著者
菅野 博之 大塚 英志 泉 政文 山本 忠宏 本多 マークアントニー 大内 克哉 Hiroyuki KANNO Eiji OHTSUKA Masafumi IZUMI Tadahiro YAMAMOTO Mark Anthony HONDA Katsuya OUCHI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

WEB上にまんが表現が移行するということは、「単行本」や「雑誌」がWEBの環境下で新たな適応を求められることを意味する。現在のまんが表現は「コマ」を映画の1カットに見立て「モンタージュ」的に接続する一方、2頁単位の「見開き」に「構成」として配置するものであるが、そのような方法はWEB上では一度解体する。本研究では「横スクロール」形式によってiPadなどのタブレット上に帯状に描かれたまんがを表示する技法において、紙のまんがに替わる新しい文法形式を検証するため、中世の絵巻物「信貴山縁起」の手法の解析を行った。その結果、画面を上下二分割する中心軸上で読者の視線を上下させる技法を確認し、それがiPad対応の横スクロールまんがにも用いることができることを確認した。その他「異時間図法」など、絵巻の技法は応用可能であることが確認できた。「絵巻」と「横スクロール形式のWEBコミック」の方法上の互換性は高く、そこに「紙のまんが」や「アニメーションの技法」をどのようにあらためて導入するかが次の重要な課題である。Transitioning the presentation of MANGA on the web means that a new adaptation under the web environment is desired for the presentational syntax of MANGA, which has been defined through print media such as 'books' and 'magazines'. The current presentation of MANGA is something that is a continuation of 'frames' selected as 1 scene of a video and joined in a 'montage'-like manner, arranged as a 'composition' in two-page unit 'spreads', however this type of method is momentarily demolished on the web. In this study, we performed an analysis of the techniques of the medieval picture scroll "The Legend of Mount Shigi(Shigisan-engi)", in order to verify the new syntactical form taking the place of 'paper MANGA', through the technique of displaying comics drawn as a strip for tablets such as the iPad via a 'horizontal scroll' format. Those results confirmed a technique of causing the reader's line of sight to go up and down via a core dividing the image into two upper and lower parts, and confirmed that it can also be utilized for horizontal scroll MANGA for the iPad. We were able to confirm that others picture scroll techniques such as 'drawing of different times.
著者
本多 マークアントニー 泉 政文 山本 忠宏 大塚 英志 橋本 英治 Mark Anthony HONDA Masafumi IZUMI Tadahiro YAMAMOTO Eiji OHTSUKA Eiji HASHIMOTO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

WEB表現へのまんがの適応について、その方向性として、①縦及び横の「スクロール形式 」、②「見開き」に基づくまんがの文法を解体し、一頁単位の表示に基づく文法にシフトした形式 、③静止画のスライドショー形式、の3つが仮説としてたてられ、今回の共同研究では、①のうち「縦スクロール形式」と③の「スライドショー形式」について、そこで採用されるべき文法を仮定し、それに基づき実験作品を制作した。縦スクロール形式においては日本まんが表現の「映画的手法」をいかに導入するかに研究の主眼を置いた。その結果、アイレベルを基準とし、それに続くコマでのアングルの極端な切り換え、コマの縦幅の極端な変化における「尺」(時間)の表現などの、紙媒体で成立した手法の中心的な部分が、WEBへの置き換えが可能であることが確認された。その結果、「横スクロール形式」よりも「縦スクロール形式」の方が映画的手法の移植に向いているという仮説が新たに得られた。また「横スクロール」においては、画面の天地ほぼ中央に視線誘導の基準となる中心線を置くことで視覚の流動性を確保したが、「縦スクロール」では画面を二分割して構図を構成することで画面の左右中央に基準線が存在するのに近い印象を与えることができた。
著者
大塚 英志 齊木 崇人 泉 政文 尹 性喆 Eiji OHTSUKA Takahito SAIKI Masafumi IZUMI Seongcheol YUN
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

本研究は、近代史を通じて日本の植民地統治下にあった台湾・朝鮮半島・旧満州を中心とする東アジアを、一つのまんが・アニメーションの文化圏として仮説的に考え、2 つの研究の視座を提示する。一つは「植民地まんが研究」である。現在の日本まんが史の戦前の記述は、いわゆる「内地」で出版・発行されたまんがに限定され、「植民地」における出版物は対象とされず、他方、東アジア地域でも日本統治時代の日本まんがはまんが史の対象とはなりにくい。もう一つの視点は、大塚が日本におけるディズニーの受容を日本まんが史の中に位置づけたことを踏まえ、各地域のディズニー受容のあり方を検証することで各地域のまんが・アニメーション表現の地域差を描き出せるのではないか、というものである。同一の指標に基づき、その受容の偏差を検証するという手法は「映画的手法の受容」においても可能であろう。
著者
菅野 博之 大塚 英志 泉 政文 山本 忠宏 本多 マークアントニー 大内 克哉 Hiroyuki KANNO Eiji OHTSUKA Masafumi IZUMI Tadahiro YAMAMOTO Mark Anthony HONDA Katsuya OUCHI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

WEB上にまんが表現が移行するということは、「単行本」や「雑誌」がWEBの環境下で新たな適応を求められることを意味する。現在のまんが表現は「コマ」を映画の1カットに見立て「モンタージュ」的に接続する一方、2頁単位の「見開き」に「構成」として配置するものであるが、そのような方法はWEB上では一度解体する。本研究では「横スクロール」形式によってiPadなどのタブレット上に帯状に描かれたまんがを表示する技法において、紙のまんがに替わる新しい文法形式を検証するため、中世の絵巻物「信貴山縁起」の手法の解析を行った。その結果、画面を上下二分割する中心軸上で読者の視線を上下させる技法を確認し、それがiPad対応の横スクロールまんがにも用いることができることを確認した。その他「異時間図法」など、絵巻の技法は応用可能であることが確認できた。「絵巻」と「横スクロール形式のWEBコミック」の方法上の互換性は高く、そこに「紙のまんが」や「アニメーションの技法」をどのようにあらためて導入するかが次の重要な課題である。
著者
山本 忠宏 大塚 英志 橋本 英治 泉 政文 Tadahiro YAMAMOTO Eiji OHTSUKA Eiji HASHIMOTO Masafumi IZUMI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2013-11-25

本研究では、石ノ森章太郎のまんが作品を対象として、写真や映画における運動表現を対置しながら石ノ森章太郎の運動表現の分析を行うことを目的とする。分析対象としては、1971 年に『少年マガジン』において、TV シリーズとのタイアップで1 年間連載された『仮面ライダー』を取り上げる。石ノ森章太郎はこの作品の直前に『ジュン』(1967)や「神々との戦い編」『サイボーグ009』(1969)において実験的な表現を行っている。そこには、特定の主人公に感情移入させる物語を語ることに縛られない表現が見受けられ、その方法は『仮面ライダー』の運動表現において「加速と停滞」という役割として顕著に見られる。石ノ森章太郎の運動表現における「加速と停滞」という要素を検証しながら、物語を語ることと共に作品内において二つのモードの形成について考察する。This study analyzes the motion representation of Shotaro Ishinomori comic works, comparing the motion representation in photography and early film. The analysis object is "Kamen Rider"(1971) was serialized in "Shonen Magazine" tie-up with the TV series. Ishinomori have done an experimental representation just before, in "Jun"(1967), "Kamigamitonotatakai-hen" of "Cyborg 009"(1969). This representation is not related storytelling and the factor of stagnation and acceleration in the motion representation of "Kamen Rider".We consider the two modes of the storytelling and the motion representation, analyzing the factor of stagnation and acceleration in the motion representation of Shotaro Ishinomori.
著者
赤崎 正一 戸田 ツトム 寺門 孝之 橋本 英治 久本 直子 Shoichi AKAZAKI Tztom TODA Takayuki TERAKADO Eiji HASHIMOTO Naoko HISAMOTO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

