝いたします。