著者
石田 寛
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.38-66, 1990-11-25

私のレキシコンは「研究分野概要の表示」(第1部) と「辞書形式のレキシコン」(第2部) からなり、第二部は見出し語数約3千、第2次収録語 (第6次までを含んで) を合わせると約1.5万に及ぶ語彙を収録している。まずこれら収録語を第1部に示した類、部門、亜部門との関連から論ずる。新 (日本語) 訳語だけでなく新合成英語用語、新造英語をも提案している。そしてまた、私の仮説、新知見、主張を示す用語、分類 (狭義語NT)、用語階層 (TH) をも提案し、これらを中心に議論を展開している。見出し語を数えあげてまず驚くことは、クラスII (第2類) 人間領域ことに要因、クラスIII (第3類) 自然過程とくに有機領域に多いことである。私は長年、地理学にこだわらずに調査研究してきたつもりである。しかし、よくみるとそれらは人文地理学的方法とのかかわりの多い用語であることが分る。行動地理学の用語、自然的背景とくに地貌、有機領域の用語が多いことが知られ、私の研究はやはり地理学的あり、広義的には地域研究であったと改めてうなずかされる。農業地理、集落地理、文化地理の用語が多いのは、私の研究の反映として尤なことである。第2次収録語 (第2次、第3次以下全部を含む) 20以上を含み用語組織が整備されているものにだけをみる (第1図)と、第1位は農業 (15語)、第2位生活 (6語) となっており、十分納得できる。最も多段階に用語組織が整備充実している用語のなかに、牛 (cattle)、牝牛など放牧・山村関係のものが多い。私は日本の放牧山村の調査研究に取り組み、野草地放牧、耕牧輪換、刈跡放牧、作付強制、輪換放牧、薪炭林、村落共同体、蔓牛、系統牛、牧童、牛取引、牛小作などを鍵語として研究をすすめた。米、潅漑についても用語組織に注意を払った。そして19世紀から20世紀への移行時に、技術的・社会経済的変化・発展があり、小農民農業は資本主義的・個人主義的農業へと発展していったことを関連用語を示しながら論述している。もう一つ、新用語を提案収録し私の主張を全面に押し出したものに、農家区分がある。日本の官庁統計が採用している専業農家・兼業農家とその内訳に対して、次のごとく提案する。専業農家を大規模経済農家と低位雇用農家に二分し、兼業農家を農主兼業、農副兼業の外に、趣味農業家を入れて3つに分けることの必要性を強調する。これを見て分るように、用語の下位概念、狭義語 (NT) として何を採り入れるかは、レキシコン編纂者の見識が問われるところといえよう。魚・漁業用語 ; コミュニティ・村落用語 ; 近代化用語などの節 (本論文の) において、私が研究過程において重用した鍵語を提示し、批判を仰ぐことにしている。講義において、折にふれ、機会を捉えて、私は時局の論点と季節の課題を学生とともに考えることにしてる。それらについての用語的枠組、鍵語を示した。そしてまた、人生観・世界観について私が大切にしている用語を示し、私個人の処世・生活の関係の術語を示して結んでいる。このように、二ケ国語思考でレキシコン整備に自己実現の歓びを見出している次第である。さらなるご批正、ご協力を期待してやみません。

1 0 0 0 OA 宇品築港史 (5)

著者
高橋 衞
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-26, 2001-06
著者
佐野 進策
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-16, 2006-03-31
著者
伊藤 祐一
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.49-69, 2007-10
著者
石田 寛
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-48, 1992-07-15

日本では米ならびに稲作関係用語は豊富であるが、麦作ならびに牧畜用語は貧弱である。稲作は日本農業の根幹たるのみならず日本人の生活のバックボーンをなすものである。最近20年間、農業技術・耕作体系に大きな進歩があった。なにより大きな変革は1968年以来減産、減作に迫られ、米作中心の日本農業の仕組に批判が加えられつつある。そして、昔からの稲作関係用語、農耕儀礼も失われつつある。本論はヘラルド・ウーリッヒ教授の『米作の術語』を参照することによって、世界的展望の下に日本の稲作用語を検討し、米作文化に新しい光をあてようとするものである。本報告は三つの意義を持つ。第1は日本稲作用語を地理学の観点に立って、世界の農業システム・土地利用の立場から、確定・組織化したという点である。そして日本語術語に的確な英 (米) 語を提示し、さらに中国語を初めとしその他アジア諸言語をも関連的に付している。第2は本研究を地理学用語委員会で発表 (ドイツのギーゼン、1970) したのは20年以上昔のことであるが、それまでの重要術語を採り上げ、日本稲作文化の基本的なもの、歴史地理的なものは十分論ぜられている。本論を利用することによって四半世紀間の日本農業の激変を、より深くよりグローバルに考察することができる。第3は日本稲作・米作文化の日英二ヶ国語による専門用語 (論) 集としては最初のものと自負するものである。そして筆者の A Bilingual Cross-Cultural Lexicon for Area Studies (in prep.) (『地域研究のための二ヶ国語による通文化レキシコン』、刊行準備中) へと展開する。
著者
石田 寛
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.30-70, 1996-03-25

A general discussion of the Empire Regional Geography was presented by R. Ishida in 1966. Some 6400 volumes of Village Topographies were presented to the Geography Bureau, Ministry of Home Affairs towards the end of the 1880's, but most of them have been scattered and lost due to the Kwanto earthquake disaster of 1923. As a result of this disaster, a book named the Empire Regional Geography, the compilation of these topographies, has never been published. However, having outlined village topographies, several editions including Regional Geography of Japan : A Summary and A Handbook of Local Administrative Divisions were published in the 1880's. While some series of duplicates of the village topographies of Tokyo and Kanagawa Prefectures were discovered and compiled for publication, few village topography-dupulicates of this enterprise were published in a series or discussed in Western Japan. It is truly significant that all of the 39 duplicates of the topographies covering the area of the present Kasaoka City and a series of the topography duplicates of all 67 villages comprising pre-Oda County were discovered. It is very rare that, in all, as many as 70 duplicates of village topographies (together with a duplicate of county topography) of the continuous region were presented as early as 1876 to the Prefectual Governor.