出版メディアにおける「絵本」というカテゴリーは、現代のビジュアルデザインの世界に内在する「アナログ」と「デジタル」の製作技法上の乖離・矛盾について検証するのに、両者のバランスが非常によくとれた作業課程を包含している。また同時にデザイン成果物としての「絵本」は、単に「読まれる」ことで完結してしまうのではなく、周辺に「読み聞かせ」や「ライブペインティング」などのパフォーマンス的な実践をともなってダイナミックな共同性(=協働性)の環境を発展させる可能性をふくむ媒体である。本研究においてはビジュアルデザイン学科でこれまで開催された特別講義のうち、飯野和好(絵本作家)・森ゆり子(読み聞かせ活動)・荒井良二(絵本作家)の3 氏による3 回分を講義記録・パフォーマンス実践事例として書籍化・公刊する。またその際に、出版にいたる作業課程そのものが、学内スタッフを中心とした「エディトリアルデザイン」の制作実現の事例となるよう目的化して作業をすすめていく。11 年度年度末には学内版として一旦完成して納本したものを、さらに細部にわたってバージョンアップしたものが左右社を版元として、12 年秋を予定して刊行の予定であり、本報告はその内容にしたがって、構成されたものである。Picture books, as a category of publication media, is produced through a process which involves technical conflicts and contradictions between "analog" and "digital" inherent in today's visual design. At the same time, picture books as products, unlike ordinary books which are "completed" by simply being read, are a medium assumed to entail dynamic collaboration through reading and live painting sessions.The purpose of this course was to compile and publish a book based on three special lectures presented by Department of Visual Design. The speakers of the lectures were Kazuyoshi Iino (a picture book author), Yuriko Mori (a specialist of picture book reading) and Ryoji Arai (a picture book author). The production of this book itself was designed to be a practice case of editorial design by staff.The book was completed and delivered at the end of fiscal 2011 as an in-house publication. The upgrade and expanded version of the book is scheduled to be published by Sayusha in the autumn of 2012. This report is based on this book.
著者
杉本 真理子 Mariko SUGIMOTO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2011
巻号頁・発行日
2011-11-30

この報告は、2010年10月17日~27日まで、神戸市のギャラリーにて開催された「OTOME展」についてのものである。「おとめ」とは何か、ただ単に「女性」や「少女」をテーマにしただけのイラスト展ではなく、インターネットのない時代から現代まで「カルチャーの原点は雑誌である」という仮説のもと、日本で最初の「少女まんが」は何か、少女まんがに影響された「叙情画」とは何か、昭和初期と現在の少女の文化はどう変化していったかということと、サブカルチャーの今までのあり方、さらにこれからのあり方を想定し、社会的背景や、ジェンダーの問題がどのように少女文化に影響を与えたのか、などの問題をふまえた上で、現在流行している「タレント本」から、細分化された「まんが」「ゲーム」「ライトノベル」などに登場するキャラクターの変化や、また別の切り口として「少女まんがは異端の文化」である事を理論付け、男性から見た現代の「OTOME」の姿と、女性から見た原点の「OTOME」の像を、イラストという形態でアウトプットし、展示した時に生じる何らかの差異が表面化できるかどうか試みたのが、今回の主旨でもある。This report is about "OTOME exhibition" exhibited at an gallery in Kobe from 17th to 27th of October in 2010.What is "OTOME (the meaning is girl in Japanese)" ?It is not only illustrations exhibition that the theme is "woman" or "girl". After supposing that what "the first girls cartoon" in Japan is, what "Jyojyo-ga (lyric picture)" influenced by girls cartoon is, how the girl's culture has changed since early Showa period until today and how subculture has existed until now besides how it will exists hereafter from resting on the supposition that " the source of culture is magazines" from early Showa period until today and referring to that social background and how the matter of gender has affected girl's culture, we developed a theory that change in characters in "famous people's essay" popular nowadays, "comic", "computer game", "light novel" and also the fact "girl's cartoon is heterodox culture" as another light and experimented whether we make any difference from exhibiting the works come to the surface or not by outputting a modern figure of "OTOME" from men's point of view and an original figure of "OTOME" from women's point of view by drawing illustrations. This experiment is our theme.
著者
多田 由美 杉本 真理子 泉 政文 綱島 夢美 萩原 こまき Yumi TADA Mariko SUGIMOTO Masafumi IZUMI Yumi TSUNASHIMA Komaki HAGIWARA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

