著者
志紀島 啓 Kei SHIKISHIMA
雑誌
芸術工学2017
巻号頁・発行日
2017-11-25

哲学者ジル・ドゥルーズは『アンチ・オイディプス』において、自身の思想を体現する形象として「スキゾ」の概念を打ち出した。それに先立つ『マゾッホ紹介』(以下ではPSMと略す)ではサディズムと対比しながら、マゾヒズムの論理が語られている。 PSMにおいてサディズムとマゾヒズムは、単に加虐・被虐を好む性的倒錯を指しているのではなく、法規範に対する異った二つの脱構築的態度として記述されているのである。そこでマゾヒズムという概念はのちの「スキゾ」の原形であると考えられる。PSMではドゥルーズの法規範に対する基本的な考え方が述べられている。ならばPSMを読解することによってドゥルーズの(反)法哲学を明らかにすることができるだろう。 本論ではドゥルーズが「マゾヒズム」と呼ぶ概念が(スキゾフレニーではなく)自閉症に近く、「サディズム」と呼ぶ概念がスキゾフレニーに近いことを示す。さらに法哲学の書としてPSMを読解する以上当然であるが、マゾヒズムの政治について批判的に考察する。
著者
志紀島 啓 Kei SHIKISHIMA
雑誌
芸術工学2017
巻号頁・発行日
2017-11-25

哲学者ジル・ドゥルーズは『アンチ・オイディプス』において、自身の思想を体現する形象として「スキゾ」の概念を打ち出した。それに先立つ『マゾッホ紹介』(以下ではPSMと略す)ではサディズムと対比しながら、マゾヒズムの論理が語られている。 PSMにおいてサディズムとマゾヒズムは、単に加虐・被虐を好む性的倒錯を指しているのではなく、法規範に対する異った二つの脱構築的態度として記述されているのである。そこでマゾヒズムという概念はのちの「スキゾ」の原形であると考えられる。PSMではドゥルーズの法規範に対する基本的な考え方が述べられている。ならばPSMを読解することによってドゥルーズの(反)法哲学を明らかにすることができるだろう。 本論ではドゥルーズが「マゾヒズム」と呼ぶ概念が(スキゾフレニーではなく)自閉症に近く、「サディズム」と呼ぶ概念がスキゾフレニーに近いことを示す。さらに法哲学の書としてPSMを読解する以上当然であるが、マゾヒズムの政治について批判的に考察する。 Gilles Deleuze, a philosopher proposed the concept of "Schizo" as a figure that embodies his own thought in "Anti-Oedipus". On the other hand, he explained his theory of Masochism in contrast to Sadism in "Presentation of Sacher-Masoch " (hereinafter referred to as "PSM") that had been published prior to "Anti-Oedipus". In PSM, Deleuze described Sadism and Masochism not only as perverted sexuality seeking for behaviors to hurt someone or be hurt by someone else, but also as two deconstructive attitudes to the rule of law, i.e. the concept of Masochism is considered to be the prototype of "Schizo" that was introduced later. Also, Deleuze described his basic idea on the rule of law in PSM. Therefore, if we read PSM, we will be able to clarify Deleuze's (anti-) philosophy of law. In this manuscript, I will explain that the concept that is called "Masochism" by Deleuze is (not Schizophrenia, but) close to autism, while the concept called "Sadism" is close to Schizophrenia. Furthermore, I will critically comment on politics of Masochism since we read PSM as one of the books on philosophy of law.
著者
金澤 麻由子 Mayuko KANAZAWA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2017
巻号頁・発行日
2017-11-25

本作「きみとぼくのあいだのコト」は、2015年5月に出版した絵本『ポワン』の主人公の黒パグ「ポワン」と白パグ「フォーン」の眠る姿が描かれた絵画作品であり、鑑賞者のふるまいに相互作用するインタラクティブな作品である。 鑑賞者が近づくとその気配を感じ取った絵画上の主人公(犬)たちの反応を様々な映像アニメーションで表現することで、あたかも絵画と鑑賞者の想像力とが対話を生成していく「動く絵画」としてのアートディスプレイであり、絵本の世界観を映像インスタレーション作品として制作したものである。リアルタイムでの相互作用を可能にするセンサーとして、BLASTERX SENZ3D(3D深度&音声認識対応の3Dカメラ)を用い、表情と音声認識技術を用いた。センサーカメラを使用することで、よりリアルタイムでの絵画とのコミュニケーションと、鑑賞者と作品との関係性が近づき、目標としている「癒し」や「安らぎ」の感情を生む作品を目標にした。 本稿では2017年9月に銀座ステップスギャラリーでの個展開催にて新作発表する本作の「戌-pug-」展での本作の制作意図とともに制作方法などについて考察する。 "Affair between you and me" is in art display based on "Un Point" picture book that was published in July 2015. Its main message is "yourself as you are". "Un Point" - a picture book consisting of series of paintings, a story of two sleeping dogs – black and white pugs was adapted as a interactive video installation. When the viewer approaches the installation, dogs notice the presence and react in various ways. The installation main concept is: a painting that communicates with its audience. The concept of the book is used as a basis for the animation. To achieve the real time interaction, a sensor camera "BLASTERX SENZ3D" was used. Both video and sound is used to create communication with the viewer. The goal of the installation is to create a feeling of relief and healing through communication with the painting. The installation was exhibited with commentary and design explanation as part of "IMU-Pug" exhibition in Ginza Steps Gallery in September 2017.
著者
金澤 麻由子 Mayuko KANAZAWA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2017
巻号頁・発行日
2017-11-25

本作「きみとぼくのあいだのコト」は、2015年5月に出版した絵本『ポワン』の主人公の黒パグ「ポワン」と白パグ「フォーン」の眠る姿が描かれた絵画作品であり、鑑賞者のふるまいに相互作用するインタラクティブな作品である。 鑑賞者が近づくとその気配を感じ取った絵画上の主人公(犬)たちの反応を様々な映像アニメーションで表現することで、あたかも絵画と鑑賞者の想像力とが対話を生成していく「動く絵画」としてのアートディスプレイであり、絵本の世界観を映像インスタレーション作品として制作したものである。リアルタイムでの相互作用を可能にするセンサーとして、BLASTERX SENZ3D(3D深度&音声認識対応の3Dカメラ)を用い、表情と音声認識技術を用いた。センサーカメラを使用することで、よりリアルタイムでの絵画とのコミュニケーションと、鑑賞者と作品との関係性が近づき、目標としている「癒し」や「安らぎ」の感情を生む作品を目標にした。 本稿では2017年9月に銀座ステップスギャラリーでの個展開催にて新作発表する本作の「戌-pug-」展での本作の制作意図とともに制作方法などについて考察する。