- 著者
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高尾 義明
- 出版者
- 経営哲学学会
- 雑誌
- 経営哲学 (ISSN:18843476)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.2, pp.2-16, 2020-10-31 (Released:2021-06-08)
- 参考文献数
- 47
- 被引用文献数
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Wrzesniewski and Dutton(2001)によって提唱されたジョブ・クラフティング概念は、現代の組織における仕事の絶えざる変化に対する従業員の能動性の発揮を描写するために有効な概念として定着しつつある。しかし、ジョブ・クラフティングというターム自体が魅力的であったことで多くの研究者を惹きつけた一方で、彼女らが示したジョブ・クラフティングの思想は後続の研究においては必ずしも精確に読み取られてこなかった。こうした事態はジョブ・クラフティング研究の発展を妨げている。そこで本研究では、ジョブ・クラフティング概念を提示したWrzesniewski and Dutton(2001)を学説史的な流れを踏まえて再検討し、彼女らが提示した既存研究に対する新奇性を明確にする。それらの新奇性とは、(1)従業員の能動性の強調、(2)認知的ジョブ・クラフティングの提唱、(3)仕事の意味やワーク・アイデンティティといった従業員の主観的経験の継続的な変化の焦点化である。次に、それらの新奇性を現在のジョブ・クラフティング研究がどの程度引き継いでいるかを確認する。第1の新奇性は既存研究において最も基本的な前提と見なされているものの、多くの実証研究は第2の新奇性を継承しておらず、第3の新奇性を継承している研究はごくわずかである。最後に、以上を踏まえてジョブ・クラフティング研究のいっそうの発展に向けた示唆を提示する。