まんが表現における作画技術教育の前提として必要なのは、まんが表現史的な視点である。手塚治虫系のキャラクター表現に関しては、田河水泡とディズニーの作画方法を構成主義的に解釈した「ミッキーの書式」に基づくことが指摘されているが、本報告では少女まんが領域における「ミュシャの書式」(すなわちヨーロッパの19世紀末から、アール・ヌーヴォー、アール・デコなどの挿絵や広告画の援用・解釈に基づく「書式」)の所在について仮説的に述べる。1901年、与謝野晶子『みだれ髪』の表紙に藤島武二がミュシャふうの意匠を採用し、近代女性文学における「私」と「ミュシャ」的表象が結びつく。そして1970年代に少女まんが領域で「内面の発見」がなされた時、それを主導したいわゆる「24年組」によって再度「ミュシャの書式」が再受容された。「ミュシャの書式」は一見、キャラクター的、非歴史的に見えながら、日本近代の少女まんがを含む女性表現では近代的自我や身体性、政治性を包摂しうる表象として出発し、「24年組」の背後にある近代史的文脈を理解することはまんが教育として重要である。Perspectives based on knowledge of the history of manga expressions are essential for learning manga drawing techniques. It has been pointed out, for instance, that manga characters in the Osamu Tezuka vein are based on the "Mickey's format" which was a Constructivist reinterpretation of the drawing methods of Suiho Tagawa and Walt Disney. This report discusses the hypothesis that an "Alphonse Mucha format" (based on the influences and reinterpretations of Art Nouveau, Art Deco and other late-19th century illustrations and advertising art) exists within the shojo manga genre. In 1901, Takeji Fujishima adopted a Mucha-esque design for the cover of Midaregami (Tangled Hair) by Akiko Yosano, bringing together for the first time the Mucha-like image and the "notion of self" in modern Japanese women's literature. In the 1970s the Alphonse Mucha format was adopted again, this time by the Year 24 Group of shojo manga artists, who spearheaded the "exploration of the inner self" in shojo manga stories. At first glance the Alphonse Mucha format seems ahistorical and to concern only the external appearance of manga characters. However, within modern Japanese female expressions including shojo manga, the Alphonse Mucha format originated as imagery capable of suggesting the modern ego, physicality, and political nature, and as such, understanding the modern historical context of the Year 24 Group bears significance to manga education.
著者
市野 元和 Motokazu ICHINO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2014
巻号頁・発行日
2014-11-25

陶磁器はその地域や文化、生活様式によってそれぞれの特色をもっている。特に素材の特性を生かしたもの作りという事を目的とし、実際に現地(フィンランド)の素材で自らの作品を制作した。そして、日本のクラフト工芸とフィンランドのセラミック技 術とを比較研究する中で、アアルト大学の学生に制作を通じて、日本の陶芸の伝統技術を紹介したり、ワークショップを行う事でクリエイターとしてアプローチしながら、陶磁器デザインの研究と制作を実施した。また、アアルト大学・セラミック・ガラス学科の実習、演習授業に参加し、セラミック・ガラス素材とデザイン研究における総合プロジェクトに加わり、窯の焼成方法や釉薬の研究を行った。
著者
赤崎 正一 戸田 ツトム 寺門 孝之 橋本 英治 荒木 優子 Shoichi AKAZAKI Tztom TODA Takayuki TERAKADO Eiji HASHIMOTO Yuko ARAKI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2011
巻号頁・発行日
2011-11-30

出版メディアにおけるデザイン動向は、広告など他の分野と比較して、実験的先端的な傾向が強い。組版設計をふくむ広義の「ブックデザイン」のそうした傾向には日本語固有の組版システムの複雑さがもたらす、実験的組版の広汎性も要因のひとつと考えられる。事例として2009 年度のビジュアルデザイン学科における3 回の特別講義を取り上げる。それぞれの講師は、絵本作家・イラストレーターの木内達郎氏、アートディレクター・ブックデザイナーのミルキィ・イソベ氏、グラフィックデザイナーの松田行正氏の3 氏である。ブックデザイン・組版デザインに長年携わってこられた、これらの方々の講義には、さまざまな作品紹介を通じて、多様な「ブックデザイン」の実験的試みが含まれている。 ブックデザインの戦後的動向の先端や特異点を構成する3 氏の特別講義はわれわれの研究に大きな示唆をもたらすものである。それら、事例紹介も多く盛り込まれた特別講義を単行本「デザイン・プレゼンテーションの哲学」として編纂・刊行した。そして、この単行本の制作自体がブックデザインやエディトリアルデザイン(組版デザインを含む)の実験的実践なのである。Design in publication media are inclined to be experimental and edgy compared to that in other fields such as advertising. This characteristic of "book design" in the broad sense of term is attributed in part to the prevalence of experimental typesetting caused by the complex typesetting system intrinsic to the Japanese language.This course explored three special lectures presented by Department of Visual Design in fiscal 2009. The speakers of the lectures were Mr. Tatsuro Kiuchi (an illustrator and picture book author), Ms. Milky Isobe (an art director and book designer) and Mr. Yukimasa Matsuda (a graphic designer). In these lectures, the three professionals, who had long been involved in book design and typesetting design, talked about diverse experiments in "book design" through various projects. Their special lectures, discussing the cutting-edges and uniqueness of the post-war book design trends, offered inspiring insights in our study.We compiled and published a book based on the three lectures introducing many cases of experimental book design titled Philosophy of Design Presentation.The production of this book was an experimental practice of book design and editorial design (including typesetting design).
著者
吉田 雅則 西澤 真樹子 見明 暢 和田 岳
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本申請研究においては当初の目的どおり、博物館や資料館に収蔵されている動物(主に哺乳類)の骨格標本から「手」を題材としてフォトグラメトリーにより3Dデータ化、3Dプリンタによる立体出力を行い、手作業による組み立てを経て正確な交連骨格標本のレプリカを作成する。さらにデザイン関係者やアートの実践者、博物館関係者に向けて広く公開し、様々な意見や活用方法に関するレスポンスを得るなどし、それぞれの専門分野への応用の糸口を探ることを目的としている。当該年度においては、昨年度に確立したクリーンなデータを得る手法や立体出力のノウハウを基盤とし、それを実践。撮影方法やデジタルツールの使用法を工夫しつつさらなる効率化を獲得することができた。また「大阪市立自然史フェスティバル」、「いきもにあ」などの展示イベントへの出展や日本哺乳類学会における自由集会での発表なども行うことができ、デザイン関係者や博物館関係者からの意見を収集するなど、当初の目的に適った発表を行うという点においても順調である。さらに、特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワークの協力により、ヘラジカの前肢の骨格を借り受けてスキャンを実現した。前年ながら欠損した部分が数点見つかったため、現在は今後は足りない部分を他の標本から流用したりゼロから仮の形状の制作を行うなどの展開を見込んでいる。また、現在は大阪市立自然史博物館より、カバ、シカ、ゾウの前肢を借り受けてスキャンを行っている。 新たな展開としては微細な動物の拡大模型についても検討中である。
著者
大田 尚作 古賀 俊策 相良 二郎 見明 暢 見寺 貞子 友定 聖雄 小玉 祐一郎 Syosaku OTA Shunsaku KOGA Jiro SAGARA Nobu MIAKE Sadako MITERA Masao TOMOSADA Yuichiro KODAMA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2015
巻号頁・発行日
2015-11-25

2014年度の芸術工学研究所年間活動は、大きく以下の2点を挙げることが出来る。1点目は医とデザイン領域において、医療用器具としての「シューズ用除菌装置の試作開発」である。試作に関してはMIKCS(生命医学イノベーション創出人材センター)との連携を密にし、機構設計・筐体設計・アッセンブリを各々部署で分担し時間的ロスを効率的に進めることが出来た。また、その成果をMIKCSの一般社団法人設立総会において披露し、ポートピアホテルに於いてプレス発表までを行った。2点目は本学において、医療現場における映像と空間・モノというキーワードを設定し、医療従事者、建築家、メーカーの専門家による講師を招きセミナーを開催した。Annual activities of Research Institute of Arts and Design (RIAD) for 2014 are as follows:1. As a collaborative study between medicine and design, we developed sterilization apparatus for shoes. In particular, RIAD and Medical Innovation Kobe Community System (MIKCS) progressed efficiently design of the mechanism, chassis, and assembly. We presented the outcome of these activities at MIKCS establishment meeting for general incorporated association, and further conducted press release of the information at Kobe Portopia Hotel.2. Kobe Design University started research activities regarding images, space, and product in medical field and organized a research seminar inviting experts of medical area, architect, and product manufacturer.
著者
金澤 麻由子 Mayuko KANAZAWA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2016
巻号頁・発行日
2016-11-25

本作「きみのいる家」は、2016年7月に出版した絵本『てんからのおくりもの』のメッセージ「花を贈る無償の愛」をコンセプトに、主人公の「てん」があたかも空中で巣から飛び出し、眼前にせまって花を贈るかのようなアートディスプレイであり、絵本の世界観を映像インスタレーション作品として制作したものである。空中結像技術を用いたディスプレイを使用することで、空中に浮遊し、観客に近づいては、はかなく消えゆく「てん」の映像アニメーションは、『てんからのおくりもの』のストーリーでありコンセプトである「無常観:もののあはれ」を表現している。2016年8月に銀座ステップスギャラリーにて開催した個展「絵本の時間」展での本作の展示風景とともに制作意図、制作方法などについて考察する。本作品はプロモーションウィンドウとして書店などでも展開した。
著者
田頭 章徳 久慈 達也 見明 暢 佐久間 華 馬場田 研吾 松本 雄樹 金子 晋也 Akinori TAGASHIRA Tatsuya KUJI Nobu MIAKE Hana SAKUMA Kengo BABATA Yuki MATSUMOTO Shinya KANEKO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

優秀な学生、より上を目指す学生をさらに高いレベルに引き上げる目的で立ち上げたデザインチーム DESIGN SOIL は、教員と学生がともにデザイナーとして参加し、質の高い展示会への出展を軸に活動している。DESIGN SOIL では、参加学生に学生としてではなくプロのデザイナーとして作品を発表し、展示会に臨むことを要求している。2011年度は、家具産業が抱える輸送コストの問題に取り組むべく、「SOUVENIR.機内持ち込みができるパッケージサイズの家具、インテリアエレメント.」をテーマとして作品制作を行い、Salone Satellite 2011 やTIDE EXHIBITION 2011 などの最高峰の選抜展に出展を果たした。展示会では、多くの批評、賞賛を得ることができた。多数の先鋭的な雑誌媒体などに掲載されたのも、純粋に作品が評価されたということであり、大きな成果である。最高峰の展示会への出展を目標としているため、参加学生たちの作品の質は概ね向上した。展示会への参加を通して、大学のカリキュラムだけでは経験を積むことが難しい、展示会でのプレゼンテーションの仕方、取り組む姿勢を目の当たりにし、意識改革ができたことは非常に重要な成果である。次年度以降も活動を継続し、教育の方法論の確立を目指したい。"DESIGN SOIL" is a design team which has launched with the aim of raising talented or ambitious students to higher level. The selected students and young teachers participate as a designer to it and the activities is based on exhibiting in high-quality exhibitions. We require the students to make a design and participate in exhibitions as not just a student, but a professional designer.We developed theme of "SOUVENIR . furniture or interior elements which could be dismantled and stored in a package within the hand-luggage size limit allowed by airlines .", and we have participated in top-level exhibitions 'Salone Satellite 2011' and 'TIDE EXHIBITION 2011'.
著者
角田 宏子 Hiroko SUMIDA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2014
巻号頁・発行日
2014-11-25

村上天皇は、文学活動を盛んに行なった平安時代前期の天皇であり、現存する「村上天皇御集」には、後宮の女御や更衣たちと詠み交わした歌が収録される。村上天皇の妻室は、十人以上知られるが、この歌集の半数以上を占めるのは、斎宮女御徽子女王との贈答歌である。徽子女王には別に、複数の本で伝わる「斎宮女御集」があり、「村上天皇御集」の歌とも重複している。特別に寵愛されたとは言えない徽子女王の歌が大量に収録された要因は、外在的事情のみならず、編纂者の意図に拠る。天皇と徽子女王との、調和的とは言えない贈答歌は、逆にうちとけた関係を示すものであると考える。編纂者は、村上天皇の私的な記録を残すにあたり、徽子との贈答歌がふさわしいと考え収録を容認した。同集第6番目の歌について、先行する論考は何れも、天皇が徽子の入内を心待ちにする歌だと見なしてきたが、これは女御述子の歌群に分類すべき歌である。編纂者は、人間村上天皇の生涯を記録するにあたり、天皇にとって重要な女性を、同集の冒頭部分に順に配置した。述子の歌群は、天皇の真情を反映させようとする編纂者の意図の表われであったと推測する。Murakami Emperor is the emperor of Heian era. He did a lot of literary activities. Murakami Emperor Gyosyu(村上天皇御集)is an anthology of his poemstanka. The worksof literature written by him and his wives are included in this book. Emperor and his wives exchanged tankas using letters. He has 10or more people wives. Saigu Nyogo Yoshiko Joou(斎宮女御徽子女王)is one of the wives. Half of the book are works of Emperor and 徽子. Their gift-giving tanka shave a dissonance, and are inharmonious. But their many tankas were recorded in this book. This is because their relationship was close and they were able to show openly their sentiment. An anonymous author was intended to record the Emperor's private life. The No.6tankain this book expresses his private sentiment. An earlier literature construed it as his hope. ItconstruedNo.6tankaas the expression of the feeling he was looking forward to marry 徽子. I think it is different. It expresses the affection for another wife Nyogo Nobuko(女御述子). At the beginning of this book, the tankas of 述子are placed. And also by this arrangement, an author could be recorded Emperor's personal sentiment.
著者
相良 二朗 見明 暢 田頭 章徳 種村 留美 長尾 徹 野田 和恵 Jiro SAGARA Nobu MIAKE Akinori TAGASHIRA Rumi TANEMURA Toru NAGAO Kazue NODA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

少子高齢化が進行している我が国において、認知症者の増加は予想をはるかに上回り、2012年時点で高齢者人口の15%にあたる約462万人が認知症を発症していると発表された(朝田隆、厚生労働省研究班、2013)。一方、2010年現在、高齢者のいる世帯は全体の4割を占め、独居高齢者は男性140万人、女性346万人と推計されている(平成24年版高齢者白書、内閣府)。加齢に伴う生活不安の一つは自身あるいは家族が認知症になることであり、認知症が進行すれば在宅生活をあきらめざるを得ない。アルツハイマーに代表される認知症は進行性の疾患であり、数年間に及ぶ初期症状の段階を経て要介護状態となる。この初期段階における日常生活上の困難や混乱によって生じる「問題行動」は生活行為を縮小させ、認知機能の廃用を引き起こし、認知症の進行を早める危険性がある。著者らは、生活環境とりわけ日常生活で使用する家庭電化製品等(以下家電等と略記)が認知機能の低下に配慮していないことに起因していると仮定し、独居もしくは日中独居の高齢者がどのような家電等を継続使用しているのか、使用を中断したものはないか、といった調査を行い、その結果から認知力が低下しても継続使用が可能な家電等のデザイン方法について7つの知見を得た。In 2013, a research unit of Ministry of Health, Labor and Welfare announced that more than 4.62 million are dementia and around 4 million are MCI (Mild Cognitive Impairment), extremely exceeding expectation. On the other hand, households which have elderly counted 42% in 2010 in Japan. The cabinet estimated 1.3 million men and 3.5 million women of over 65 live alone.One of the fears of aging people is to be a dementia. People must move to institute when the stage of dementia goes deep. The dementia like an Alzheimer's disease become worth in several years, after intermediate stage so called MCI. In this intermediate stage, if some kind of problems happens, family member tend to take his/her independent activities. This makes dementia worth.The authors interviewed 91 elderly who live alone to find what kind of everyday technology are still used or quite using. Finally we found seven items of knowledge to design those elderly friendly.
著者
川北 健雄 花田 佳明 金子 晋也 Takeo KAWAKITA Yoshiaki HANADA Shinya KANEKO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

まちの将来像を考え、それを実現するための整備方針を考えようとする際、まず必要となるのは、その地域の特性を把握することである。一般には、地形や歴史、社会統計、空間形態、現地観察といった様々な観点にもとづく調査分析を組み合わせて、地域の特性を読み解く作業が行われるが、実際に有効な解読手法は、目的や対象とする地域によって異なってくると考えられる。そこで本研究では、地域特性の把握手法についてより具体的に考察するため、ひとつのケーススタディとして、神戸市内のある住宅地を対象とした地域特性の解読作業を行う。対象地は、1960年代を中心として開発が行われ、現在多くの建物が更新時期を迎え、改修や建替えが必要となっているところである。ひと通りの解読作業の後、得られた成果と調査分析の過程を振り返ることで、のぞましい把握手法のあり方について考察する。結果としては、一般的な方法だけでなく、調査中に見いだされる地域特有の事象に関する調査や分析を柔軟に組み入れることが、有意義な成果を得る上で重要であることが明らかになった。
著者
多田 由美 杉本 真理子 泉 政文 綱島 夢美 萩原 こまき Yumi TADA Mariko SUGIMOTO Masafumi IZUMI Yumi TSUNASHIMA Komaki HAGIWARA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

まんが表現における作画技術教育の前提として必要なのは、まんが表現史的な視点である。手塚治虫系のキャラクター表現に関しては、田河水泡とディズニーの作画方法を構成主義的に解釈した「ミッキーの書式」に基づくことが指摘されているが、本報告では少女まんが領域における「ミュシャの書式」(すなわちヨーロッパの19世紀末から、アール・ヌーヴォー、アール・デコなどの挿絵や広告画の援用・解釈に基づく「書式」)の所在について仮説的に述べる。1901年、与謝野晶子『みだれ髪』の表紙に藤島武二がミュシャふうの意匠を採用し、近代女性文学における「私」と「ミュシャ」的表象が結びつく。そして1970年代に少女まんが領域で「内面の発見」がなされた時、それを主導したいわゆる「24年組」によって再度「ミュシャの書式」が再受容された。「ミュシャの書式」は一見、キャラクター的、非歴史的に見えながら、日本近代の少女まんがを含む女性表現では近代的自我や身体性、政治性を包摂しうる表象として出発し、「24年組」の背後にある近代史的文脈を理解することはまんが教育として重要である。